1日、韓国・聯合ニュースによると、韓国の女性作家・韓江氏の小説『菜食主義者』の英訳版『ベジタリアン』を読んだ海外の読者らが「面食らっている」という。資料写真。

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2017年8月1日、韓国・聯合ニュースによると、韓国の女性作家の韓江(ハン・ガン)氏の小説『菜食主義者』の英訳版『ベジタリアン』を読んだ海外の読者らが「面食らっている」という。同作は昨年、世界的に権威ある文学賞の一つである英国のマン・ブッカー賞国際部門に選ばれ、英語に翻訳したデボラ・スミス氏も韓氏と共同受賞していた。しかしその後、英訳版の誤訳が数々指摘されており、このほど翰林(ハルリム)大のキム・ボン教授(英語英文学)がスミス氏の誤訳について改めて批判したのだ。

キム教授は英米文学研究の学術誌に寄せた論文「『菜食主義者』と『ベジタリアン』:原作と翻訳の境界」で、「原作はもちろん、英語圏の読者をも裏切ったという批判を免れない」と誤訳の深刻さを指摘した。

キム教授によると、スミス氏は作品の4人の主要な登場人物であるイネ・ヨンヘ姉妹とそれぞれの夫らの関係を誤って把握していたという。妹ヨンヘの夫が、ヨンヘを看護する義姉イネと話す場面では、「妻の姉」であるイネが誤って「妻の兄」として書かれており、ヨンヘの「姉の夫」に当たるイネの夫が「ヨンヘの元夫」と誤訳されている部分もあるそうだ。

またキム教授は、作家が人物の関係や心情を描き出すため熟考し選んだはずの単語に誤った訳語が選択されている箇所があるとして、原作の「グロテスクな」が「みだらな(obscene)」と訳されている部分を挙げた。

さらに決定的なのは、英訳版で省略された部分が多数あることだ。キム教授が「翻訳者が作為的に削除した」と指摘した部分は、第1部で3カ所、2部に11カ所、終盤の3部では33カ所に上る。そのためか、英語圏読者のネットレビューでは、作品の中・後半への不満が集中的に上がっているそうだ。

キム教授は、同作を翻訳するには「翻訳者の韓国語理解力が非常に不足していた」と批判、これに韓国のネットユーザーからも、「ハングルの優秀性に英語が追い付けないのかも」「韓国語の準ネーティブでもない人が文学作品を翻訳したと聞いた時からおかしいと思ったよ」と同調する声や、「翻訳者が作品を自分の色に染めようとしてわざと誤訳した可能性もある」とスミス氏を疑うコメントまで寄せられている。

また、「ということは、英訳版で審査されたブッカー賞もでたらめってことか」「韓江さんは自分の本の英訳版を読んでないってこと?」「韓国は英語教育にものすごいお金をつぎ込んでいるのに、まともな翻訳家がいないんだね」といったコメントもあった。(翻訳・編集/吉金)