3作連続で記録更新濃厚! 『怪盗グルー』シリーズの快進撃は続く

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 『怪盗グルーのミニオン大脱走』が2週連続で1位となった先週末の動員ランキング。土日2日間の動員は42万8000人、興収は5億3000万円。週末の成績では前週比88.5%、夏休み中ということもあって平日も高い水準の興行を続けていて、累計興収は10日間で早くも興収20億円を突破し20億1700万円を記録。これはシリーズ最高興収を記録した『ミニオンズ』との同期間の興収比で112.7%という数字だ。

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 2010年に公開されたシリーズ第1作『怪盗グルーの月泥棒』の日本での最終興収は12.0億円、2013年の『怪盗グルーのミニオン危機一発』は25.0億円、2015年の『ミニオンズ』は52.3億円。これまで作品を送り出すごとに倍々ゲームで興収を伸ばしてきた同シリーズだが、さすがに今回も倍とはいかないだろうが(そうしたら100億円を超えることになる)、現在のペースでいくと『ミニオンズ』を確実に超える見込みだ。

 ちなみに日本の配給会社は2015年の『ミニオンズ』を「スピンオフ作品」と呼ぶことを推奨していないが、それは本シリーズに比べて興収が落ちるのが通例のスピンオフ作品にあって、同作がシリーズの最高興収を記録したからだけではない。実は『怪盗グルー』シリーズの次作として、2020年の夏に『ミニオンズ』の続編が公開されることが本国では既に発表済み。ミニオンたちの起源を描いた『ミニオンズ』に続く次の作品がどのような時間軸の作品となるかはまだ不明だが、『怪盗グルー』シリーズと並行してその登場キャラクターである『ミニオンズ』もシリーズ化されるという、あまり前例のないシリーズ展開が今後控えているのだ。

 期待通りのスタートダッシュをきった『怪盗グルーのミニオン大脱走』だが、日本での宣伝展開の巧みさにも注目したい。特定の企業だけでなく、驚くほど広い範囲にライセンスされているキャラクター商品の大展開。大阪ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにおけるミニオンの看板キャラクター化。大手コンビニエンス・ストア・チェーン、ローソンにおける長期キャンペーン。それらを基盤としつつ、ファレル・ウィリアムスの主題歌の日本オリジナルのコラボ・ミュージックビデオの公開、声のキャストによる日本各地でのキャンペーン、大手ファストフード・チェーン、マクドナルドでのキャンペーンの開始など、公開後も毎週のように新たな話題を提供し続けている。

 公開日翌日の7月22日に『怪盗グルーのミニオン危機一発』が地上波のプライムタイムで放送されたばかりだが、ちょうどお盆休みに入るタイミングの8月11日に、今度は『ミニオンズ』の地上波初放送も決定。家族揃って安心して見られる内容、毎作90分前後のコンパクトな本編時間、画面からちょっと気をそらしてもストーリーに置いて行かれることがない、などなど。今やその役割を終えつつあるとも指摘されている地上波におけるプライムタイムの映画放送だが、本シリーズほどテレビ放送に打ってつけの作品もなかなかないだろう。

 東京に一極集中したイベントの開催や公開日に焦点を合わせたキャンペーンが通例となっている日本における外国映画の宣伝にあって、同シリーズの宣伝で重要視されているポイントは「日本全国での展開」と「公開後の長期展開」の二つ。映画に限らず大ヒットの法則は「東京だけでなく地方でも当たること」と「ロングセラー化」だが、『怪盗グルー』シリーズの日本における急成長とスタンダード化は、コンテンツ自体が持つパワーだけではなく、そうした周到な宣伝戦略の結果でもあるのだ。(宇野維正)