安倍総理はきょう、内閣改造と自民党の役員人事を行う。このテコ入れで、下落した支持率の回復は望めるのだろうか。2日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、今回の人事の背景を分析。政権との関係悪化が伝えられる霞ヶ関官僚の評価を交えながら、安倍総理の狙いに迫った。

 まず、幹部の天下りや加計学園の問題を抱える文部科学省のトップには、閣僚経験が豊富で政策通として知られる林芳正氏臣を起用。省内を引き締める狙いがあるとみられる。元経産官僚の宇佐美典也氏は、「霞が関の官僚の間では"困った時の林さん"とも呼ばれている」と話す。「林さんは地元がが山口ということ、総理を狙っているとも公言しているので、安倍さんとは衝突する面もあるはず。それでも実力があるのでこういう時に使われる。厄介なことは全部ちゃんと処理してくれるので、信頼されている」。

 次に、自衛隊の日報問題などを巡って混乱した防衛省には、制服組からの信頼も厚いとされる小野寺五典氏が再登板。テレビ朝日政治部の細川隆三デスクは「小野寺氏が防衛大臣をやっていたときは自衛隊から慕われていたし、退任会見の時には涙していた。そういう人は役所から信頼される。良いんじゃないですか」とコメント。

 その自衛隊の日報問題といえば、当初防衛省が「廃棄した」と主張していたのに対し、"ある議員"が再度探させたところ、電子データが発見されたという経緯もあった。その議員こそ、河野太郎氏。「それ(日報)は絶対にどこかにあるからきちんと探せという指示をして、探した結果やっぱり電子で全部残っていましたと。ほら見ろと」と防衛省の文書管理体制を批判していた河野議員は、なんと今回の内閣改造で外務大臣に就くことになった。

 また、安倍総理と距離を置く野田聖子氏も、総務大臣に就任する。細川デスクは「結局はできなかったが、野田さんは前回の総裁選挙の時に(安倍さんに対抗して)立候補しようとした」とし、野田氏起用が"脱お友達内閣"を実現するためのポイントだとした。

 他に注目している新閣僚として細川デスクが挙げたのが、政調会長から経済再生大臣に内定した茂木敏充氏。「相当頭の良い方。林氏と同じくハーバード出身。安倍内閣の政策の一つとして『人づくり改革』というのをやろうとしている。人づくりというのは、どんな家庭環境でも教育が受けられるようにということ。つまり、文部省にも関係するし、色んな省庁にまたがる案件でもある。そういった意味で、この方の調整力を買われてポストにということになったのではないか」(細川デスク)。

■存在感を増した岸田派=宏池会

 "ポスト安倍"として名前が度々浮上し、稲田氏の辞任後は防衛大臣も兼務した岸田文雄元外務大臣は、党三役である政調会長に起用。安倍総理の後継レースに備えるためにも、一度閣外に出るのが望ましいとの声も挙がっており、安倍総理もそれに配慮した形となった。

 細川デスクは「三役を経験すると箔がつく。また、全ての政策に触れられるので幅が広がる」として、政調会長が総理へのステップになる話す。その一方、「岸田さんの方から仕掛けて安倍さんの対抗馬になろうという考えはそもそもない。来年の秋に自民党の総裁選挙がある。もし安倍さんが三選を目指して立候補するということになったら、岸田さんはたぶん出ない。ただ、安倍政権が非常に弱っている中で今回の内閣改造でどれだけの支持が回復するかは未知数だが、どこかのタイミングで安倍さんが退くということになれば岸田さんは手を挙げる。その時のために今政調会長をやっておくというのは岸田さんにとってはプラス」との見方を示した。

 今回の内閣改造では、そんな岸田氏が領袖である党内派閥"岸田派"(宏池会)の所属議員が4人入閣、存在感が高まるとみられる。

 細川デスクは「あまり派閥の推薦は受けないし、バランスも考えてないだろう。ただ、結果的にバランスをとっているなというところはある」と分析。岸田氏についても「人の寝首をかくようなことはしない。そこが宏池会だ」と話す。

 宏池会(宏池政策研究会)は自民党で最も古い派閥で、1957年、佐藤栄作元総理と袂を分かった池田勇人元総理が中心となった旗揚げしたのが始まりだ。メンバーは官僚出身者が多く、教養が豊富。ただ、争いには弱いことから「ハト派」「お公家集団」と呼ばれることもあった。

 池田派、宮澤派、古賀派など呼び名を変え、池田勇人氏をはじめ、大平正芳氏、鈴木善幸氏、宮沢喜一氏と、4人の総理大臣を輩出してきたが、宮澤氏が総理の座を退いた後は政権中枢から離れてきた。その後、2012年に岸田氏が宏池会会長に就いてからは、今回防衛大臣に再登板する小野寺氏や根本匠氏が入閣した。"ポスト安倍"に向け、いよいよ岸田派が浮上してくるのだろうか。

■『大臣の過去全部を洗え』というメールが省内に…

  加計学園の問題では文科官僚の反乱で疑惑に火がつき、安倍内閣は支持率急落や内閣改造へと追い込まれた。内閣改造で政権と官僚の関係は回復するのだろうか。

 「日本の官僚は仕組みがしっかりしているので、誰でも省庁が成り立つと言えば成り立つ。でも優秀な人だと組織を動かして活発化させてくれるので、その人がどういうバックグラウンドを持ってどういう実績を残してきたかを重視する。だから、新しい大臣が来ると大臣官房という大臣の直下にある組織から『大臣の過去全部を洗え』というメールが全局に一斉に配信されて、一週間くらい全部調べる」と振り返った宇佐美氏。

 民間出身者の起用はなく、まさに手堅い人事だったことについては「民間閣僚が発言権を持ちすぎると党が荒れる。今みたいに党が乱れているときに民間閣僚を重要ポストにつけるというのは考えにくい」と話した。

 ネット上には、秋にも安倍首相が衆議院を解散するとの予測も出ている。これに対し細川デスクは「可能性は低い。秋までに安倍政権の体力が回復するのかどうかというところ。時間がかかると思う。小池さんの都民ファーストとか、民進党が代表選でバタついていて、相手の準備が整っていないときに戦を仕掛けるというのは常套手段だが、まだ(安倍政権)の体力が回復していない。今回の内閣改造で少しでも支持率を上げて、臨時国会などでどこまで回復できるか」とした。

 今回の内閣改造で支持率は回復するのか、注目される。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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