原因不明の強い疲労が長い期間続くいわゆる「慢性疲労症候群」は、単なる疲労との区別がつきづらく、そもそも病気による症状なのかかどうかについても議論があります。スタンフォード大学の研究者が、「慢性疲労症候群と『炎症』を引き起こすサイトカインの濃度との間に関係性がある」という指摘をしており、慢性疲労症候群のメカニズムの解明につながる可能性が出ています。

Cytokine signature associated with disease severity in chronic fatigue syndrome patients

http://www.pnas.org/content/early/2017/07/25/1710519114

'Chronic Fatigue Syndrome' Severity Linked To Several Proteins Of Inflammation : Shots - Health News : NPR

http://www.npr.org/sections/health-shots/2017/07/31/540565526/scientists-edge-closer-to-elusive-lab-test-for-chronic-fatigue-syndrome

expert reaction to cytokines for Chronic Fatigue Syndrome | Science Media Centre

http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-cytokines-for-chronic-fatigue-syndrome/

筋痛性脳脊髄炎(Myalgic Encephalomyeliti:ME)や慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome:CFS)とも呼ばれる症状を訴える人は、アメリカでは少なくとも100万人いると見られています。このME/CFSについては、慢性的な睡眠不足やインフルエンザのような発熱、筋肉痛、霧がかかったように頭が晴れないなどの症状が出る人が多く、約4分の1の患者がベッドで寝込むことを余儀なくされているとのこと。しかし、症状についての原因についてはよくわかっておらず、周囲からは単に疲れて落ち込んでいるだけという誤解を招くこともよくあるそうです。

スタンフォード大学のホセ・モントーヤ博士らの研究チームは、ME/CFSの症状をもつ192人の患者と392人の健康な対照群を被験者として、fluorescence-based testingという試験によって51種類のサイトカインの血中濃度を計測したところ、ME/CFS患者と健康な人との間で濃度が異なるのはわずかに2種類のみでした。



しかし、ME/CFS患者だけで調べると、ME/CFSの症状の重篤度に応じて17種類のサイトカインの濃度がグラデーションを描くように劇的に濃度が変化していることが分かりました。つまり、この17種類のサイトカインはME/CFSの症状に関係する可能性があるというわけです。そして、この17種類のサイトカインのうち13種類が炎症を促進するタンパク質であることも分かりました。従来もME/CFSにおいては慢性の炎症が重要な意味を持つとする研究がありましたが、この見解の確かさを補強する結果となっています。

スタンフォード大学の研究結果に対しては、キングスカレッジロンドンのアンソニー・クレア教授は、「今回の論文によっても、炎症がME/CFSを引き起こすという証拠は得られていません。例えば、ME/CFSが引き起こす可能性のある睡眠障害やうつ状態によっても炎症が引き起こされる可能性がありますが、これらの影響については今回の研究では除外されていません。また、サイトカイン濃度を変える投薬治療を患者が行っていた可能性があり、この点について検査がされたかどうか明らかでありません」と述べており、ME/CFSが炎症疾患であると結論づけるのは時期尚早だとしています。