ハガキ職人と青春小説

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青春小説は読んでいてさわやかな気分になります。一般的に青春小説は、学校生活などのキラキラしたものに焦点が当てられがちです。一方で、オタク系の人間に注目されることもあります。風カオルの『ハガキ職人タカギ!』(小学館)は、ハガキ職人に着目した珍しい青春小説です。

もはやハガキではない

本書の主人公は、ハガキ職人をしている高校生の男子です。しかし、すでに2000年代に入っているのでハガキではなくメールでネタを送っています。すでにインターネットで全国にいるハガキ職人仲間と連絡を取り合っているのは時代を感じさせます。

深夜ラジオを通したネットワーク

それでも、メールであったとはいえラジオ放送は深夜に電波を通して発信されています。いわば秘密の交信圏といったところでしょうか。知っている人は知っているが、知らない人は知らない。そしてリスナーはおしならべて熱狂的である。それはかつては「ビートたけしのオールナイトニッポン」がなしとげた快挙であり、現在にも受け継がれているといえるでしょう。地味ながらも、何かに夢中になることの大切さを知らされる話であるといえるでしょう。さらに本書の主人公は地方在住の高校生です。ネットやスマホで何でも手に入るようでいて、表現の術を探す渇望感のようなものはいつの時代にも共通するものなのかもしれません。