カニエ/ヤング・サグ/クエヴォも参加、サンプル・ネタにも注目 / 『ビッチ・アイム・ザ・シット・2』タイガ(Album Review)

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 米カリフォルニア州コンプトン出身、現在27歳のラッパー、タイガのおよそ2年振り、通算5作目となるスタジオ・アルバム『ビッチ・アイム・ザ・シット・2』が、2017年7月21日にリリースされた。

 本作は、2011年にリリースされたミックステープ『ビッチ・アイム・ザ・シット』の続編として、2年もの時間をかけ制作された。黄色のスクーターにまたがり、トンネルを駆け抜ける姿が撮影されたカバーアートは“やっつけ感”否めないが、アルバムの内容は決して駄作ではない。

 プロデュースは、カニエ・ウェストを中心に、スリム・サグやミーク・ミル、カーコ・バングズなどを手掛けるソングライティング・デュオ、サウンドM.O.B. や、カナダ出身の音楽プロデューサー、マーダー・ビーツ、トラップ・ミュージックの生みの親とも呼ばれる、人気プロデューサーのゼイトーヴェン等が担当している。

 タイ・ダラー・サインと掛け合う、メロウ感覚の「Move to L.A.」は、1997年にメイスがリリースした「What You Want 」がネタ使いされている。また、翌1998年にリリースされた、トリック・ダディ&トリーナの「Nann Nigga」を引用した、同タイトルの「Nann Nigga」には、5年前に銃で撃たれたことで騒ぎを起こした、カナダ出身の女性ラッパー、ハニー・コカインがゲストにクレジットされている。どちらも、90年代要素を上手く“今風”に仕上げた、すばらしい出来栄え。また、昨2016年に最大のヒットを記録した、ドレイクのアルバム『ヴューズ』からは、「Controlla」がサンプリング・ネタとして使用されている。この曲が使われた「1 of 1」も、クオリティが高い。

 ネタ使いされたナンバー以外の楽曲は、ポップ要素が一切ない、タイガらしい男気溢れるヒップホップ・ソングばかり。特に、「Playboy」、「Gone Too Far」、「Teterboro Flow」、「Chandeliers」あたりは、かなり重たく、ヒップホップの真髄をアピールしている。メイン・プロデューサーのカニエ・ウェストが参加した「Feel Me」も、カニエらしからぬ(?)ハードコアなタイトルで、プシャ・T参加の「Ski on the Slope」も、かなりヘヴィ。むしろ、ヤング・サグが参加したワールド・ミュージック調の「Run It Back」や、ミーゴスのクエヴォ参加の「Bel Air」が、聴きやすいくらいだ。ピアノのイントロで始まる「Cash Splash NASA」も、聴き心地良い。

 タイガは、米ビルボード・ソング・チャート最高2位を記録した「ベッドロック」(2009年)や、2011年に最高7位をマークした「ラックシティ」などの代表曲があるが、ここ最近はヒットに恵まれていない。本作の出来がすばらしかっただけに、再びチャートでも活躍することを期待したい。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『ビッチ・アイム・ザ・シット・2』
タイガ
2017/7/21 RELEASE