福岡大大濠の横地聖真【写真:編集部】

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「初体験」の4度の延長、帝京長岡との死闘を制して89-87で勝利

 どちらも引かない、大熱戦が繰り広げられた。

 1日に行われた全国高校総体(インターハイ)の男子バスケットボール準決勝、福岡大学附属大濠(福岡)が4度のオーバータイム(延長戦)の末に89-87で帝京長岡(新潟)を破り、3年ぶりの決勝進出を決めた。

「経験がない。色々な試合を経験してきたけど、初体験です。長かった、長かったです。ゲーム中は汗をかきますが、延長に入ったくらいまでは暑かったんですけど、再々延長くらいからは何も感じなかったくらい。でも、みんなの魂がコートに入るっていうのは、そういうことなのかなと思いながら、充実した時間をみんなで過ごせたと思います」

 福岡大大濠の片峯聡太コーチがそう振り返る、異例の4度の延長という激戦は、まさに“死闘”だった。

 福岡大大濠は、U-19日本代表の中田嵩基(2年)や、身長2メートルのビッグマン井上宗一郎(3年)、リーダーシップのある永野聖汰(3年)らが中心のチームだが、終盤には永野が5ファウルで退場となるなど、総力戦となった。そのなかで何度も窮地を救ってヒーローになったのは、スーパールーキーの横地聖真(1年)だ。

「明日は今日の分を取り返す」、前日の悔しさをバネに敗戦寸前のチームを救う

 第3ピリオドに終了ブザーが鳴るとともに逆転の3点シュートを決めていたが、際立ったのはオーバータイムに入ってからの2つの場面だ。

 1つは、最初のオーバータイム。65-68の場面から、この日2度目となる終了ブザーが鳴るとともに3点シュートを決めて、勝利目前に迫った帝京長岡に意地を見せた。さらに3回目のオーバータイムでも、残り10秒ほどで2点差を追う場面から速攻を仕掛けてファウルを獲得。2本のフリースローを着実に沈めて同点とし、またも敗戦寸前のチームを救った。

「1年生で先発させてもらっているのに、昨日(準々決勝の中部大学第一戦)は全然活躍できなかった。シュートを1本しか打てなくて、しかも入らなくて0点。出場時間も少なくて、これでスタメンって恥ずかしいなと思った。ホテルに帰ってもすごく落ち込んでいて、先輩に『明日は、今日の分を取り返すので』と言っていた。前半、第1ピリオドから(マークが)ミスマッチだったので、どんどんシュートを打ち続けました。今日、活躍できて良かったです」

 試合後、横地は満面の笑顔を見せた。

横地の夢は…米国の大学へ進み、日本代表になり、五輪に出場すること

 横地は、ガーナ人の父と、日本人の母の間に生まれたハーフ。長身でありながら動きはしなやかで、鋭い。ハンドリングの技術もある。岩成台中学で全日本中学校バスケットボール大会を優勝。決勝戦で61得点という驚異的な数字を残して優秀選手に輝いた。

 中学卒業後は、誘われていたNBAアカデミー(NBAが将来有望な男女選手を対象にエリート選手育成を行う機関)へ進むことを考えていたが、「ジュニアオールスターの前から片峯先生が熱心に誘ってくれて『1年だけでも良いから来い』と言ってくれた。こんなに熱心に誘ってくれる人はいないと思って、3年間お世話になろうと思って、よろしくお願いしますと言った」と福岡大大濠へ入学した。

 1年目からの活躍は想定内とはいえ、この日は、心臓に毛が生えているのではないかと思うような決定力を大舞台で見せつけた。「こんなに延長が続いた試合はない。いつも(先輩の)嵩基さんが『楽しんで行こう』と言っている。こんな試合は滅多に経験できないので、苦しい場面もあったけど、楽しんでいました。また延長かと思って守備をサボってしまったところで、攻められなくて良かったです」と言ってしまうあたりには、大物感が漂う。

 高校バスケットで活躍し、米国の大学へ進み、日本代表になり、五輪に出場することが彼の夢だ。そのストーリーの中に、高校1年での日本一達成は刻まれるのか。

 2日に行われる決勝戦で、福岡大大濠は、明成(宮城)と対戦する。福岡大大濠が勝てば3年ぶり4度目の優勝。米国のゴンザガ大でプレーするU-19日本代表の八村塁の弟、八村阿蓮(3年)を擁する明成が勝てば、2年ぶり2回目の優勝となる。

◇バスケットボール、いよいよ決勝戦 インターハイのバスケットボールは7月28日に男女で幕を開け、8月2日にともに決勝が行われる。なお、今大会は全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。全30競技の全試合をライブ配信し、インターネット上で観戦、応援が可能となった。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。