磁気テープの構成(写真:ソニーの発表資料より)

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 2日ソニーとIBMは、業界最高の面記録密度201ギガビット/平方インチを達成した磁気テープ技術を開発したと発表した。330テラバイトの大容量データの記録が可能で、ソニーが開発した潤滑剤を採用した磁気テープ技術と、IBMチューリッヒ研究所が手掛けた記録/再生用ヘッドとサーボ制御技術、信号処理アルゴリズムを組み合わせて実現した。手のひらに収まるサイズのテープ・カートリッジ1巻で、ビッグデータやクラウドの最も安全かつエネルギー効率が良く、費用対効果に優れた手段を提供する。

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●新技術の磁気テープ、今後10年間にわたって継続的に拡張する可能性

 災害時における、安価で大容量のデータ復旧の用途に加え、IoT(Internet of Things)、クラウドコンピューティング、ビッグデータの活用などの新たな市場創出に伴い、データストレージメディアの大容量化への需要は旺盛である。磁気テープは、大容量、コスト優位性、信頼性、低消費電力、省スペースで優れている。

 IBMによれば、磁気テープは復興期を迎えている。今回の開発により、磁気テープのロードマップが今後10年間にわたって継続的に拡張する可能性があるという。今回のスパッタ磁気テープは、バリウム・フェライトを使用する現行の磁気テープと比較して製造コストが多少高くなるが、現行の20倍の大容量のデータを格納する可能性を考えると、1テラバイト当たりのコストは非常に魅力的となり、クラウド上のアクセス頻度の低いデータに対して現実的な選択肢となるという。

●磁気テープの技術

 大容量化では、記憶容量の増加、ヘッドの正確にトレースするサーボ技術、および符号訂正能力で対応する。記憶容量は、テープの表面積×面記録密度で決まり、テープを薄くしてテープ長を増すか、面記憶密度を高くして大容量化する。面密度を高くするには、テープ幅にデータを記録するトラックを多くする。例えば、LTO7規格では、テープ幅1.27センチメートル上に3,584本ものトラックがあり、長さは960メータである。サーボ技術は、この3,584本のトラックを正確にトレースする。符号訂正能力では、ECC(Error Correction Code)というエラー訂正符号により、データを正しく読み取る。

●磁気テープ(ソニーとIBM、スパッタ磁気テープ)のテクノロジー

 ノイズ予測検出原理に基づいた信号処理アルゴリズムにより、81万8,000ビット/インチの線密度にて信頼性の高い動作を実現したというが、これは符号訂正能力の高さを示している。

 サーボ制御の位置決め精度は、7ナノメートルという。この技術を48ナノメートル幅のハード・ドライブ読み取りヘッドと組み合わせて、1インチ当たりのトラック数24万6,200の密度を実現する。これは、現状の12倍の密度だという。

 テープ表面と磁気ヘッドの間に塗布する潤滑剤を新たに開発し、低摩擦特性と高耐久性という二つの特性を実現した。微細な磁性粒子を有するナノ・グレイン磁性膜の長尺化を可能とし、1,000メートルを超えるテープ長を確立したという。