東京ドーム前の電子掲示板

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 8月2日、公称信者数1100万人という巨大教団「幸福の科学」が、東京ドームで大規模なイベントを開催した。

 ’95年7月10日に行われた御生誕祭以来、22年ぶりのドーム講演とあって、特に古参信者らのボルテージは高かった。プログラムは「人類の選択」という大川隆法総裁のありがたい“御法話”に加えて、今年5月に突然の引退出家騒動で世間を騒がせた2世信者の清水富美加(千眼美子)が歌唱で出演。さらに全世界3500か所に同時中継するという力の入れようだ。

 そもそも、大川氏率いる幸福の科学とはいかなる教団なのか。ドームリポートの前にその歴史をおさらいしておこう。

◆週刊誌VS新興宗教の仁義なき抗争

 ’86年、大川氏は総合商社トーメン(現・豊田通商)を退職し、東京都杉並区西荻窪で幸福の科学を設立。同年11月、東京の日暮里で行われた発足記念座談会に集まったのは87人だった。翌年、救世の法3部作と題された『太陽の法』『黄金の法』『永遠の法』が出版されると、共鳴した全国の読者が続々と入信。勢力を急拡大させた。

 ところが、’91年8月、写真週刊誌『フライデー』が「急膨張するバブル教団『幸福の科学』大川隆法の野望」という教団に批判的な記事を掲載する。これを不満に思った多くの信者らが、護国寺の講談社に押し掛けてデモや抗議をするという騒動に発展したのだ。

 当時のフライデーはビートたけしと軍団の襲撃に応戦した武闘派ぞろいの編集部。教団の集団抗議に対して、大川氏の記事を続けて掲載するという反撃に出ている。同年7月に行われた東京ドームの教団行事では、大川氏自身が信仰の対象になる「地球最高神エル・カンターレ」であると宣言。教団の急激な成長もあってか、ワイドショーは週刊誌VS新興宗教の仁義なき抗争を連日取り上げた。

 当時の騒動を知る50代の男性元信者が語る。

「あの時は数百人の信者がプラカードを掲げながら、『フライデー即廃刊!』と叫んでシュプレヒコールをあげました。それとFAXで編集部に大量の抗議文をエンドレスで送り続けて業務を妨害したり……。記事では大川さんが元ノイローゼ患者という扱いでしたから、ピュアな信者ほど怒り狂ってましたね」

 なぜか記事とは関係のない『日刊ゲンダイ』の編集部にまで、大量の抗議文がFAXで送りつけられるという珍事もあったようだが、デモには当時の芸能人信者だった小川知子や景山民夫の姿もあって、この騒動を機に幸福の科学の知名度は一気に上昇。偉人や著名人の“霊言”を降臨させる「チャネリング(霊的交信)」という単語が、この年の流行語大賞において特別賞を受賞するまでに至った。

◆14名の実現党系地方議員が誕生

 その後、‘09年に幸福実現党が結成されると、教団の本格的な国政進出に世間の注目が集まった。同年の衆院選挙では、全国の選挙区に337名もの立候補者を擁立。選挙の公示1か月前になって教祖の大川氏本人が、比例東京ブロック1位からの出馬を表明。しかしながら、そのかいもなく全員落選。供託金11億円を国に没収されている。前出の男性元信者が語る。

「私の記憶では、政党結成後に週刊誌のインタビューを受けた大川さんが、『自民党の有力派閥が抱える人数くらいは当選させたい』という発言があったのを覚えています。それに、東京の地下鉄の中吊り広告に幸福実現党のポスターもたくさん出てましたから、当時信者だった私は幸福実現党の議員が何十人も生まれるんだろうなと思ってました」

 その後も同党は国政選挙に多数の立候補者を擁立し、送り出しているが、いまだ国会には1人の当選者も生み出せていない。だが、地方選挙においては’17年8月時点で、14名の実現党系議員が誕生している。そして、’16年の参院選では当選者ゼロながら、過去最高の約36万の比例票を獲得。保守政党を標榜して愛国派のイメージを浸透させた結果、選挙での組織力と獲得票数を着実にアップさせているのは要注目である。