旭山動物園・「くもざる・かぴばら館」/(C)旭川市旭山動物園

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東門から下りてきたとき、右手側にあるのが「くもざる・かぴばら館」。「第五の手足」とも呼ばれる尻尾を自由自在に使いこなすジェフロイクモザルと、ネズミの仲間では世界最大となるカピバラが同居する施設です。

旭山動物園・「くもざる・かぴばら館」のカピバラ/(C)旭川市旭山動物園

「同居といっても、何か仕切りがあるんでしょう?」なんて思っている方。仕切りはございません。この施設には木をイメージした高さ7メートルの遊具とプールが設置されていて、遊具はクモザル、プールはカピバラ、陸上は共有空間という棲みわけができるようになっているんです。

クモザルとカピバラはともに中南米で暮らす動物。旭山動物園ではこういったように野生下の生息地が近いもの同士を一緒に飼育する、共生展示を積極的に行っているんですね。

とはいうものの、2017/8/2現在、クモザルとカピバラは別々に展示されていて、同居はこれから。実は今年初め、一頭いたカピバラが亡くなってしまい、今は7/3に愛媛県から来園した2頭のカピバラ(ともにメス)を慣らしているところなんです。順調にいけば、来週8/9から始まる「夜の動物園」頃には共生展示が見られるかも知れませんよ。

このカピバラ。わりと顔もでかくて体つきもどっしりしているんですが(体重は35kg〜65kgほどにもなる)、ネズミなんですよねぇ。ちなみに、前足と後ろ足には水かきがあって泳ぎが得意。外敵から身を隠すために、水中に潜ることもできるそう。

さて、一方のクモザル。この動物の特徴はなんといっても尻尾! 「第五の手足」と呼ばれるくらいなので、遊具にぶら下がったり、モノをつかんだりと、まるで手足のように自由自在に使うことができるのです。尻尾はもちろん、手も足も長いので、遠くから見るともう何がなんだか分かりません!

英名はBlack-handed Spider Monkey。まさに、「蜘蛛ザル」なんですね。見に来たお客さんも、「なんであんなとこを歩いてるの?」「手も足も尻尾も全部長いけど、なにこれ!」と上を見上げて驚いていることが多々あるそう。

このクモザルの尻尾、先端の裏側には毛が無く、尾紋と呼ばれる人の指紋のような皮膚のヒダがあり、滑らない仕組みになっているのだとか。ちなみに、木の上ではこの長い尻尾を器用に使って移動するんですが、地上に降りたときは二足歩行。ちょっと面白いですよね。

のんびりと過ごすカピバラと、信じられないバランス感覚で頭上を移動するクモザル。なんだか不思議な同居生活、楽しみに待ちましょう!

※写真提供:旭川市旭山動物園

【北海道ウォーカー/出村聖子】