22/7(ナナブンノニジュウニ)が示す、アイドル×アニメの新たな可能性 香月孝史が初ライブを観た

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 秋元康×アニプレックス×ソニー・ミュージックレコーズによるデジタル声優アイドル、22/7(ナナブンノニジュウニ)が、7月22日に初のライブイベントを開催した。これまで22/7は、「声を通して演じる」側面を打ち出した朗読劇公演を積み重ねてきたが、今回はオリジナル楽曲のパフォーマンスによって、女性アイドルシーンに自らを位置づけるイベントとなった。

 8人のキャラクターのモーションキャプチャーライブによる、初のオリジナル曲「僕は存在していなかった」の披露からイベントは幕を開ける。各々に性格付けがなされた二次元キャラクターのライブは一見して、ジャンルとして定着しつつあるアイドルアニメの系譜を思わせる。ただし、“デジタル声優アイドル”として打ち出された22/7の現時点での特異性は、二次元における世界観の構築と三次元のそれとが同時進行で立ち上げられている点にあるだろう。メンバーたちが姿を見せてからのイベント後半では、キャラクターの声を担当する彼女たちが生身のパフォーマンスによって「僕は存在していなかった」を披露するが、それはすでに確立しているアイドルアニメを3次元によって後追い的に“カバー”するようなものではない。8体のキャラクターとしての22/7と、その声を担当しながらアイドルとして活動する三次元のメンバーとしての22/7とのどちらが先んじることもなく、「僕は存在していなかった」という楽曲は両者にとって等しく基点になるものだ。そして、どちらのストーリーもまだ、現段階ではまだはっきりとはわからない。

 他方で、今日の女性アイドルシーンの中で、22/7がどのような個性をみせていくグループになるのか、メンバーたちによるリアルライブでその一端をうかがい知ることができた。22/7の持つもう一つのオリジナル楽曲はレジスタンスを謳った「地下鉄抵抗主義」だが、この楽曲に色濃く感じられるのは、22/7と同じく秋元康とソニー・ミュージックレコーズが手がける欅坂46からのインスパイアである。彼女たちの制服衣装に、乃木坂46から欅坂46へと連なる“坂道シリーズ”の基調を感じさせることなども含めて、楽曲として、あるいはアイドルグループとしては、秋元康×ソニー・ミュージックレコーズの大きな成果である“坂道シリーズ”に範をとりながら、その第一歩を踏み出している。この楽曲イメージが22/7の代表的なものとなるのか、あるいは一側面に過ぎず、キャリアを重ねるに従ってグループならではの幅を広げていくのか、それはメンバーとキャラクター双方がいかに成長し物語を紡いでいくかにかかっている。

 同日のイベントでは22/7のアニメ化決定も発表され、メンバーの制服衣装と同じデザインの衣装をまとったキャラクターたちの姿もすでにお披露目されている。このアニメ作品の世界観がいかに作られていくかによって、22/7というグループが持っている、二次元/三次元の二重写し的な性質がどれだけ活かされるのかが左右されるだろう。あらかじめアイドルアニメ作品として存在するものが三次元に立ち上げられるのでもなく、またあらかじめキャリアを持つ生身のアイドルグループをアニメが追いかけるでもない独特のプロジェクトだからこそ、その両者の足並みを揃えて道のりを開拓してゆく面白さがある。同時に、最適なバランスを探り当てる難しさも持つだろう。

 アイドル×アニメという組み合わせは従来、必ずしも双方向にポジティブな反響ばかりを生んできたわけではない。いわゆるアイドルアニメが、メジャーからローカルまでさまざまな三次元アイドルを参照しながら継続的に制作され、三次元アイドルのオルタナティブかつ批評として機能しているのに対し、三次元のアイドルが二次元作品に接近する際には、時には「畑違い」として警戒され、あるいはアイドル自身がそうした反応をあらかじめフィードバックして遠慮がちに振る舞うような局面がみられることもある。両者がそうした不均衡を抱えているからこそ、一風変わったバランスで展開される22/7が、双方をいかに架橋できるかは注目に値する。

 グループとして9月20日にシングル『僕は存在していなかった』でメジャーデビューすることが発表され、アニメ化も決定したことで、秋に向けてストーリーが本格的に動き出す。まずは、22/7がこの両輪を武器にどのような道を作り上げていくのかに期待したい。(香月孝史)