新生浦和で起きる「本当の意味での競争」 堀監督が挑む前任者と異なるアプローチ

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2011年に続くシーズン途中就任 立て直しのポイントは6年前とは正反対

 浦和レッズはクラブ史上最長となる6シーズン目の指揮を執っていたミハイロ・ペトロヴィッチ監督との契約を解除し、後任に堀孝史コーチを監督として内部昇格させた。

 この指揮官交代によって、チームにどのような変化が起きることが予想されるのだろうか。

 堀監督がシーズン途中に誕生するのは、これが2回目だ。2011年に残留争いに巻き込まれたチームは、10月になってゼリコ・ペトロヴィッチ監督を解任し、当時ユースチームの指揮を執っていた堀監督をトップに昇格させた。その後、チームは苦しみながらもなんとかJ1残留を果たし、翌年からミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任。堀監督はコーチとしてチームに残った。

 11年当時の浦和は攻撃面で連動性に欠けており、FW原口元気(現ヘルタ・ベルリン)などによる個の能力頼みの攻撃になっていた。堀監督就任によって、そこに流動性と連動性を加えることで、短期間で一定の復活を見た。

 しかし、現在の浦和は違った状況にある。むしろ、攻撃の多彩さは折り紙付きだが、失点の多さがチームの大きな課題になっている。堀監督が立て直すべき要素は、6年前とはむしろ正反対と言えるのかもしれない。

「中心選手でも動きが悪いと思えば…」

 そうしたなかで11年当時の浦和を知るDF平川忠亮は、堀監督について「その時、その時の選手の状態を見る采配をする方ですね」と話す。そして「中心選手でも疲れて動きが悪いと思えば、代えるタイプ」とも話した。

 堀監督はチームの立て直しに向けて、ペトロヴィッチ監督とは違ったアプローチをするだろう。

 7月22日のセレッソ大阪戦に敗れた後、ペトロヴィッチ監督は「今のチーム状況を見ると、多くの中心選手の調子が上がらない状態が続いています。そこが今の我々の問題であると思います」と話した。調子が上がらないことを認識しながら、その中心選手たちをスタメンで起用。平川の言葉が6年後の今季も実践されるのであれば、こうした選手たちは入れ替えの対象になっていく。

 堀監督は就任にあたり「こういう苦しい状況のなかで、本当の意味での競争をしながら、本当に戦う準備のできている人間でゲームをやっていこう」という言葉を、選手たちに投げかけたと話している。6年前は4バックを採用した堀監督だが、当時とはそれまでの経緯も陣容も違う。ペトロヴィッチ監督が築き上げてきた3バックを継続するかは未知数だが、メンバーの流動性は高まっていくと予想される。

過密日程のなかで注目される再建策

 浦和はリーグ戦20試合を終えた時点で36失点と、守備に大きな課題を抱えているのは明白だ。そうしたなかで、ポルトガルのマリティモからU-17ブラジル代表経験を持つ25歳のDFマウリシオ・アントニオが加入することが1日に発表された。AFCチャンピオンズリーグ決勝トーナメント、ルヴァンカップ、天皇杯と過密日程に突入していくなかで、新戦力の融合も含め堀監督による立て直しがどのように機能するかは大いに注目される。

 だが、まずはチームに監督交代という大きな刺激が与えられ、ポジション争いの激化というファクターが加わると見られることは、チームに大きな変化を与えると予想される。それが良い方向に向かえば、個々のメンバーが持つ力量は国内トップクラスにあることは間違いないだけに、気が付けばリーグ戦で上位に進出し、終盤戦でタイトル争いに絡んでいる可能性もあるはずだ。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images