銀行カードローンに総量規制の憶測

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 自己破産件数は2003年をピークに減少傾向を辿ってきた。変化が見られ始めたのは昨年のこと。司法統計によると前の年に比べ687件増え6万4531件と増加に転じた。

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 増加の大きな要因として槍玉にあげられたのが、銀行のカードローン。「融資額を、消費者金融同様に年収の3分の1以内という枠をかけるべき」という論が高まった。三菱UFJフィナンシャル・グループ社長で全銀協会長の平野信行氏は「反対」を強調しながらも「一部に行き過ぎがあったことは私どもも懸念している」とした。

 だが真に問題なのは、銀行のカードローンには「損をしない」」枠組みが出来上がっている点にあると考える。「どういうことか」を知るためには、まずは以下の様な経緯を認識しておく必要がある。

★2010年の貸金業への総量規制:消費者金融の貸し付けに「年収の3分の1以内」という枠がはめられた。同時に、適用金利が年利20%以内に抑えられた。

★消費者金融の脆弱化:総量規制で経営難に晒された(大手)消費者金融は、生き残り策として「銀行への傘下入り(子会社化)」の道を選択した。

★銀行の預貸利鞘の縮小:13年の黒田東彦総裁下で執られた「異次元的金融緩和策」以降の日銀の金融政策で、銀行の貸し付け利息が急低下。銀行は従来型融資の縮小を余儀なくされた。以来、傘下に収めた消費者金融のノウハウに基づき金利が相対的に高い、カードローンを積極的に売り出した。

★同時に銀行は傘下の消費者金融を活用し、個人ローン向けのリスクヘッジ体制を敷いた。

 リスクヘッジ体制とは、消費者金融に所定の手数料を払い「与信審査」「貸し付け」「返済」「返済遅延・滞納時対応」を一切“丸投げ”してしまうことである。総量規制下、消費者金融は融資残高の低減・頭打ちに陥った。その代わりに親会社及び関連銀行の信用保証業務(リスクヘッジ)による手数料収入に活路を求めざるをえなくなった。ちなみに17年3月期の三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下のアコムの営業貸付金は前期比2・3%増の7848億円に対し、信用保証残高は14・4%増の1兆1298億円。

 銀行がカードローンに総量規制をかけられることは、「傘下の消費者金融を破綻に追い込む」と表裏一体ともいえる。金融庁は、どう動くのか。