関西テレビ『僕たちがやりました』番組公式サイトより

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 1日に放送された『僕たちがやりました』(フジテレビ系)第3話の視聴率は6.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、ほぼ横ばいでした。相変わらずJK今宵ちゃん(川栄李奈)が主人公・トビオ(窪田正孝)のおちんちんを「うえーい」したり、伊佐美(間宮祥太朗)がおちんちんに導かれて帰宅したりと、健全なご家族から敬遠されそうな演出てんこ盛りですが、ドラマそのものは面白いので、数字はあんまり下がらないと思います。めっちゃ上がることもないと思うけど。

 さて、ほんのイタズラ心で仕掛けたおもちゃの爆弾が謎の大爆発を起こして、矢波(ヤバ)高生10人を殺害してしまったトビオ、伊佐美、マル(葉山奨之)の凡下(ボケ)高2トリオ。彼らの手元には各々300万円の現金と、重すぎる罪悪感が残っています。

 彼らに300万円の口止め料を渡してプーケットに高飛びしようとしていた主犯格のパイセン(今野浩喜)は、空港のロビーであえなく逮捕。一緒に行こうと思っていたトビオは、途方に暮れてしまいました。伊佐美は300万円を受け取った日に「これからは赤の他人ってことで」と言い残して姿を消してしまったし、マルも携帯を解約してしまったようで、連絡が付きません。

 街中の誰もが自分を監視しているような強迫観念にかられているトビオに、非通知の着信が。受話器の向こうでは、聞き慣れたベソ泣き声が聞こえます。

「マルか?」

 マルでした。マルも一緒にプーケットに行くと言っていましたが、ハナから行く気はなかったそうです。パイセンとトビオの2人が日本から消えれば、自分は自由になれる。そう思って連絡を絶ったものの、パイセンが逮捕されたニュースを見て、いてもたってもいられなくなったそうです。

 トビオはマルをいつものカラオケボックスに呼び出すと、ブスかわいい金髪の女がやってきました。女装したマルでした。ひとしきり爆笑したトビオは、とりあえず2人で逃亡することを決意。死ぬまでにやりたいことを全部紙に書き出して、あみだくじで初手を決めることにしました。

 美術館で壺を割る、京都で舞妓さんと野球拳……2人とも無理やりテンションを上げながら、夢を書き連ねていきます。

「オレがホントにやりたいことは、時間を巻き戻したい。そこそこ楽しかったあの時に戻ってやり直したい。それが俺のホントにやりたいことだ」

 トビオの心中はそんな感じでしたが、あみだの行方は「SEX」。それはそれで、やりたいことには変わりありません。

 童貞なので、どんな店に行けばSEXができるのかわからない2人。間違えてキャバクラに行ってしまいます。トビオは、こうした行為が単なる現実逃避であるという自身の姑息さにテンションが下がってきますが、お気楽なのはマルです。嬢のおっぱいを触りまくっていると、卓越したマイクパフォーマンスで店内を盛り上げていたボーイさん(とろサーモン・久保田和靖)につまみ出されてしまいました。

 その後、2人でネット喫茶に入って、風俗サイトを見ながらSEX作戦を練り直しますが、トビオが寝ている隙にマルは姿を消します。テーブルの上には、ヘタクソな字で「ごめん」と書かれた万札が1枚だけ。トビオがマルに裏切られたのは、プーケットの件に続いて2回目です。まるで学習能力がありません。もう金もありません。

 これ以上ないほど途方に暮れたトビオの前に現れたのは、伊佐美の彼女・今宵ちゃんでした。伊佐美とは連絡が付かないし、もう別れたつもりでいるんだそうです。今宵ちゃんは巨乳でヤリマンのくせにすごくいいやつで、トビオにシャワーを貸してくれ、バスタオルを持ってきてくれ、ついでにおちんちんをぺろーんと触ってくれました。あと、レバニラ炒めを作ってくれて、家に泊めてくれました。

 夜中にふとトビオが目を覚ますと、今宵ちゃんの巨乳が目の前に。思わず手を伸ばそうとすると、巨乳も目を開けますが、そのまま「いいよ」とか言ってくれます。すわ、童貞喪失か!

 と思ったら、玄関のドアが乱暴に開いて、伊佐美がなだれ込んできました。トビオには目もくれず、“元カノ”である今宵ちゃんに襲い掛かります。必死で抵抗する今宵ちゃん。トビオも、嫌がる女性に強引な行為をしようとする伊佐美に激怒しますが、いつの間にか今宵ちゃんが「さみしかった〜」とか言いながら伊佐美の首に腕を回して抱きついたりしてるので、すごすごと押入れの中で時を過ごすしかありません。

 伊佐美はあの日の後、街をさまよって、あちこちで吐いたりしながら、結局首を吊って自殺を図ったのだそうです。それで、ロープがほどけて気を失って、気が付いたら「生きてる!」そんで、「やりたい!」と思って、走って帰ってきて今宵ちゃんを抱いたと、そういうことのようです。

 3人は、しばらく今宵ちゃんの家に住むことにしました。翌日、ニュースを見ていると、爆破事件の詳細について報道されています。どうやらトビオたちが仕掛けた爆弾がプロパンガスに引火したことは間違いないようですが、その設置場所が、なんか変です。パイセンが作った計画書では、プロパンの近くに設置する予定はありませんでした。

 パイセン逮捕の決め手になったのは、目撃者である矢波高の教師(森田甘路)からの聞き取りによって描かれた似顔絵でした。あの日あの場所には、自分たちのほかに、あの教師もいたのです。そういえば、担任の菜摘ちゃん(水川あさみ)も、「なんであんな時間にいたのかしら?」と疑問を持っていたし、あの教師が自校の生徒にボコられていたことも知っています。

 あいつが、爆弾をプロパンの近くに移動したのか。復讐したのか。

 真犯人は、俺たちじゃない。トビオと伊佐美の顔が、みるみる罪悪感から解放されていきます。「僕たちはやってませんでした」というわけです。

 しかし、そんなこと知らんのが当の矢波高生たちです。瀕死の重傷を負って車いすの市橋(新田真剣佑)らが、「逮捕される前に処刑する」と、トビオたちを追い詰めるのでした。というところで、第3話はおしまいです。


■トビオだけが、何も自分で決めていない


 さて、事件を起こした4人が最初にとった行動については、いちおうの決着を見ました。

 パイセンはプーケットに高飛びしようとして失敗、逮捕され、取り調べでは意味不明な言語を発したり、何かを吟じたりしています。

 マルはパイセンの誘いに乗るフリをして、パイセンとトビオの2人を国外に追い出し、身の安全を確保しようとしましたが、逃げ切れませんでした。

 伊佐美は、ほかの3人と縁を切ることで生き抜こうとしましたが、それは無理でした。そして、一度死んで、生き返りました。

 それぞれに事件を深刻に受け止め、もうどうにも戻れないことを悟り、「こう生きていく」あるいは「もう死ぬ」と、能動的に決めて動いている中で、主人公のトビオだけが受け身です。この期に及んで「そこそこでいい」「そこそこの人生を歩みたい」という未練が捨てられません。要するに、本気じゃないんです。どこかで、いつも「時間を戻したい」という妄想に逃げ込んで、ヘラついているんです。

 で、何が言いたいかというと、何事にも本気じゃない人の芝居にリアリティを出すのって、本気の人を演じるより、ずっと難しいんだろうなということで。生き返った伊佐美の雄叫びも、怯えきったマルの泣き言も、やりきってしまえばいいわけですが、トビオという人物は、常に余白を残している。状況的にとことん追い詰められながら、余白がある人、という風にトビオが見えるので、窪田くんはすごく役に合致したお芝居をしているのだと思います。

■ところで、原作の根底を覆す改変が行われました


 第2話まで、ほぼ原作をトレースしてきた『僕たちがやりました』でしたが、小さな改変は行われていました。原作では、パイセンの似顔絵は防犯カメラから割り出されていましたが、ドラマでは、ここに目撃者の矢波高教師を配置していたのです。この意図が、この第3話で明らかになりました。

 それが、この教師を“真犯人の疑いのある人物”とすることだったわけです。

 これ、すごく大きな改変だと思うんです。トビオたちは原作では終始、「どう考えても僕たちがやりました」という重すぎる現実から逃れられない人物でした。他の可能性がゼロだったからこそ、激しく自責し、激しく荒れ、激しく苦しむことになった。

 前回のレビューで、彼らはその苛烈な罪悪感から過剰なセックスに走ることになるが、過激なエロを出せないドラマでその心情を描き切れるのか、といったことを書きました。

 今回の改変で、とりあえずですが、トビオたちは苛烈な罪悪感から解放されることになります。物語の根底にあった「枷」が外されたのです。「描き切れなそうな罪悪感をどう描くか」ではなく「あんまり描かない」という方向に舵が切られたということです。そのかわりに「真犯人を探せ!」というミステリー要素がプラスされました。

 決して悪いことじゃないと思うんです。『僕たちがやりました』という原作のグロさは、トビオたちの心理描写のグロさです。追い込まれ過ぎた彼らの頭には、ちょっとこれはテレビドラマには耐えられないよなーというくらいグロい思考が次々に浮かんできます。

 それをそのままやらずに、ポップな方向で「ミステリー&逃亡劇」っぽいドラマを作っていくことにしたのだとしたら、それはそれでテレビ向けに正しい改変だと思いますし、よりドラマオリジナルの展開が楽しみになりました。あと、毎度ですがパイセンラブです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)