5人が唯一勢ぞろいした撮影風景 (C)2018「終わった人」製作委員会

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 舘ひろしと黒木瞳が約20年ぶりの共演を果たした映画「終わった人」の撮影現場がこのほど、東京・中野区の登録有形文化財・三岸アトリエで報道陣に公開された。舘と黒木をはじめ出演の広末涼子、臼田あさ美、田口トモロヲが取材に応じ、和気あいあいと撮影風景を語った。

 内館牧子氏の同名小説を基に、ホラーの名手・中田秀夫監督がハートフルコメディに初挑戦。大手銀行の出世コースから脱落したまま定年を迎えた田代壮介(舘)は、「とにかく働きたい」と一念発起。通い始めたカルチャースクールで、自身と同じ岩手出身の受付嬢・久里(広末)と出会う。壮介は妻・千草(黒木)や娘・道子(臼田)から「恋でもしたら」とからかわれていたことを胸に、久里へのちょっとした浮気心を寄せていく。

 5人が唯一勢ぞろいしたこの日は、久里と何度かデートを重ねたものの「同郷の先輩」としか思われていない壮介が、千草と道子とともに、親戚のイラストレーター・青山俊彦(田口)のアトリエを訪れるシーンをコミカルに撮影。女性陣が自由人のモテオーラを放つ俊彦と会話を楽しむなか、突然「来ちゃったー!」と、久里がアトリエに乱入してくる。

 「なぜ!?」と呆気にとられる壮介、予期せぬ遭遇に目を見開く久里。俊彦は「俺の彼女」と説明し、慌てる壮介は妻の手前「覚えていますか? カルチャースクールでお会いしました」ととぼけながら自己紹介する。久里は壮介の視線に耐えかね「失礼します」と逃げの一手。「恋でもすれば」とけしかけた張本人・千草は、そんな光景に「この子が夫の浮気相手か」と看破するも、“終わった人”から再起を誓い奮闘する壮介を温かく見守っていた。

 得も言われぬ気まずい時間が流れる、コメディの真骨頂ともいうべきひと幕だ。アトリエ内での会見では、舘は「美女3人に囲まれて本当に楽しい撮影です」と上機嫌。演技について「黒木くんは演出家でもあらせられるので」と口を開くと、黒木が謙遜の意味で脇腹を小突いて制止したため、「DVだ」と冗談を飛ばして笑った。

 黒木によれば、「現場は中田監督と舘さんが『男ってこうだよな』と言い合い、笑いが絶えない」そうで、広末は「舘さんと黒木さんが夫婦役って、こんな夫婦いないよ! というくらい美しい。圧倒されました」と目を細める。臼田は「舘さんのキュートな部分が垣間見れました」と明かし、田口も「舘さんがとにかくチャーミング。『昔はセリフは覚えてこなくて良かった』だとか、グッとくる素敵なジョークを聞かせてもらっています」と同調した。

 年齢を重ね、この役に出合ったからこそ溢れ出る舘のキュートな熱演が、今作の屋台骨になっている。舘は「楽しいから、やりすぎちゃうんですよ。監督も笑ってくれるので余計調子に乗っちゃって」と目尻を下げ、「でも朝起きると『昨日は失敗したな』と毎日思う。自己満足で終わらないよう気をつけています」と真摯な姿勢。中田監督からは「最近、植木等さんに似てきましたね」と言われたそうで、「褒め言葉としてとっておきます(笑)。今作のテーマは希望だと思う。『終わった人』なんだけど、人生はこんなに楽しいんだと表現できたら」と話した。

 思いを寄せる女性と妻が鉢合わせするシーンを撮影したが「自身にも経験が?」と聞かれると、舘は「10代のころに、あったね(笑)」とぶっちゃけ、「その時は何も言えなかったね。女性同士が鉢合わせすると、男は無言になると学んだ」と振り返る。さらに「女性は寛容なほうがいい?」という質問には、「まったくそうですね。寛容なほうが好き(笑)」と即答し、「でも浮気に気づいているのに、気づいてないふりして許してくれる女房は、もはやファンタジーだよねえ。今日、臼田くんと話していたら『浮気は絶対に許さない』と言っていました。黒木くんもきっとそうでしょうね」と、いたずらっぽくほほ笑んだ。

 また、屋外に場所を移した囲み取材も実施。舘は報道陣に「暑いから日陰のこっちにおいでよ。ほら、みんな座って座って」と手招きし、気遣いを見せてくれた。「終わった人」は、2018年夏に公開予定。