――CA(キャビン・アテンダント)からモデル、クラブのママと多彩な経歴ですが、なぜ官能作家に?

 蒼井 六本木のクラブのママを10年ほどしていたある日、「サンスポ・官能小説講座」の募集を偶然、目にして受講したんです。肉体的にも精神的にも苦しい時期が続いていた頃で、人の年齢や外見にとらわれることなく、いいものは後世に残るという文学の本質的な世界に惹かれました。エッチな話というのは、クラブで笑いが取れるお客様との共通テーマでしたので、官能というジャンルも全然抵抗はなかったですね。
 初めて読んだ官能小説は睦月影郎先生の『隣り妻』。「ペニスが、ぶるんとバネ仕掛けのように急角度にそそり立つと…」といった刺激的な表現があって、読み進めるうち興奮してオナニーしたのを覚えています。CA題材の官能小説は多数ありましたが、本物のCAが執筆したものは前例がなく、ブルーオーシャンだと感じました。幸運にも2年連続で賞をいただいたこともありますが、やっぱり官能小説が肌に合ったんだと思います。

 ――ホステスたちのさまざまなセックスとともに、クラブという魑魅魍魎の世界も描かれています。

 蒼井 夜のクラブは野望や懊悩が渦巻いている世界。今回、クラブホステスの第1弾作品として、そんな中で起きている男女の駆け引きを描きたかったんです。CAとは異なり、ホステスは直接的に性を連想しやすいため、蓮っ葉な女性は登場させないよう気をつけながらいかに興奮してもらうかを考え抜きました。
 華麗である反面、本当に残酷な世界でもあるので、書いていて当時を思い出して涙を流したこともありました。私の生の体験がたくさん詰まった作品です。もちろん妄想や願望も含まれていますが…。

 ――多くの男を見てきた蒼井さんの考える「いい男」の条件とは?

 蒼井 知性と野性を兼ね備えている人ですね。知性は学歴ではなく、世の中において適応力が長けていること。いつも迅速に的確な判断のできる男性は魅力的です。そして、男性にはいつだって貪欲でいてほしい。セックスでも野性的、肉食系であってほしいですね。私がいっぱい責められたいタイプだからかもしれないですけど(笑)。
 当時は苦悩もありましたが、こうして1冊の本として店頭に並ぶことは本当にうれしい限りです。みなさんに喜んでもらえるなら、どんなことでもやっていきたいと思えるようになれました。これからも変化を恐れずに新たな作品に挑戦していきたいです。

蒼井凜花(あおい・りんか)
CA、オスカープロモーションのモデル、クラブママを経て2010年『夜間飛行』でデビュー。'12年第2回・団鬼六賞コンクールファイナリスト。小説以外でもコラムやラジオ、対談、トークイベント、Webなど幅広く活躍。