仏マルセイユの研究施設で撮影された、マウスの受精卵に対する遺伝子操作の過程を捉えた顕微鏡画像(2012年2月9日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】「ゲノム編集」技術をヒト受精卵に用い、病気の原因となる遺伝子変異を修復することに成功したとする論文を、米国のチームが2日、発表した。遺伝性疾患のない胎児をつくり出す技術の実現に一歩近づく研究結果だ。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された論文によると、米オレゴン健康科学大学(Oregon Health and Science University)などのチームはCRISPRと呼ばれるゲノム編集技術を生存能力のある胚に使用。改変した胚は、数日間のみ発育が許された。

 チームが研究対象としたのは、肥大型心筋症の原因となる遺伝子変異。肥大型心筋症は、突然の心臓不全と死亡につながる可能性のある遺伝性難病だ。

 チームは、遺伝子変異を持つ精子と健康な卵子の双方にゲノム編集ツール「CRISPR-Cas9」を導入し、58個の受精卵を作製。すると、うち約72%に当たる42個に遺伝子変異が生じなかった。

 片方のみに遺伝子変異のあるカップルの自然妊娠の場合、受精卵が変異を受け継がない確率は50%であることから、今回の手法は変異が生じる確率を大幅に軽減できることになる。

 研究に関わっていない専門家からは、今回の研究結果を技術進歩とたたえる一方で、ヒトDNA改変に伴う倫理的問題についてより深い議論を呼びかける声が上がっている。
【翻訳編集】AFPBB News