焦点:ダウ2万2000ドル突破でも灯る警戒信号

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[ニューヨーク 2日 ロイター] - 2日の米国株式市場でダウ工業株30種が終値で史上初めて2万2000ドルを突破した。しかし投資家の間には上昇がどこまで続くか不安感がくすぶり、節目到達を手放しで喜ぶ雰囲気ではない。

実際、取引中に相場の勢いはなくなり、一部のチャート分析上の指標は警戒信号を灯している。ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ投資ストラテジスト、マーク・ルシーニ氏は「値上がりはごく一握りの銘柄に依拠しており、これは市場の健全さを示す材料でないことが多い。今後揺り戻しがあったとしても私はショックでない」と話した。

また株高が本物であると確認するには、ダウ工業株30種が最高値を更新する場面で、ダウ輸送株20種も同じく最高値を付けなければならない。ところが輸送株は工業株に対して年初来で出遅れ、足元では14日に記録した最高値を6%近く下回っている。

さらに下げ銘柄に対する上げ銘柄の比率も低下中。つまり株高をけん引する上場銘柄の数が減少しつつあり、値上がりの持続性が懸念されている。ニューヨーク証券取引所とナスダックを見ると、52週安値の銘柄数が6月終盤以来で最大となっている半面、52週高値銘柄数は7月半ば以降急減した。

ダウ工業株30種は構成銘柄の加重平均方式で算出される。そのため2日終値が157ドルのアップル<AAPL.O>や238ドルに迫ったボーイング<BA.N>などの値動きは、約25ドルのゼネラル・エレクトリック(GE)<GE.N>などよりも大きな影響を与え、現実に指数押し上げに貢献してきた。

ただし上昇銘柄の広がりに欠けることや、ダウ輸送株のアンダーパフォームは、株高が少なくとも当面は頭打ちになる可能性を示している。

UBSの米国株・デリバティブ担当エグゼクティブディレクター、ジュリアン・エマニュエル氏は、2日に堅調だったアップル株と対照的にS&P総合500種とナスダック総合がさえない動きとなったことから「相場上昇の基本的な息切れ状態」が読み取れたと指摘した。

シンク・マーケットのチーフ市場アナリスト、ナイーム・アスラム氏は、ダウの2万2000ドル到達は「投資家にとって目を見張るような事態だったが、同時にそれで相場に弾みがつかないとすれば、思わぬ落とし穴になりかねない」と心配する。

<企業利益だけが頼み>

8年余りにわたる米国株の強気相場は、昨年11月の大統領選でドナルド・トランプ氏が当選したのに続き、トランプ政権が減税など企業寄りの政策を打ち出して企業業績と経済成長を押し上げるだろうとの期待感が、さらなる追い風として作用していた。

ところが減税をはじめとしてトランプ氏が掲げた政策はまだ何一つ実現しておらず、企業利益の伸びが相場を引っ張る唯一のエンジンとなっている。

フェデレーテッド・インベスターズのポートフォリオマネジャー、スティーブン・チャバロネ氏は「企業利益の伸びのおかげで市場はワシントンの政治や財政改革(の停滞)に耐えることができている」と話した。

S&P500種企業のうちこれまでに350社が発表を終えた段階で、第2・四半期の増益率は約6年ぶりに2期連続の2桁になる見通しだ。

それでも米国株は過去と比べれば割高な水準にある。向こう12カ月の予想利益に基づくS&P500種企業の株価収益率(PER)は18倍と、2004年以降の最高水準に近い。長期平均の15倍も上回っている。

ジャニー・モンゴメリー・スコットのルシーニ氏は、ダウはさらに上昇すると予想しながらも、バリュエーションの観点で市場に問題がないわけではないと認める。

季節性という要素もある。ETXキャピタルのシニア市場アナリスト、ニール・ウィルソン氏は「8月は株式にとってそれほど良い時期ではないのが普通だ。直近20年で月間で上昇したのは5回しかないので、決算シーズンの明るいムードがなくなった後どこまで値上がりが続くのか警戒感がある」と述べた。

(Rodrigo Campos記者)