「いらすとや」より

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 山下智久、新垣結衣が主演を務める連続テレビドラマ『コード・ブルー』(フジテレビ系)の第3話が7月31日に放送され、平均視聴率は14.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。今クールのドラマの中では依然トップの視聴率ではあるが、前回放送から1.6ポイント減と大幅ダウン。視聴者からの感想も回を重ねるごとに厳しくなり、人気シリーズの続編にも暗雲が立ち込めている。このペースで視聴率が下がれば、じりじりと視聴率を上げている『カンナさーん!』(TBS系)、『過保護のカホコ』(日本テレビ系)、『刑事7人』『黒革の手帖』(共にテレビ朝日系)に追い抜かれる日も遠くはなさそうだ。 

 翔陽大学付属北部病院・救命救急センターのドクターたちにはそれぞれ抱える問題があった。白石恵(新垣)は居候の緋山美帆子(戸田恵梨香)に辟易とし、藤川一男(浅利陽介)は恋人でフライトナースの冴島はるか(比嘉愛未)にプロポーズをしたものの、「妊娠していなかったらプロポーズしなかったのか?」と冷たくあしらわれる。そして藍沢耕作(山下)は脳外科時代の患者である女子高生の天才ピアニスト・天野奏(田鍋梨々花)が、ピアノが弾けなくなるかもしれないリスクを恐れ、脳腫瘍の手術を拒否していることを知る。

 そこへ、釣りの最中に渓流で転倒した緒方博嗣(丸山智己)が救命に運ばれる。有名シェフである緒方は、重症を負いながらも釣った魚のことを気にしていた。そんな緒方に好感を抱く緋山の横で、公園で倒れていた男性を搬送したいとドクターヘリの出動要請が入る。

 現場に向かう、白石、冴島、そしてフェローの灰谷俊平(成田凌)。意識不明で発見された秋本二郎(戸田昌宏)はヘリ内で嘔吐。その吐瀉物を足に被った冴島が意識を失う。さらに白石と灰谷にも異変が起きていた。ヘリ内で起きたことを順番に説明するうちに、灰谷は甘い匂いを感じたことを思い出す。この情報からシアン化化合物汚染であることを特定する藍沢。意識不明の冴島と秋本にはすぐに処置が行われたが、意識が回復する確約はなかった。

 アルツハイマー病の研究者であった秋本は、世界中が注目する新薬の開発合戦に敗れ、生きる気力を失って服毒自殺を図っていた。しかし、シアンカプセルが溶けきる前に嘔吐したことで冴島よりも先に意識を回復する。一命は取り留めたが、付き添いの妻に暴言を吐き、投げやりな態度を取り続ける。それを聞いていた緒方は「負けを認めたくなくて楽なほうに逃げているだけだ」と声を荒げる。間に割って入った緋山は、緒方に向かって「あなたは2度と包丁を握れなくても同じことが言えますか?」と口走ってしまう。緒方本人には伝えていないが、後遺症で手指に麻痺が残ってしまう状態だった。失言を猛省する緋山。

 そんな中、院内で再び飛び降り自殺を図る秋本。内臓の出血が止まらない秋本に対して、藍沢の判断で一時的に手術をストップするダメージコントロールが施される。そのことを妻に伝えるが「夫は本当に生きたいのでしょうか」と問われてしまう。返す言葉がない藍沢は、奏に思いを馳せていた。

 ダメージコントロールが功を奏し、無事に手術が再開できた秋本。妻に手術の成功を報告し、「ご主人が生きたいと思っていたかどうかはわからないが、身体は生きたがっていた」と伝える藍沢。緋山は緒方に失言を詫び、そして冴島も意識を回復し、藤川は改めてプロポーズをする。「目が覚めたとき、赤ちゃんのことを一番に思った」と言う冴島は出産に臨む覚悟を決め、藤川の手を握るのだった。

 一連の出来事を経てフェローたちも少しずつ成長を始めたことを感じる藍沢だったが、手術を恐れる奏の姿に、「命」と「命よりもやりたいこと」の狭間で苦しむ人のために、ドクターには何ができるかと思い悩む。

 CMを除くと本編45分程度。この時間に描かれた事柄をまとめると――強気なシェフと緋山、橘啓輔先生(椎名桔平)の息子の病気、死にたい研究者とその妻、手術に踏み切れない奏、冴島の危機と赤ちゃん問題、自信喪失の灰谷。この6つが次々と切り貼りされる展開だったが、どのエピソードも感動に至らずに終わっていった第3話だった。こんなにたくさんのことがあったのに、何も心に残らない。第2話で感じた脚本への黄色信号が、完全に赤信号に変ってしまった。

 命の重みをテーマにしている割には、冴島の新しい命に対する姿勢や、患者の心を殺すような失言をする緋山に疑問を感じる。院内自殺を図った男性の心のダメージにもピントが合っておらず、藍沢に格好いいセリフを言わせるために自殺を図らせただけのように感じてしまった。脳腫瘍の女子高生に関しては、ストーリーの邪魔をしてはいないか? 彼女のエピソードが命の重みを伝える相乗効果を成しているとは到底思えない。

 ドラマのセオリーとして有名なものに「大きな嘘はついても、小さな嘘はつくな」というものがあるが、今回の『コード・ブルー』には小さな嘘が多過ぎる。激務で悩みが山積の救命にあって、女性陣がみな化粧バッチリでおしゃれな髪型をしているし、フェローたちが医者の意識ゼロなのも嘘っぽい。全体的に緊張感がなく、いつも皆、余裕な感じ。起こる事故の内容は大嘘をついてもOKだが、そこで巻き起こる人間の心理や、救命救急の空気感に嘘はついてほしくない。この小さな嘘の数々が脚本を薄っぺらくしている要因の一つではないか。もちろん、演出の問題も大いにあるが。

 多くの『コード・ブルー』ファンから、「こんなの『コード・ブルー』じゃない!」という声が挙がっている。自分たちで作った名作を自分たちの手でぶち壊していくフジには、もはやドラマに対する審美眼を持ったスタッフがいないのか……。どういう理由で脚本家を交代したのか分からないが、このままではマズイということだけは気づいてほしい。
(文=西聡美/ライター)