龍真咲(撮影:志和浩司)

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 昨年9月に宝塚歌劇団を退団してから、そろそろ1年が過ぎようとしている。元月組トップスターの龍真咲が、J-POPにチャレンジする。初めてのアルバムとなる「L.O.T.C2017」を8月23日にリリース、そのわずか3日後、26、27日には東京・Bunkamuraオーチャードホールでコンサートも開くのだ。宝塚の下級生のころから堂々とした歌いっぷりで、歌唱力には定評のある龍が挑む新境地とは?

男役トップスター龍真咲がフェミニンなイメージに J-POPやジャズなど未知の領域に挑む

 今年4月・5月には、退団後初のディナーショー「MUSE」を成功させた龍。男役トップスターのイメージから心機一転、レザーのホットパンツにニーハイガーターベルトという大胆なコスチュームで登場すると、宝塚時代からおなじみのナンバーやミュージカルソングをはじめ、これまではほとんど聞くことのできなかったJ-POPのメドレーまで披露。その表現力の幅広さが話題を呼んだ。

 「退団後は、生活も変わりました。時間がゆったりと流れるようになった。何かに取り組む日とメリハリがつくんですよね。そのせいか、集中力も増してきたし、コンディションは整えやすくなったと思います。ニューヨークにゆっくり滞在して、ブロードウェイを観たり、刺激を受ける時間も持つことができた。いま、とてもいい環境にいます」

 そして今回のアルバム「L.O.T.C2017」へと流れはつながる。

 「全曲オリジナルで、ショートムービーのような構成でコンセプトがしっかりしているアルバムです。宝塚時代は、自分一人だけでやることが多かったのですが、今回、多くのプロフェッショナルに携わっていただいて、私はその中で身を任せて表現に集中しました。いい経験をさせていただいています」

 プロデュースを手がけたのは、音楽制作集団、アゲハスプリングス・チームの「onetrap & aspr」。

 「J-POPのアルバムですが、曲調的にはジャズ、ダンス・ミュージック、ロック、バラード、さまざまなジャンルに挑戦しています。曲調については私自身、提案しました。現代の空気感とノスタルジックな空気感が融合した作品に仕上がっています。宝塚時代から応援してくださっているファンの皆さま、このアルバムで初めて私のことを知っていただく皆さま、いろいろな方に共感していただけたらいいなと思っています」

 コンセプトのしっかりしたアルバムということだが、いまのデジタル時代、曲順を無視しシャッフルして聴く人も多い。

 「シャッフルして聴いても音楽のコンセプトは伝わると思いますし、そこは聴く方の自由ですが、できれば1曲目の『LANDING on the CITY』から順番に通して聴くのがおすすめです。音的なつながりも考えてあるので、そのほうがより楽しめるかもしれません」

 L.O.T.CはLanding On The Cityの略とのことだ。その通り、渋谷の街に妖精が舞い降りたイメージのアルバム・ジャケットも注目を集めている。撮影は、浜崎あゆみやレディー・ガガ、松任谷由実、安室奈美恵など多くのアーティストを撮影したことで知られる写真家レスリー・キーだ。

 「朝早く撮ったんですよ。それでも結構、人がいて、皆さん遠巻きに見ていました」

 デニムファッションに身を包んだ龍のポージングは女性的でやわらかく美しく、1年前まで男役トップスターだったとは思えないほどだ。通常、退団した元男役が女性としての表現をするためにはある程度の時間を要するものだが、龍は退団後わずか3カ月後の宝塚エリザベート20周年記念のガラコンサートでエリザベートを演じ、ファンを驚かせた。

 奇しくも8月26、27日のコンサート会場は、そのときと同じBunkamuraオーチャードホールだ。

 「大きな劇場なので緊張しますが、それよりもそこでコンサートができるという楽しみのほうが大きいですね。皆さまの前で歌って踊って……動いている私をお見せする機会があまりないので、宝塚退団後にこんなに大きなコンサートができるのは嬉しく思います。退団後、初めてとなる部分をどう表現できるか、未知の領域への挑戦になりますが、お越しくださった皆さまと一緒に、思いきり歌って弾けたい」

 宝塚入団以前、幼いころから歌が好きだったという龍。

 「歌っていきたいという気持ちはずっと持っていた気持ちなので、今後も歌うことは大切に続けていきたいですね。いま、このときが大事。しっかり結果を残して表現していきたい。今回のアルバムもコンサートも、宝塚時代を知らずに初めてくるという方にもぜひ楽しんでいただきたいと思います」

 宝塚で最後に演じた役は、織田信長だった。それから約1年、妖精になって渋谷の街へ舞い降りてきた龍真咲。これからどこへ歩いていくのか、楽しみだ。

(取材・文・撮影:志和浩司)