宇多田ヒカル

 宇多田ヒカルの歌詞の魅力を伝える“歌詞の可視化”企画が好評を集めている。10日に配信リリースした新曲「大空で抱きしめて」の魅力を伝えようと、公式サイトでは、ファンが歌詞のフレーズのどの部分に注目しているかが分かる企画を展開。開始直後からファンの間で「斬新だ」「それぞれの注目している言葉が分かって面白い」といった声が挙がっている。宇多田ヒカルは今、歌詞をどう捉えてるのだろうか。周辺スタッフにそのあたりのことを聞いた。

可視化の意図

「大空で抱きしめて」の歌詞サイト

 10日に配信がスタートした宇多田の新曲「大空で抱きしめて」。EPICレコードジャパンへのレーベル移籍第1弾楽曲であり、事前に公開されたYouTubeでのCM動画は、公開から2週間で170万再生回数を突破するなど多くの反響を集めている。

 今回のリリースに合わせて「特設歌詞サイト」をオープン。Twitterでファンが投稿した反応により、日ごとに歌詞のデザインレイアウトが変化し、楽曲のどの部分の歌詞に注目が集まっているのかを一目で知ることができる企画で、“歌詞の可視化”を実現したレアな仕掛けだ。そもそもなぜ、このような企画を実施したのか。レコード会社担当者はMusicVoiceの取材にこう回答した。

 「昨年の『Fantome』のプロモーション時に展開した、歌詞サイト(曲名のハッシュタグを用いてファンからの感想を集めたサイト)が好評を博していたので、今回はさらにリッチなページを開発して展開しました。宇多田ヒカルの場合、プロモーションは本人軸で考えるより、作品軸で考えていったほうが正解が近いため、このサイトも作品を軸にしたプロモーションの一環となります」。

 『Fantome』は昨年9月28日に発売された6枚目のオリジナルアルバムで、再始動後初のアルバムとして注目を集め、CD不況と言われるなかで累計80万枚を超えるセールスを記録した。では、この企画をおこなったことで新たな発見はあったのか。

 前出の担当者は「より深くファンと作品との関係性や距離感なども知ることもでき、アーティスト、スタッフから見ても、いつも新たな発見ばかりです」と話している。作品ごとに考え、展開した企画は音楽の波及性だけでなく、アーティストとの距離感もはかることが出来ているという。では今後も“可視化”シリーズなど、宇多田の楽曲において、さらなる展開はあるのか。これについては以下の回答があった。

 「宇多田ヒカル自身、現在とても『言葉』を大切にした作品作りに邁進しているので、プロモーション展開も、より彼女の作品、特に言葉にフォーカスをあてた展開、企画などをこれからも考えていきたく思っております」。

過去に語っていた歌詞への想い

「大空で抱きしめて」の歌詞サイト

 宇多田ヒカルは昨年9月、およそ8年ぶりに出演を果たしたテレビ朝日系音楽特番『30周年記念特別番組 MUSIC STATION ウルトラFES 2016』で、活動休止期間中の様子を話していた。その時、曲の作り方にも言及。「私は音で聞こえてくるんですよ。最初にメロディとか、コードとかを書き上げて、歌詞は最後じゃないと書けないんです」とし、歌詞作りは「一番、とりかかるのが億劫になる作業ですね」と明かしていた。

 言葉と向き合う。その中で生まれた歌詞、そしてその思いはファンだけでなく、リスナーの心にも響いている。その反響は数字にも表れており、新曲「大空で抱きしめて」はリリース後まもなくiTunesランキングで1位を獲得した。

 また7月28日には、レーベル移籍第2弾楽曲で、TBS系ドラマ『ごめん、愛してる』の主題歌に起用されている楽曲「Forevermore」を配信リリース。宇多田がTBS系のドラマに書き下ろすのは、2002年放送のドラマ『First Love』の「SAKURA ドロップス」以来約15年ぶりだ。

 そして、同曲も同日のiTunesランキングで1位を獲得した。宇多田ヒカルの想いはメロディだけでなく言葉でも人の心を紡いでいるといえよう。なお、「Forevermore」でも歌詞サイト展開をしている。

 ※「Fantome」の「o」はサーカムフレックス付きが正式表記。

参考

「大空で抱きしめて」歌詞サイト
http://www.utadahikaru.jp/lyrics/01/

「Forevermore」歌詞サイト
http://www.utadahikaru.jp/lyrics/02/