稲田朋美公式HPより

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 一体どれだけ鈍い神経の持ち主なのだろう。先週7月28日に日報隠蔽問題で防衛相を辞任した稲田朋美氏だが、31日、防衛省でおこなわれた離任式に出席。そこでも稲田前防衛相が持ち前の厚かましさを全開にしたからだ。

 たとえば、離任式では防衛省や自衛隊の幹部を前に、防衛相としての自分の実績を述べたかと思えば、いけしゃあしゃあと「風通しの良い組織文化を醸成してもらいたい」などとスピーチし、一方で謝罪や反省の弁は一切口にせず。栄誉礼まで受け、最後は大きな花束を抱えてニッコリ笑顔で「みなさんは私の誇りです!」「これからも日本の安全保障のために、一緒にがんばりましょう!」と元気に挨拶してみせた。

 何かあると「記憶にない」「誤解だ」を連発し、都合の悪い現実からは目を背けてきた稲田氏だが、辞任にまで追い込まれても、本人はまるで"円満退職"気分。しかも、国民の不信をここまで買って辞任したというのに、カメラ写りを意識してか、軽やかなボブヘアにイメージチェンジ。この期に及んでも、"国民=下々"への説明責任より自分がどう映って見えるのかを優先させているのだから、その厚顔無恥ぶりには、呆れるしかない。

 しかし、これが稲田イズムというものなのだろう。現に、現在発売中の「週刊文春」(文藝春秋)の記事では、防衛省内での稲田氏のニックネームは「姫」であったとし、防衛官僚は「"お姫さま"は全てがゴーイングマイウエイ」と稲田氏に苦言を呈していたが、安倍首相=殿の寵愛を受けてきたお姫さまはとにかく、見たいものしか見ようとせず、自分に都合の悪いことはすべてなかったことにしてしまうのだ。

 実際、こうした稲田氏の見たいものしか見ない姿勢は今回の離任式だけでなく、問題の特別防衛監察の結果への反応にも表れていた。

●特別防衛監察の発表の際に稲田氏が口にした信じがたい発言

 周知のように、7月28日に発表された監察結果では、稲田氏に対して「幹部から日報の存在に関する何らかの発言があった可能性は否定できない」としながら「書面による報告や非公表を了承した事実はなかった」という玉虫色の結論となっていたが、これは、陸上自衛隊幹部による「稲田防衛相が隠蔽を了承した」とする証言を稲田氏が強硬に否定したためであり、「稲田氏に日報の存在を報告、了承をうけた」と陸自が監察に証言していたことは明らかだ。

 しかも、防衛省幹部の手書きメモでは、陸自に日報データが残っていたことを知った稲田氏があきらかに狼狽えながら「明日なんて答えよう」と発していたことが記録されていた。

 このように、稲田氏が日報データの隠蔽にかかわっていたことはもはや決定的なのだが、それでも稲田氏は"知らないものは知らない""了承なんかしてない"と無茶を通したのである。

 その上、監察結果が発表された同日におこなわれた記者会見で、稲田氏は、なんと"いまはもう日報は公開されている"として「隠蔽の事実はなかった」と言い切ってさえ見せた。

 いやはや、何を言っているんだか。そもそも日報が情報公開請求された際、防衛省は文書もデータも「破棄した」と説明していたのである。その破棄されたはずのものが統幕で見つかり、その後、陸自でも見つかった。そして陸自で保管されていたことがわかっても、その事実を公表しなかった。これらの行為こそが「隠蔽に次ぐ隠蔽」であって、稲田氏が「いまは日報を公開しているから隠蔽じゃない」というのは問題を問題として未だ認識していない最たる証拠だ。

 そういう意味では、稲田氏が防衛相を辞めたところで、日報隠蔽の責任を取ることにはまったくなっていない。稲田氏の虚偽答弁はそれこそ議員辞職に値するものであり、今後も徹底的に追及する必要がある。

 ところが、自民党は驚くべき行動に出た。日報隠蔽問題をめぐる閉会中審査への稲田前防衛相の出席を拒否したのだ。同党の竹下亘国対委員長は「稲田氏は辞任といういちばん重い責任の取り方をしており、辞任した大臣を国会に呼び出すことはやってはいけない」などと主張している。つまり、"大臣を辞めれば説明する責任なんかもうない"と言うのである。最初からわかっていたが、これが安倍首相の言っていた「国民に丁寧に説明」の実態なのだ。

 いや、それどころではない。自民党はさらに呆れ果てた言動を始めた。昨日開かれた自民党の国防部会で飛び出した自民党議員たちの発言だ。

●自民党では「日報を公開する必要があるのか」「これからは非開示に」

 8月1日付の朝日新聞の記事によれば、7月31日に開かれた自民党国防部会では、出席した議員から「そもそも日報を公開するべきではなかった」という声が続出。「日報は国民に報告するものではなく、指揮官に報告するものだ。なぜ公開しないといけないのか」「そもそも不開示と言えなかったのか」という発言が飛び交ったという。そして、この国防部会の終了後、寺田稔国防部会長は「開示にふさわしくないものの判断は、適切に今後やっていく。多少取り扱いが変わるかもしれない」とまで宣言したのだ。

 隠蔽の事実に対する反省はゼロ。むしろ「今度からは日報は非公表の扱いにすれば済む」と開き直る──。内閣支持率が危険水域に入っても、こんな国民を軽視する発言が出てくるとは、安倍自民党はどこまでも腐っている。

 本サイトでは繰り返し指摘しているが、そもそもこの日報隠蔽でもっとも重要な問題は、南スーダンへの安保法に基づく駆けつけ警護の任務を付与したPKO派遣に際して、日報に「戦闘」状態にあることを裏付ける"不都合"な記述があったために隠蔽されたのではないか、という点である。事実、稲田氏と安倍首相は、揃って国会で「戦闘」を「衝突」と言い換えて新任務付与を閣議決定し、強引に駆け付け警護の任務を付与した自衛隊部隊を現地に派遣した。

 しかも、今回の陸自で保管されていた日報を非公表とした裏では、官邸や安倍首相が防衛幹部に指示をした可能性すらある。というのも、岡部俊哉陸幕長に陸自で日報のデータが見つかったことが報告された翌日にあたる今年1月18日、防衛省の黒江哲郎事務次官と豊田硬官房長が官邸で総理に面会しているからだ。さらに、陸自内の日報データの保管事実が報道された3月15日の2日後にも、やはり黒江事務次官が安倍首相と面会している。

 安倍首相は日報の隠蔽について黒江事務次官ら防衛省・自衛隊幹部から報告を受け、対処方針を指示していたのではないか──その疑念は尽きない。いや、それどころか、隠蔽疑惑が表面化した12月末以前より、駆け付け警護の新任務付与のために、何らかのかたちで日報隠蔽に関与していた可能性もあるのだ。

 日報隠蔽問題にかんする閉会中審査については、稲田氏のみならず、安倍首相の出席も自民党側は拒否している。こうして明後日の内閣改造でお茶を濁し、その上、こっそりと「今後は日報を国民に開示しない」という身勝手で恐ろしい方針を打ち出すのだろう。

 いまこそ国会でしっかりと稲田前防衛相と安倍首相の嘘をあきらかにしなければ、またも不都合な事実は隠され、国民を欺いて憲法違反の行為が繰り返されていくことは目に見えている。とくにこの日報隠蔽は、自衛隊員の命が蔑ろにされた重大な問題だ。稲田・安倍の遁走を、絶対に見過ごすわけにはいかない。
(編集部)