ラップのみならず、歌も堪能な注目株による初スタジオAL / 『ザ・オートバイオグラフィー』ヴィック・メンサ(Album Review)

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 米シカゴ出身の24歳、ヒップホップ集団Savemoneyのメンバーとしても知られる、ヴィック・メンサが、デビュー・アルバム『ザ・オートバイオグラフィー』を、2017年7月28日にリリースした。

 ヴィック・メンサは、これまでに2作のミックステープと、2枚のEP盤をリリースしているが、正式なスタジオ・アルバムは本作が初となる。本作は、ジェイ・Zのレーベルである<ロック・ネイション>からのリリースとなる。ジェイ・Zも、彼の才能を絶賛しているファンの1人。

 2016年にリリースされた、カニエ・ウェストの『Life of Pablo』収録の「Wolves」に参加したことで、知名度を高めたヴィック。本作にはカニエの名前はクレジットされていないが、ファレル・ウィリアムスやタイ・ダラー・サインといった人気アーティストから、ニューヨーク出身のラッパー、ソール・ウィリアムズ、音楽プロデューサーのシド・ザ・キッド、同郷出身のラッパー、チーフ・キーフや、ジョーイ・パープなど、鬼才なメンバーがゲスト・ミュージシャンとして参加している。ロック・バンド、ウィーザーの名前がクレジットされているのも見逃せない。

 アルバムのリリース直前、7月8日にリリースされたばかりのEP盤『The Manuscript』からは、「Rollin' Like A Stoner」が3曲目に、プシャ・Tとコラボした「OMG」と「Rage」の2曲もボーナス・トラックとして収録されている。

 ファレルとソール・ウィリアムズが参加した「Wings」は、ここ最近のファレルっぽさがない、N.E.R.D時代を彷彿させる、ロック要素を取り入れたヒップホップ・ソング。「The Fire Next Time」や「Memories On 47th St.」、「Down For Some Ignorance」などは、かつての東海岸っぽい雰囲気を漂わせている。

 ラップのみならず、歌も堪能なヴィック・メンサ。「Coffee & Cigarettes」や、タイ・ダラー・サインとコラボした「We Could Be Free」で聴かせるファルセットは、R&Bシンガー顔負けの美しさだ。センスの良いメロディアスなトラックも、ハードなラップ・ソングも両立できるところが、彼の魅力。その点は、ドレイクに近いか。

 プロデューサーには、ゲスト・ミュージシャンとして参加したファレルやザ・ドリームの他に、リアーナの「Umbrella」(2007年)やマライア・キャリー「Touch My Body」(2008年)などの全米No.1ヒットを生み出したトリッキー・スチュワートや、昨年、ビヨンセ、カニエ・ウェスト、フランク・オーシャンのグラミー・ノミネート作品を担当したマイク・ディーン、そして、ニッキー・ミナージュやジョン・レジェンドなどを手掛けるシカゴの音楽プロデューサー・デュオ、ダ・インターンズなどが参加している。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『ザ・オートバイオグラフィー』
ヴィック・メンサ
2017/7/28 RELEASE