上記に挙げた例はほんの一部だ。年間3万円の節約を目指すにはほかにもたくさんの工夫が必要となる。インターネット上でも様々な例を見つけることができるので参考にしてみてほしい。

■ポイント4:医療費
高額療養費制度をご存知だろうか。これは「医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する」制度だ。入院した際などは心強い味方となる。

ただし注意が必要だ。仮に、高額療養費制度の限度額が8万円(8万円までは自身で負担し、超過分は補助してもらえる)としよう。7月25日から7月31日までの1週間入院した場合、自己負担は8万円で済む。しかし、7月28日から8月3日まで入院した場合は、同じ1週間でも、7月分の8万円と8月分の8万円を合わせた計16万円を自己負担しなくてはならない。入院する時期を調整するのは難しいが、可能であれば同月内で済ませたいところだ。

また、自宅近くの診療所をかかりつけ医とすることも節約につながる。大病院で初診を受ける場合、紹介状がないと1000〜5000円ほどの特別料金がかかるからだ。

確定申告の医療費控除も忘れたくない。受診料や病院までの交通費が対象となるので、領収書や通院履歴を管理しておこう。また、2017年より施行されたセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)により、薬局で購入した対象薬の費用についても控除を受けることができるようになった。

■ポイント5:通信費
 

最後は通信費だ。2017年3月に実施された楽天モバイルの調査によると、一般的なスマホ利用料金は月額7880円ほどだという。20代から65歳まで使用し続けると仮定すると、単純計算で約360万円の支出となる。家族が増えれば増えた分だけ負担も増えることを考えれば、節約に値することは間違いない。

そこで検討したいのが格安スマホだ。たとえば楽天モバイルの3.1GBプランの場合、5分かけ放題のオプションを追加しても月額2450円しかかからない。一般的なスマホ利用料金と比べて5000円程度も節約できるのは魅力的だ。各社のプランにより条件は異なるため単純比較はできないが、料金重視のライト層には見過ごせないだろう。

また、楽天モバイルは「縛り」が緩い。大手キャリアの多くのプランが、2年縛りと2か月の無料解約期間の繰り返しであるのに対し、楽天モバイルは、1年縛りの後は無期限で無料解約が可能だ。無駄な出費のリスクが低いのもありがたい。

ただし、単純な料金比較は危険だ。たとえば、格安スマホは「ショップ」が少ない。楽天モバイルは42都道府県に約160の店舗(2017年7月22日現在)を展開しているが、2016年時点で全国約2400店舗を展開するドコモショップと比べると圧倒的に少ない。困ったとき、すぐに対面で相談できるショップが近場にないと不安だという人は注意したい。

なお、楽天モバイルでは、ショップの少なさをカバーするための「ご自宅出張申込(設定サポート付き)」を無料で展開している。契約希望者が対象のサービスのため契約後に利用することはできないが、初期設定は手伝ってほしいという人にとってはうれしいサービスだ。

以上が、現役引退までに老後資金を貯めるためのポイントだ。飯村氏によると、上記のポイントを押さえれば、「住居費(住宅ローン)2万円/月」「保険料6000円/月」「水道光熱費2000円/月」「医療費2000円/月」「通信費1万円/月(5000円×2人分)」を節約することも可能だという。35歳から65歳までの30年間継続すれば、その見直し効果は4万円×12か月×30年=約1440万円。85歳までの老後資金を見事カバーできる計算だ。
 

将来の備えは現役のうち、早めの対策が肝心となる。5つの節約ポイントを参考に貯蓄計画を立て、豊かな老後を目指してほしい。