インド・ジャイプールの市場で無線を聞く、女性警察官部隊のメンバー(2017年6月14日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】保守的なインド北西部で、女性だけで構成された警察官部隊が、男性が大半を占める警察に新しい風を吹き込んでいる。彼女たちは性犯罪や、レイプに対して沈黙する文化と闘うため、街をパトロールする。

 そのうちの一つ、ラジャスタン(Rajasthan)州ジャイプール(Jaipur)の部隊は、バス停、大学、公園など、女性がセクシャルハラスメントを受けやすい場所をパトロールしている。

 インドでは女性たちが街中に出ると、わいせつなジョークや後をつけてくる者――しばしば悪意のない「からかい」として片付けられる――から物理的な攻撃、レイプまで、さまざまな性的嫌がらせを受ける恐れがある。

 5月下旬に創設されたジャイプールの女性部隊を率いるカマル・シェカワット(Kamal Shekhawat)氏は「私たちが発したいメッセージは、女性に対する犯罪を一切容赦しないということだ」と語った。

 インドの性犯罪の発生件数はおぞましいほど多く、毎年約4万件のレイプ事件が報告されている。しかし、被害者が自分の訴えがどう処理されるのかを警戒して届け出ないこともあり、実数はそれよりもはるかに多いと考えられている。

 インドの警察官は男性が圧倒的多数を占めており、女性はわずか7%にすぎない。被害者はしばしば外見で判断されたり、事件について根掘り葉掘り聴かれたり、犯罪を招いたと非難されることさえあると活動家らは主張している。

 男性支配が根強いインド社会においてレイプ被害は恥とされ、報復の恐れもある。そのため多くの性犯罪が通報されず、性犯罪者が野放しになっている。

 シェカワット氏は、ジャイプールのより多くの女性がパトロールをする女性警察官の存在を目にすることで、親身になって話を聴いてくれる人がいることを知り、性犯罪者を告発するようになってほしいと願っている。

■市民の信頼を回復

 ジャイプールの公園では、ベージュ色の制服に白いヘルメットを被った1人の女性警察官がスクーターから降りると、サリーを着た女性グループに近づいて警察官だと名乗った。「電話をかけるかワッツアップ(WhatsApp)のメッセージでも、われわれにつながります」と警察官は伝え、名刺を配った。

「あなた方の身元が明かされることはありませんから、ためらわずに苦情を訴えてください。誰かに冷やかされたり、なんらかの形で迷惑を掛けられたりしたら、私たちに知らせてください。自力で解決しようとしないでください」

 女性グループは、部隊の他のメンバー同様に格闘技の訓練を受け、何か月もかけて法律を学んだその女性警察官の威厳に満ちた態度に感心したようで、電話一本で助けが来ると分かって安心した様子だった。

 2012年12月に首都ニューデリー(New Delhi)で医学生に対する集団レイプ殺人事件が起きると、インドは暴力事件の深刻さについて国際社会から厳しい目を向けられた。この事件を受けて性犯罪者を処罰する法律は厳格化されたが、それでも犯罪は後を絶たない。2015年にはニューデリーだけでも2199件のレイプ事件が報告されており、平均すると1日に6件にもなる。

 インド警察は全警察官の3分の1を女性とすることを目指して採用を進めているが、現時点ではまだその割合は少ない。ジャイプールの女性部隊も、昨年10月に創設されたウダイプール(Udaipur)の部隊に次いで、ラジャスタン州でまだ2つ目だ。

 シェカワット氏は「われわれの部隊はパトロールでどこに行ってもとても良い反響と前向きな成果を得ている」と言う。「(犯罪の)抑止力になっており、法と秩序の維持に欠かせない警察に対する市民の信頼を回復させている」

【翻訳編集】AFPBB News