チャウシェスクは1989年のルーマニア革命で処刑 AP/AFLO

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 絶対的権力と富を手に入れた独裁者が、最後に求めるのが不老不死の肉体だ。己の命のためなら手段を選ばない。ルーマニアの独裁者チャウシェスクの「生への執着」はどんなものだったのか。

 1960年代からルーマニア共産党政権の頂点に立ち、独裁的大統領として25年間君臨したニコラエ・チャウシェスク。権力の座についた当初、彼の評判はそれほど悪くはなかった。しかし、妻のエレナが口を挟むようになってから、人口増加のために避妊を禁止するなど、とんでもない政策が実施され状況が一変する。

 それを象徴するのが「不老不死薬の開発」のために設立された「国立加齢科学研究所」だ。初代所長を務めた老齢医学の女性研究者、アナ・アスランが、麻酔薬のプロカインに硫黄やナトリウムなどを加えて「ジェロビタールH3」という薬を開発。国家元首のアンチエイジングに利用した。当時、この薬を求め、世界から多くの政治家や有名人が訪れたという。

 チャウシェスク夫妻の処刑から28年。現在でも同研究所は、ルーマニアのアンチエイジング研究や診療の中心的な存在となっており、同国政府観光局はアンチエイジングツアーを日本向けに売り出している。

※SAPIO2017年8月号