専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第116回

 ゴルフ場では、落とし物や忘れ物が多く見られます。それらにも、結構興味深いものや、面白いエピソードがあったりします。

 まずボールの忘れ物というか、ロストボールについてのお話から。

 某ゴルフ場に行ったとき、なぜか若手人気女優の武●咲ちゃんの名前が入ったボールが落ちていました。しかも、ピンクの文字で綺麗にデザインされているではないですか!?

「これは本物だぁ〜! 武●咲ちゃんがここでプレーしてボールを落としていったんだ!!」って、小躍りすることしきりですよ。

 すると、背後で何やら微笑んでいるオヤジの姿が……。

「あれはね、実は俺のなのよ。自分の名前を書いても地味でつまらないから、好きな女優さんの名前を書いて、拾った人を喜ばせようと思ってさ」だと。

 紛らわしいことするなっちゅうの。でもなぜか、一瞬喜んだ自分がそこにはいたのでした……。

 気持ちを切り替えて、続いてのお話。ゴルフ場には、忘れ物を並べているショーケースがありますよね。あそこから、持ち主にしっかりと戻ることはあるのでしょうか?

 今どき、グローブの類いは消耗品ですから、頻繁に訪れないゴルフ場であれば、わざわざ取りには行かないでしょう。そういったものは、コース側としても処分しきれないもどかしさがあると思います。

 一方で、ゴルフクラブとか、腕時計や財布とか、それなりに高価なものは絶対に返すべき、というか、必ず問い合わせがあると思うのですが……。にもかかわらず、ずっとショーケースにあったりすると、なんか不思議でなりません。落とし主はお金持ちで、それらも消耗品だったりするのでしょうか。

 ゴルフクラブと言えば、以前こんなことがありました。誰かのサンドウェッジをキャディーさんが間違えて私のバッグに入れてしまい、それを知らぬまま、私は家に帰ってしまいました。もちろん、クラブ確認を怠った自分も悪いのですが……。

 とにかく、家に帰るや、バッグの中には知らないクラブが入っていたわけです。それで、まずはラウンドした仲間に連絡を取ってみると、知り合いが私のクラブを持っていました。これでまあ、ひと安心です。

 ただ、いざ交換しようという話になるや、なぜか「今度、会ったときで〜」といった流れになってしまいました。要するに、クラブ1本をわざわざ送り合う風習なんて、日本にはないんですよ。

 だいたい、1本のクラブをどうやって包んで、どう送るのか? やったことがないからわからないし、運搬の途中でクラブが折れたりしたら嫌ですしね。実際のところ、保険に入っているからいいんですけど、結局いろいろな不安要素があって、相互に送り合うことをしなかったのです。

 ちなみに、ゴルフクラブの保険は微妙なシステムになっています。10万円のドライバーが運搬中に折れた場合、10万円を払っていただく――と、普通はそう思うでしょう。

 ところが現実には、「これは購入当時10万円のドライバーですが、すでに購入されて5年が経過していますね。そうなると、価値としては5万円以下ですが、それでよろしいでしょうか」と、保険会社は言ってきます。

 それに対して、こちらは「お金の問題じゃない! 保険なんだから、同じブランドの同じスペックのドライバーを持ってこい!」と反論するわけですが、保険会社がそんな気前のいいことはしません。ゴルフクラブの保険なんて、思ったより甘くないですから、そこは気をつけましょう。

 話を戻しましょう。結局、クラブが入れ違った方とはあまり親しくなかったので、延々と会う機会が訪れませんでした。そして、ようやくクラブを交換できたのは丸1年後。クラブを間違えて入れられたコンペで再会したときでした。なんとも、のんびりした話です。

 今度は、逆にせこい話です。

 コース内で拾ったボールやティーはどうしていますか? ティーはいろいろと形状が違って、慣れや不慣れもあるので、個人的には短いショートティーだけ拝借します。ボールはあまり気にするタイプじゃないので、白くてほどほど綺麗なボールであれば、そのまま拝借して使わせてもらうことがあります。

 無論、それはOBゾーンなどにあって、完全に持ち主を失ったボールですよ。コース内で発見したロストボールは、他のパーティーが打ち込んだものかもしれませんから、そっとしておきます。そのほうが無難です。

 おおよそ拾ったボールというのは、実に球離れがよくて、何ホール目かにはOBとかでなくなってしまうことが多いんです。これぞ、俗に言う”キャッチ&リリース”の教えです……って、バス釣りかよ〜。

 ロストボールはそんなふうになくなる癖がついていることもあり、大事な勝負のかかったホールでは、ゲンを担いで使用することはありません。自分のニューボールで勝負します(といっても、ニューボールにした途端、すぐになくしてしまうことも結構あるのですが……)。

 それでも、不思議とロストボールがなくならず、意外と”活躍”してくれることがあります。そういうときはラウンド後、キャディーさんに「これ、ロストボールだから」と言って渡すか、ロストボール回収箱に入れますね。

 あと、後ろの組に若い女性がいたりすると、ラウンド中に自ら進んで忘れ物をする友人がいます。遠目からは美人に見えるミニスカ姿の子が、実際にはどうなのか、わざとクラブカバーを落として、そのカバーを拾いがてらチェックしに行くわけです。

 大抵はがっかりして帰ってくるのですが、たまに「すげぇ〜、可愛かった!」なんてことも。そういうときは、続けざまに財布を落として……って、それは話を盛りすぎですね。

 一方、前にいる組からうら若き女性の声が聞こえてきたら、何かを落としてくれないかと、その友人は期待しまくり。男物のヘッドカバーが落ちていても、「渡すついでに、どんな女性か見てくるよ」なんて、まあまあのテンションです。

 それがもし、花柄のハンドタオルだったりしたら、友人に限らず、同伴メンバーで落とし物の奪い合いですよ。「俺が返しにいくんだってば」とね。いやぁ〜、男ってバカですねぇ。そこで、何かが起きるわけでもないのに……。


落とし物の奪い合いって......ほんと男ってバカですよね

 こんなふうに、わかりやすい忘れ物は話のネタになったりしますが、問題なのは、忘れたことにさえ気づかないもの、まさに”究極の忘れ物”をした場合です。

 実はここ半年の間に、長年使用してきたアプローチウェッジをなくしました。それが、どこのコースで紛失したのか、皆目見当がつかないのです。自宅でクラブのラインナップを調べているときに、ふと気づいたんですから。

 思えば最近、「アプローチウェッジは中途半端で、使いでがない」という記事を書いていました。たぶん、それを察したウェッジが、拗(す)ねて失踪したんだと思っています。

 その失踪したアプローチウェッジに敬意を表し、今はアプローチウェッジをキャディーバッグには入れていません。木村家では、現在アプローチウェッジは”永久欠番”扱いとなっています。

 いつか、どこかのコースでひょっこり現れるかもしれません。鉛をベタベタ貼っているので、見間違うクラブではありません。可能性の低い再会を祈りつつ、粛々とラウンドする今日この頃です。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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