日本とインドの「成長回廊」構想、中国の「一帯一路」と協調する道も?

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 中国が「新たなシルクロード」として一帯一路構想を進める一方で、日印は「アジア・アフリカ成長回廊(AAGC)」を推進している。同じアジア・アフリカ地域での経済連携を目的とする2つの構想で火花が散るが、実は2つは共存可能だという見方もある。

◆温度差のある各国の報道
 アメリカのフォーブス誌は、一帯一路に対する成長回廊の出現を自然な動きと見る。中国がユーラシアと南アメリカへの影響力を増す中で、国際開発の主導権を確保したいという動きがアジア諸国の間に出るのは当然の反応という見方だ。

 一方の中国側メディアは異なった認識を持っており、「AAGCはアメリカに操られた日印のスキームとして、予想通り中国で笑い者になっている」(アジアタイムズ紙、7月25日)と辛辣だ。まるでアメリカが仕掛けたかのような論調は、フォーブス誌の見方とは大きく異なる。

 内容に目を向けると、フォーブス誌は一帯一路をトップダウンで国営企業主導の方式と分析する。一般に、中国産資材の利用を強要するほか、高利で開発資金を融資するなど、中国の進め方には国際的な批判もある。同誌では、対する日印の成長回廊は西洋的な民主主義に基づくと分析しており、好感を持っているようだ。メディアによって両戦略の評価が分かれているのが印象的だ。

◆日印の可能性に期待がかかるも、一帯一路の優位性は大きい
 対立する2つの構想をめぐり、中国のアジアタイムズ紙は一帯一路を手放しで賞賛するほか、同イニシアチブの発表の場を欠席したインドを裏切り者とまで称している。中国側の開発プロジェクトの進め方について、主権と統治権が侵害される恐れがあると反発したインドの公式声明を非難する。インド側の声明は、同国が領土として主張する区域で中国が無断開発を行ったことを受けてのものだ。

 そのほか同紙は、中国がインドの最大の貿易相手であることを挙げ、一帯一路への不参加は非生産的と断言している。あわせて昨年インドのGDP成長率が中国を下回ったことなどを指摘し、あくまで一帯一路に参加しないインドを揶揄する。

 対するインド側にも勝算はあるようだ。印エコノミックタイムズ紙によると、2015年にニューデリーで行われたサミットにはアフリカの54ヶ国から代表が派遣されたほか、アフリカ開発銀行ともパイプを作るなど、着々と関係構築を進める。パートナーとなる日本についても、先進的なインフラ開発技術と潤沢な開発資金への期待を寄せているようだ。フォーブス誌も日本の経済協力の実績を評価するなど、一帯一路の大きな存在の前に未だ十分な可能性があることを示唆している。

◆対立する2つの計画が共存するという将来像も
 真っ向から対立する2つのイニシアチブだが、実は共存可能という見方もある。フォーブス誌では、中国がユーラシア大陸内での経済的結びつきを強化することで、同じ目的を持ったインド側にも利益があると見る。一帯一路の成果が日本主導のインフラ投資を実現しやすくし、例えばロシアやトルコで港湾拠点や鉄道が建設されるなど、国際的な効果の波及を期待する。同じアジア内で争うのではなく、欧米との競争を念頭に協力すべきだと説く。

 インド側のエコノミックタイムズ紙も、そもそも成長回廊は一帯一路と張り合うためのものではないと位置付けている。2つは全く別物で、アフリカの発展のために日印が独自に描いているビジョンが成長回廊とのことだ。

 ライバル視されることが多いだけに、共存可能だという指摘は意外だが、説得力もある。協力関係とは行かずとも、両者が張り合う中で規模と質が強化され、アジア・アフリカ全体の競争力が向上するというシナリオは実現可能かもしれない。