難病の治療薬への期待が高まる(写真はイメージです)

写真拡大

京都大学iPS細胞研究所は2017年8月1日、全身の筋肉に骨ができる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の治療薬の候補を発見、その効果を確かめるため患者に対する治験を始めると発表した。

iPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用した創薬研究での治験は世界で初めて。難病の治療薬の開発に一歩前進と期待されている。

京都大学の発表資料によると、FOPは200万人に1人というまれな病気で、日本の患者は約80人という。幼少期にまず背中の筋肉など本来骨が存在しない部分に骨ができ、徐々に全体に広がり、著しい運動機能障害を起こす。有効な治療はない。研究チームは、FOPの患者の皮膚から細胞を採取しiPS細胞を作った。この細胞を使って約7千種類の化合物から病気の進行を抑える薬剤を絞り込むと、免疫抑制剤「ラパマイシン」が骨の異常な形成を抑えることを確認した。この薬を使った治験は9月から患者20人を募って行なわれる。薬を与える患者と与えない患者に分け、約半年間で効果を調べる。

iPS細胞は様々な細胞に変化できる細胞だ。患者の細胞から作られるため、拒絶反応が起こらず、細胞や組織を再生して移植する「再生医療」に期待されている。また、患者のiPS細胞を使えば、体外で病気の状態を再現できるため、「創薬」も柱の1つだ。筋力が低下する難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)」などでもiPS細胞を使った治療薬研究が進んでいる。難病は患者数が少なく、利益が見込めないため、製薬会社も開発に積極的ではないといわれる。それだけに、iPS細胞による「創薬」が期待される。

山中伸弥・京都大iPS細胞研究所所長は発表資料の中でこうコメントした。

「ヒトiPS細胞が出来て10年の節目となる今年に、この様な発表が行われたことを嬉しく思います。この治験をきっかけに、iPS細胞を使った創薬研究がますます活発に行われ、他の様々な難病に対する新しい治療法の開発につながることを期待しています」