城壁

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 5キロに及ぶ城壁に囲まれた町、プロヴァンは、中世の面影を残す町並み全部が世界遺産だ。名前だけ見て南仏プロヴァンスと間違う人が多いが、パリからだと在来線で1時間20分の日帰り圏内。11世紀から流通の拠点として栄えた町で、名産のバラを使った蜂蜜やお菓子、せっけんなどが並ぶかわいい店や、中世の古書を扱う書店など、そぞろ歩くのに楽しい町だ。

 この地が栄えたきっかけとなったのは、シャンパーニュ伯爵が整備したといわれる「シャンパーニュ大市」。12〜13世紀、ワインや絹織物、香辛料など、ヴェネツィア商人なども往来して活発な交易が繰り広げられた場所だ。当時の市場は、「ラ・グランジュ・オ・ディーム」(La Grange aux Dîme)として残されており、当時の定期市の活気を再現するオーディオガイドを聞きながら見て歩くことができる。

 シャンパーニュ伯爵家の当時の権力のシンボルは、セザール塔。そのすぐそばにある、サン・キリアス聖堂もシャンパーニュ伯アンリ1世が12世紀に建設を始めたものだが、予算不足で未完成のまま残されている。ステンドグラスも身廊も美しいが、元々は聖堂前の広場の部分まで建物が建つ予定だったといい、本来はその中にあったかもしれない十字架が広場に立っている。もっとも、未完成とはいえ、1429年、ジャンヌ・ダルクがここに立ち寄り、ミサにあずかったことが記録されている。

 プロヴァンの町の“圧巻”は、城壁だ。旧パリ街道からの侵入に備え、13世紀に建設された城壁は、旧市街の一歩外側にある観光案内所側からその一辺の広がりを眺めることができる。サン・ジャン門をくぐれば、旧市街は目の前だが、静かな晴れた日なら、城壁に沿って外側2辺を歩き、ジュイ門から旧市街へ入る道もある。

 もう一つの見どころは、中世劇。上記サン・ジャン門をくぐる手前にチケット売り場があり、毎日午後、近くの屋外劇場で騎士伝説など、中世の物語を楽しむことができる。シャンパーニュ伯ティボー4世が、愛する姫君を連れて十字軍遠征からの帰還を祝う中、町を乗っ取ろうとする別の戦士たちと戦う昔ながらの“勧善懲悪”劇で、シュヴァリエたちの騎馬術の迫力に歓声があがる。

 ここで、パリ発列車の旅、切符の買い方を。前回記事のストラスブールなど、TGV(高速鉄道)で行く旅なら、ネットで事前にチケットを買い、座席指定してしまうのが便利。スマホが使えるならなおさらだ。改札がないから、紙のチケットを買った場合は、駅で乗車前にチケットに日時を刻印する「コンポステ」(機械にチケットを入れて刻印)というひと手間が必要だが、eチケットならこれは不要。車内の検札でスマホのQRコードを見せればOKだ。

 プロヴァンなど在来線に乗る時は、駅で切符を購入して改札口を通る。切符は窓口でも買えるし、あまり並ばずに買うならもちろん自販機でも。TGVでも在来線でも、出発するホーム(番線)は、駅の電光掲示板に表示される。出発時刻近くにならないと表示が出ないので、多くの人がこの掲示板の下に集まって、自分が乗る列車の表示を待っている。

 ちなみにプロヴァンの帰路は、プロヴァンの駅でパリ行きのチケットを買うと、そのチケットでパリ市内の地下鉄もそのまま乗れる。