衆議院議員の若狭勝氏

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 7月31日付記事『自民党離党の若狭勝議員、「自民党の闇」を決意の告発…加計・森友問題の本質』では、自民党を離党した若狭勝衆議院議員に、「しがらみ政治」「自民党の問題点」「小池百合子・東京都知事および都民ファーストの会旋風」などについて聞いた。

 都民ファーストの会の国政進出が取りざたされるが、新党結成の動きはどうなのか。自民党離党の裏側では、何が起きていたのか。そして、どんな政治ビジョンを描くのか。引き続き、若狭氏の話をお伝えする。

●年内に新党設立?「自民党に代わる受け皿必要」

――「しがらみ政治」の象徴が森友学園や加計学園の問題ですが、もし現役の東京地方検察庁特別捜査部副部長だったら、どう動きますか。

若狭勝氏(以下、若狭) 現役の検事だったら、こんなにワクワクする事案はないでしょうね。特に、加計学園の問題には収賄罪の素地がありますから。ここでまったく動かなければ、「特捜部不要論」にもつながりかねません。

 検事というのは、法と証拠に基づいて、相手が誰であっても「悪いものは悪い」「いいものはいい」というのが本来あるべき姿ですが、それができなくなっているような構造があるのであれば、大問題です。一人ひとりの検事が気概を持つことが大事ですが、特捜部はがんばってほしいですね。

――個別の政策は別として、森友学園や加計学園の問題に代表される「しがらみ政治」に不満を抱える国民は多くいます。そこで、「小池都知事や若狭議員が政治を変えてくれるのではないか」と期待する人も多いです。

若狭 政治家が「気づき」を示すことによって、国民の方々の政治に対する心情や思いも大きく変わってくる。それが、東京都知事選挙から東京都議会議員選挙までの一連の大きな流れだと思います。

 私は、やはり政治には二大政党制が必要だと考えています。特に、今は安倍晋三内閣の支持率が低下しており、自民党に代わる受け皿が必要です。仮に保守の受け皿となる政党ができれば、そちらにシフトする有権者は少なくないのではないかと考えています。

――「都民ファーストの会は、年内にも国政に打って出るのでは」との観測も流れています。

若狭 新党をつくろうという思いはあります。しかし、政策や思想が違う「烏合の衆」になるのであれば、私は参加しません。政策課題で一致して「しがらみ政治」からの脱却を目指すのであれば、新党をつくる意味はあるでしょう。

――若狭議員に加えて、民進党を離党した長島昭久衆院議員や日本維新の会を除名された渡辺喜美参議院議員、次世代の党を離党した松沢成文参院議員を、小池都知事に近い「4人衆」と称する報道もあります。「4人衆」で新党設立の相談などはしていますか。

若狭 まだしていません。これからは、あるかもしれませんね。

――政党交付金の関係で、新党は年末までに設立されるのが通例です。年内の新党設立については。

若狭 そうした事情を考慮して新党を早々につくるという思惑であれば、これまでの「しがらみ政治」となんら変わりません。そうではなく、みなさんの考えが一致して新党設立に向けて動き出せば、私も率先して力になりたいと思っています。

●自民党に「自殺行為」と言われた離党の真相

――もし新党をつくるとすれば、どのようなことを旗印にしますか。

若狭 今、民進党と共産党が選挙協力を行っていますが、少なくともあれはダメですよね。憲法の諸課題にしても、両党の主張はかけ離れています。実は今、私なりに政策課題を考えており、内容は経済、憲法、福祉など多岐にわたっています。新党をつくるにあたっては、各論で意見が異なるのは当然ですが、総論では一致していないと困ります。

 テーマのひとつは憲法改正です。私は「憲法改正すべき」と考えていますが、少なくとも70年間も「押し付け憲法」と言われている国は不幸と言わざるを得ない。仮に一度でも国民投票を行えば、憲法について国民が考えることになり、「我が憲法」になります。

「一院制」も大きなテーマです。私は、今のような衆議院と参議院であれば、二院制である必要はないと考えています。衆院も参院もコピーのように同じことを議論している上、両院に事務局や法制局が存在し、資料などはそれぞれで作成されるために膨大になる上、印刷コストなどもかさみます。

「慎重審議のために二院制が必要だ」という意見もありますが、今の議論を見ていると、二院制の意味はないように感じます。国会議員の削減にもつながり、5分の3くらいには減るでしょう。当然、諸経費も半減します。

 そして、「政治の劣化」につながる党議拘束は原則廃止したほうがいいと考えています。今、国会議員は各党の部会や国会の委員会に所属していますが、所属部門の法案や審議事項は理解している一方で、ほかの部会や委員会についてはほとんど関心がありません。

 しかし、少なくとも本当に重要な法案は、自分の頭で考え、知恵を絞り、自分なりに、自分を選んでくれた有権者のためにも「賛成か、反対か」を鮮明にしていかなければ、古い政治を打破することはできません。党議拘束をしてしまえば、議員は真剣に考えることもなく、賛成票や反対票を投じる単なるマシーン・ロボットになってしまいます。

 そうではなく、重要法案については、議員一人ひとりが自らの考えで十分な議論を重ねる。私の好きな言葉に「全員一致や全会一致による決定は無効」というものがあります。ですから、まっとうな反対意見を提示して議論できる組織が、健全な政党の姿です。

 もっとも、同じ党に所属している以上、議論を重ねれば、自ずと結論が賛成あるいは反対というかたちで収れんしていくことが多いと思います。いずれにしても、国会を活性化させる必要があります。

――本来は、若狭議員のような反対意見を取り込むという点も、自民党の魅力のひとつだったはずですが。

若狭 私もそう思います。しかし、「都議選で都民ファーストの会を応援したら除名する」と言われたため、自ら進退伺いを出し、離党届を提出しました。

 実は、その際、自民党の何人かから「よく考えたほうがいい」「今出ていくのは自殺行為だ」と慰留されました。小池都知事の人気が下がっているという調査データも渡されました。孟子の言葉に「千万人といえども我行かん」というものがありますが、私は逆に「だからこそ、私が応援に行かなければならない」と決意を新たにしました。

 最初は、「都民ファーストの会」と言われても、ピンと来ない方が多かったと思います。しかし、日増しに勢いが強くなりました。

 また、自民党は都議選に関して「最後の1週間でオウンゴールがあったから負けた」と考えているようですが、その見立ては間違いです。1週間前のあるマスメディアの期日前の出口調査では「都民ファーストの会は48議席がいける」という結果が出ており、そのとき自民党は39議席でした。しかし、その後の自民党の自爆行為により、自民党はさらに予想議席数を減らしました。もっとも、その減らした票は、共産党と民進党の各候補者に流れたと読んでいます。

 都民の方々に「古い議会から新しい議会へ」というメッセージを理解していただき、「利権都議会」「忖度都議会」についての反発もあった。これは、都知事選、千代田区長選挙、都議選に通底する一貫した流れです。同様に「利権国会」「忖度国会」に反発する方々には、「古い国政を新しく」という思想を理解していただけると思っています。

●カギは公明党?新党結成、一気に政権交代も

――安倍内閣の支持率は下がっていますが、「タイミングを見計らって、解散総選挙という“伝家の宝刀”を抜く」との見方もありますが。

若狭 小池都知事は都政に専念するため、仮に新党を設立しても代表になることはないと思います。マスコミは「都民ファーストの会が、いよいよ国政に進出か」と書きたいのでしょうが、それはないでしょう。

 新党の設立について、小池都知事からは「任せます」いう言葉をいただいています。そこで今、考えをめぐらせているところです。現職の国会議員が5人集まれば政党要件を満たすことができますから、政策で一致すれば仲間とともに新党をつくる可能性はあります。

 早ければ今年中、遅くても来年9月の自民党総裁選挙直後に衆院選があるのではないか、と考えています。そこで、仮に新党が一定数の議席を得て国会での発言権を獲得、さらにその次の衆院選で大勝することができれば、政権交代可能な二大政党に成長していく可能性があると思っております。

 今、国民の方々にとっては政治の選択肢が乏しいことが不幸であり、同時に失礼だと思います。政権の選択を明示することは、政治家としての責任です。

――「自民党と公明党の間にすきま風が吹いている」との報道もあります。

若狭 都民ファーストの会と都議会公明党は深く連携しており、いわば蜜月関係にあります。国政では自公連立政権を維持する方向性のようですが、ここに来て自公の信頼関係が揺らいでいるように見えます。

 都議選の前、安倍首相は二階俊博幹事長に対して「公明党抜きの単独で勝利するいい機会だ」と強気の発言をしました。今となっては笑い話のようですが、公明党が自民党にとっていかに重要なパートナーであるかを思い知らされた選挙だったのではないでしょうか。

 いずれにしても、現段階では政権担当能力のある政党は自民党しか存在しません。だからこそ、自民党は自らを律していかなければならないのですが、森友学園や加計学園の問題を見ていると、相変わらず情報公開に積極的でない姿勢が見て取れます。

――ありがとうございました。
(構成=長井雄一朗/ライター)