<前編>ダイキン工業株式会社

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WOMAN'S CAREER

<前編>ダイキン工業株式会社

今回の取材先 ダイキン工業株式会社
空調機メーカーとして、世界145カ国に事業展開。現在でも主力事業の空調機において、空気清浄や加湿といった機能を付加した画期的な製品を開発、製造する。さらに化学品、大気汚染の抑制に貢献するフィルター、食料の保存・輸送に寄与する冷凍冷蔵分野なども展開。空調機と冷媒の両方を開発、製造している強みを生かし、環境先進企業としての真のエクセレントカンパニーを目指している。
しらい・あきこ●滋賀製作所 空調生産本部 商品開発グループ勤務。兵庫県出身、33歳。工学研究科 環境・エネルギー工学専攻修了。2008年入社。現在、夫と3歳の子どもとの3人暮らし。

生活環境やトレンドとともに変化するルームエアコン。商品化の前段階となる先行開発、具体的商品化に向けての年度開発、そして現在は希望していた商品企画と着実にキャリアを重ねる白井さんに、これまでの社会人人生を振り返ってもらいました。

■ 大学院で学んだことを生かせる事業内容と社員の雰囲気にひかれ入社

−就職活動時にどのような基準で会社を選びましたか?

大学院の環境・エネルギー工学では、自然通風を利用した快適な環境づくりやそれに伴うエネルギー削減について研究していました。就活を始めるにあたり、これまで学んだことを生かせる仕事に就きたいと考え、エネルギー関連企業やコジェネレーション(電力とともに有用な熱を同時に生産するシステム)にかかわる企業を中心に、企業研究。加えて、社員の人柄や社風、実家に近い勤務地が良いと思い、関西であることなども重視しました。

 

−現在の会社を選んだ理由を教えてください。

セミナーや説明会のほか、役員や若手まで社員の方とお会いした回数が、他社と比べて圧倒的に多かったんです。特に、若手社員の方が自分の仕事について話す時、やりたいことをできている喜びや自信が、表情に出ていたのが印象に残っています。いろいろな方にお会いするうちに、会社の雰囲気が自分に合っていると思い、入社を決意しました。

 

■ 開発という未知の分野に戸惑いつつ、周りのサポートで乗り越えた

−1年目を振り返り、現在につながっていることはありますか?

入社から現在まで、空調生産本部 商品開発グループでルームエアコンの企画や開発、生産にかかわる部署に所属しています。入社から半年間は研修期間で、秋から各部署にて実際の業務がスタートするのですが、私の場合、新しく立ち上がった「トレンド探索プロジェクト」のメンバーに選ばれ本社勤務に。
このプロジェクトは、エアコンや家電に限定せず世の中のトレンドをリサーチし、エアコンの新トレンドやニーズ発見につなげるというもの。メンバーにはベテラン社員も多かったのですが、新入社員ならではの新鮮な視点からの提案も期待できるかもしれない、ということで、商品開発を希望していた私が選ばれたんです。

 

−「トレンド探索プロジェクト」では、どのような役割で活動をしたのでしょうか?

プロジェクトでは、さまざまなトレンドキーワードを掲げ、専門家へのヒアリングや街に出かけリサーチ。例えば、「ペットブーム」について獣医学の先生に話をうかがったり、「おもてなし」とはどういうものかを探るためにラグジュアリーホテルを研究したり。普通に仕事をしていては経験できないことばかりで、本当に面白かったです。何より、もともと入社時から商品企画の仕事を希望していたのですが、その仕事に通じる部分が多く、商品企画をやってみたいという気持ちがいっそう強くなりました。

 

−現場に戻り、希望する商品企画の仕事に就くことはできましたか?

プロジェクトは半年間で解散になり、2年目から現部門でルームエアコンの先行開発を担当しました。エアコンは秋から冬にかけて新シリーズを発売するのですが、先行開発とは、その2年前に行う商品開発のこと。商品企画については「開発現場を経験し、エアコンについての知識や技術を身につけてからやった方がいい」と上司から言われました。その言葉を胸に、経験を積もうとチャレンジ。2年目の先行開発で担当したのが、ストリーマという空気清浄機能を室内機に搭載することを検討する業務。構造や部品配置、コストなどを考え、設計図を作成し試作品を作るため機械設計や電子工学などの知識が必要になります。専門性を生かせると思っていましたが、研究分野が違うので私にはその知識はなく、何もわからない状態でした。それでも、先輩や上司、さらにストリーマの開発担当の方まで、いろいろな方に聞きながら業務を進めていきました。

 

■ 年次とともに大きな仕事を任せてもらえ、成長する機会を与えてくれる

−3年目で大きなプロジェクトにかかわったそうですね。

はい、3年目と4年目は『うるさら7』の先行開発に携わりました。『うるさら7』は業界最高の省エネ性(APF〈通年エネルギー消費効率〉7.0)を目標に掲げた商品で、先行開発も2年かけて行う大プロジェクト。その中で私が担当したのは、室外機の上に付いている加湿機能ユニットを室外機の中に組み込み、室外機を小型化するというもの。商品開発という側面だけでなく、実際に製造するときにどのように部品を組むのが作りやすいかといった面まで考えなければならず、プロジェクトにかかわる他部署の方とコミュニケーションを取りながら仕事を進めました。

 

−4年目で結婚されていますが、仕事と家庭の両立は大変でしたか?

夫も、私の仕事を理解してくれています。忙しくて帰りが遅くなる時は、家に帰ったら食事を用意してくれています。夫は料理や洗濯、掃除など積極的に家事をしてくれるので、早く帰った方が家事をするというルールが2人の中で自然にできていったように思います。

 

■ 白井さんの入社後のキャリアグラフ

これまでご紹介した白井さんの社会人1年目からのキャリア、現在に至るまでのプライベートにおける「心の充実度」の変化を、ご自身にグラフにしていただきました。

1年目は「トレンド探索プロジェクト」のメンバーとして、変化のある日々を過ごす。トレンドを商品プランニングにつなげることに魅力を感じ、商品企画への興味を強める。2年目からエアコンの開発業務を担当し、『うるさら7』に向けた大プロジェクトのメンバーとして、難しい業務をやり遂げた入社5年目で達成感を味わう(詳細は後編)。入社6年目に出産し、1年2カ月後に復帰。時短勤務の時には「やるべき仕事を残して帰ることにモヤモヤした思い」を持ちながら仕事と育児を両立。10年目の現在、希望していた商品企画に就いた。

 

後編では、白井さんの仕事とプライベートの両立について、お話をうかがいます。

→次回へ続く

(後編 8月4日更新予定)

 

取材・文/森下裕美子 撮影/井原完祐