朝鮮中央テレビが公開した、「火星14型」の2回目の発射の様子 Image Credit: KCTV

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 北朝鮮が7月4日に、初の本格的な大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射試験に踏み切ってからわずか1か月足らず、当時の記事(北朝鮮の大陸間弾道ミサイル、届くのは「アラスカ」まで。それでも脅威な理由とは?)で危惧していたことが、早くも現実になってしまった。

 北朝鮮は7月28日の真夜中の23時41分(日本時間)ごろ、北朝鮮内陸部の舞坪里(ムピョン二)付近から、1発の弾道ミサイルを北東方向に発射した。日米韓などの観測により、ミサイルは7月4日のときよりもはるかに高く、そして長く飛び、北海道の奥尻島の北西約150kmの、排他的経済水域(EEZ)内の日本海上に落下したことが確認された。

 翌29日、北朝鮮は国営メディアを通じて、この発射は4日にも発射したICBM「火星14型」の2回目の発射試験だったと発表。前回の発射試験の成功を踏まえて、今回はミサイルの最大射程を実証し、またミサイルの全般的な技術的な特性を最終的に実証するところに目的をおいて行ったとしている。さらに弾頭の大気圏への再突入や、核の起爆装置の動作試験にも成功したと主張している。

 4日に発射された時点で、火星14型はせいぜいアラスカまでにしか届かず、ワシントンD.C.などのある米国本土には届かないだろうという見方が強かった。しかし、今回より高くまで飛べる性能が示されたことで、実際には米本土にまで届く能力をもっている可能性が出てきた。

◆普通に撃てば米国本土のワシントンD.C.まで届く?

 日本の防衛省によると、今回の火星14型は最大到達高度約3500km、飛行距離は約1000km、飛行時間は約45分間だったとしている。ちなみに北朝鮮の発表では高度3725km、飛距離998km、時間は47分12秒間と、おおむね一致している。

 4日に発射された火星14型は、到達高度約2800km、飛距離約900km、時間は約37分間だったので、今回ははるかに高く、そしてやや遠くまで飛んだことになる。このため当初は、火星14型とは異なる新型ミサイルの発射ではないかとも考えられたが、その後の北朝鮮が発表した声明や写真などから、同じミサイルであったことが確認された。

 前回同様、今回も北朝鮮は「ロフテッド軌道(ロフテッド・トラジェクトリィ)」という、通常より上向きの角度で飛ばすことで、高い高度まで飛ぶ代わりに、飛行距離を短く抑えられる撃ち方で発射した。

 憂慮する科学者同盟(UCS)の物理学者David Wright氏の計算によると、もし標準的な角度で発射した場合、到達距離は約1万kmにまで達するという。これは北朝鮮から直接、米国の本土(CONUS)を狙えるだけの能力である。

 なぜ、今回の発射では前回より高く(遠く)まで飛んだのかについては、いくつかの理由が考えられる。たとえば、前回より弾頭(を模した重り)の質量を減らして撃ったとすれば、同じミサイルでも飛距離は伸びる。ちなみに前回の発射の際も、弾頭質量が約1トンであそこまで飛んだと仮定すれば、もしそれを半分に減らせば飛距離は1万kmに達するだろうという試算がなされていた。

 あるいは、前回は試験的に、推進剤(燃料)を少なめに積んで撃ち、その成功を受けて今回は推進剤を満タンにして撃った、つまり今回初めて火星14型の本来の性能が発揮された、ということも考えられる。

 ミサイルを前回から改良した可能性もあるが、少なくとも外見からは、前回と今回で違いは見られない。機体形状やエンジンは同型のようだし、発射時の加速度にも大きな違いは見受けられない。

 また、一度発射に成功しているミサイルの仕様を、わずか1か月足らずのうちにころころと変えることは、技術開発のやり方としてはあまり正しいとはいえず、北朝鮮もそれは重々承知しているだろうから、可能性としては低いだろう。