Image: 大藪龍二郎 via Ryujiro Oyabu


何か子供の情操教育に役立つことはないかなー、と無料雑誌をパラパラめくっていた週末。目に飛び込んで来たのが、「縄文 陶芸ワークショップ」の文字。マレーシアで縄文? なにそれ面白そう! 

ということで、日馬外交樹立60周年という記念すべき年に、大日本印刷とNPO法人「ジョウモニズム」がダッグを組んで、日本の縄文時代をサブカルチャーとして多国籍文化が根付くマレーシアに向かって大々的にアピールする『Arts of Jomon/Hyper Subculture』展に行ってきました。

そもそも歴史科目にめっぽう弱い筆者が「縄文時代」と聞いて思い出せるのは、視聴覚室の片隅に置かれた縄文土器のレプリカ、縦穴式住居、小学校の裏庭で掘り当てた黒曜石のナイフだけ。

この展示会を機に、改めて「縄文」について調べてみました。

【縄文時代について】

縄文時代に日本列島に定住した人々は、自然と共存した狩猟・採集・漁労生活のなかで、縄文土器などの独自の文化を開花させながら、1万年以上もの間、持続可能な社会を築いていたと考えられ、また戦争の痕跡も発見されていないことから、近年世界的に注目されるようになりました。

引用: Jomonism

【縄文土器とは】

粘土に砂を混ぜて練り、粘土紐を積み上げて土器を成形。その後縄やヘラを使用し文様付けしたあと日陰でゆっくりと自然乾燥させます。最後に薪を使って窯ではなく野焼きして完成させる手順で作ります。

Source: いしかわの遺跡

今回、そんな『Arts of Jomon』展で筆者が目を奪われて一瞬で惚れたのが「縄文土器スピーカー」。偶然にも、訪れた日にその製作者である陶芸家の大藪龍二郎氏が縄文土器ワークショップを行なうために会場にいらしていたので、感動のあまりゲリラ的にお話を伺いましたよ!






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Photo: 中川真知子
魚型縄文土器スピーカー


大藪龍二郎氏は「縄文の街」の異名を持つ東京都町田市生まれ。幼少期から小学校中学年頃まで、近所を掘っては化石や土器の破片を見つけていたという大藪氏が、縄文土器にのめり込んだのは小学校5年生で縄文土器を作ったとき。「その瞬間、全てが繋がったようでした。まるで導かれたというか。形容しがたい感動でした」と目を輝かせて語ってくれました。

そんな大藪氏が力を入れているのが太古と今をテクノロジーでつなぐ「縄文土器スピーカー」なんです。


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Photo: 中川真知子
製作者の大藪氏と共に


このスピーカーの驚くべきところは、その制作方法。まず大まかな形を作ってから穴を開け、実際にスマフォを中に入れて音楽を流しつつ、デザインを変えて音の聞こえ方を調節することができるのだそうです。「穴を開ける位置によって音の聞こえ方が微妙に変わるんですよ」と大藪氏。

想像もしていなかった制作方法に「中に入れて音楽を流すんですか!」と興奮ぎみに食いついてしまったと同時に、感動で全身に鳥肌が立ちました。筆者はクラシック音楽が大好きなんですが、この「自分好みに音を出せるスピーカー」は、「この曲はこの指揮者が振ってこそ」という拘りに近いものを感じたんです。それが人の手ではなく、自分の手で再現できるかもしれないなんて、想像しただけでワクワクします。

興奮ぎみな筆者に、大藪氏が特別に魚型縄文土器スピーカーにiPhoneを入れて、その音を聞かせてくださいました。差込口は尻尾部分と口部分の二箇所で、場所によって音の広がり方が変わります。

「これは尺八の曲だけど、尺八なら筒型のほうがリアルな音を出せるんですよ」とのこと。

筆者だったら、オペラ用、交響曲用、ピアノ用と専用スピーカーを作りたいところ。スマホを差し込まないとスピーカーとしての機能が成り立たないので、音楽を楽しみたいならスマホを手放さなくてはなりません。ということは、スマホ中毒も軽減されそうです。電源も必要ないエコっぷりだし…って、ちょっとまって、これってなんて神アイテム!?

ちなみに、縄文土器スピーカーから奏でられた音なんですがーー、音楽センスのない筆者が強いてコメントするならば「暖かな音」。うまく伝えられないので、こればっかりはご自分の耳で体験してもらいたいです。

次に、今回特別にいただいた、展示している以外の土器スピーカーの画像もお楽しみ下さい。


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Image: 大藪龍二郎 via Ryujiro Oyabu


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Image: 大藪龍二郎 via Ryujiro Oyabu


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Image: 大藪龍二郎 via Ryujiro Oyabu


土器スピーカーは存在感抜群な据え置き型から、オカリナのように穴が空いたポータブル型まで展開されています。ポータブル型は穴を指で塞ぐことで音の出方をアレンジすることができるのだとか。まるで縄文土器DJみたい!

イベントには土器スピーカーの他にも面白い「縄文」×「テック・アート」な作品がいっぱいありました。その一部も併せて紹介します。


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Photo: 中川真知子



ジョウモニズムの代表で3Dモデラーの小林武人氏は、3Dプリンタで縄文を再現!


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Photo: 中川真知子


世界的に有名な造型師/原型師 竹谷隆之氏による作品。なんとこれを一目見たくてはるばるインドネシアから来た方もいたのだとか。


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Photo: 中川真知子


同じく竹谷氏の作品。漫画『金田一少年の事件簿』ファンの筆者は思わず心の中で「凶鳥様、怒りをお鎮めください!」と叫びました。


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Photo: 中川真知子


有名な「ニクネカムイ」、さすがの迫力でした。


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Photo: 中川真知子


こちらは縄文のタトゥーをモチーフにした作品。


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Photo: 中川真知子


お面。


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Photo: 中川真知子


お笑いコンビ「ラーメンズ」の片桐仁氏によるハート形土偶。トライポフォビアな筆者は顔を直視できませんでした…。


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Photo: 中川真知子


圧倒的な存在感を放つ土器ー。


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Photo: 中川真知子


土器ー。


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Photo: 中川真知子


土器ー。


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Photo: 中川真知子


土器ー。


***

ご覧いただいたように、『Arts of Jomon』に展示されているのは、太古と今をテクノロジーとアートで融合させた斬新な「JOMON」と、太古から今まで色褪せない熱量を放つ「ザ・縄文」でした。作品をみるたびに感動し、発見し、驚かされた本イベント。クアラルンプールの伊勢丹の一角に作られた小さなスペースで行なわれた展示会でしたが、得るものが多く、本当に行ってよかった…!

ちなみに『Arts of Jomon』展は、この後日本での巡回展を検討しており、その際には縄文土器スピーカーで実際に音楽を流すとのこと。

また、安全面が確保される展示方法が見つかれば、来場者のマイスマホを縄文土器スピーカーに差し込み、普段とは違う情熱の縄文サウンドを楽しむことも可能になるかもしれないそうです。イヤホンともスピーカーとも違う、「土器だからこその音」を知ったら、みなさんもきっと筆者のように惚れ込むと思います。是非可能にしてもらいたい!

縄文土器スピーカーは大藪氏のラボでも制作ワークショップを行なっており、要望があれば受け付けているようです。興味がある方は大藪氏の公式サイトからお問い合わせください。

筆者の縄文魂に火がついた『Arts of Jomon』展はマレーシアのクアラルンプールにて8月13日(日曜日)まで開催中。今後の日本巡回展も心から楽しみです。

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Image: © 2017 Cube1kl. All rights reserved. via Arts of Jomon Hyper Subculture

Photo: 中川真知子, 大藪龍二郎 via Ryujiro Oyabu
Image: Arts of Jomon Hyper Subculture
Source: Arts of Jomon Hyper Subculture, Ryujiro Oyabu, いしかわの遺跡

(中川真知子)