「水を知る旅に出よ」

そんな使命を受けて集った、東京で活躍するクリエイター5人。向かうは東京からはるか遠く離れた、九州・熊本だ。

《今回の旅人》左から
・池田親生(CHIKAKEN)
・外所一石(プロデューサー・コンセプター)
記事内にも出ていただく「山村酒造」の山村弥平さんを挟み、
・小橋賢児(LeaR株式会社代表取締役)
・イセオサム(PLAY株式会社代表取締役)
・久志尚太郎(TABI LABO代表取締役)

熊本・阿蘇に広がる世界有数のカルデラ。今回訪ねる「高森」は、そのカルデラのなかに広がるまちだ。1,000年つづく草原や、あちこちで湧き出す水が独自の食文化を育み、「日本で最も美しい村」のひとつにも数えられる。

このまちで彼らを魅了したもの。それは、まぎれもなく「水」だった。

水がいいから
いい「気」がめぐる。

清らかな水は、いい「気」を育む。

耳を澄ませて聞こえてくるのは、水のせせらぎ、小鳥のさえずり、風にそよぐ葉音。クリアな波動に満ちた高森にはたくさんのパワースポットが存在し、心身の癒しを求めて多くの人が訪れる。

雨上がりの早朝、一行が足を踏み入れた「上色見熊野座神社」。苔むす木々や整然と並ぶ石灯籠の美しさに誰もが目を奪われた。足を止め、透きとおった「気」に心を澄ます人も。

なかでも圧倒されたのは、神社の裏山にある大風穴「穿戸岩(ほげといわ)」。風穴の向こうには朝霧のベールに包まれた森が広がり、風穴の真下に立てば「気」が変わるような感覚。「異世界への入り口」と噂されるのも納得だ。

ただならぬ存在感を放つ巨木が迎えてくれたのは「草部吉見神社(くさかべよしみじんじゃ)」。五穀豊穣や縁結びのご利益があるという神社だ。

樹齢1,000年と記される御神木へ引き寄せられた一行は、思い思いに木と向き合い、その清々しいエネルギーに触れた。

いい水は、木と共存する。

いい「気」をつくる。

歩いているだけで。そこに佇むだけで。

パワーをもらえる場所が高森にはある。

02.
水がいいから
「食」がいい。

いい水は、おいしい「食」をつくる。

渓流にはヤマメなどの川魚が泳ぎ、標高500mを超える畑では、昼夜の寒暖差を生かした高冷地野菜が育つ。

水と地の利を生かし、高森ならではの食文化が紡がれる。

季節野菜たっぷりのランチコースと根子岳カレー。

「うまい! 野菜そのものの旨みが生きている」

おいしさに感嘆の声をあげたこの一皿は、「高森湧水トンネル公園」の入り口にあるレストラン「WATER FOREST」で味わえる。湧水と野菜のおいしさに惚れ込み、2016年に高森へ移住したシェフの店だ。

高森の「うまい!」にすっかり胃袋を掴まれた一行の食べ歩きはまだまだつづく。「水がいい土地の豆腐はうまいはずだ」。食の本質にも目を向ける久志の期待をしっかり満たしてくれたのは「四季見豆腐店」。揚げたての豆腐に甘露醤油をたらして味わう高森の伝統食「生揚げ」はど真ん中のうまさだった。

生揚げをほおばり大満足。「アツアツでうまい!豆の甘みがいいね」

いい水で作られると、醤油もうまい。

1870年創業。「マルキチ醤油」の愛称で知られる「豊前屋本店」ではさきほどの甘露醤油とともに、「しょうゆ最中アイス」を発見。一見ミスマッチ!?と思いきや、パリッと香ばしい最中皮にほんのり甘い醤油アイスとみたらし風のタレが絡み、コク旨のスイーツに。

「さっぱりしていていくらでも食べられるね」「ナイと思ってたけどこれ、絶品じゃん!」と、大絶賛だ。

いい水は、うまい漬物もつくる。

丸干し大根を漬け込んだ「阿蘇しぼり漬け」、アイコトマトのキムチ漬けなどがずらりと並ぶ。

「これうまいね!えっ、それもうまそう」

高森ならではのラインナップに入店早々、釘付けになった一行。試食の手は止まらない。特に人気だったのは、自然海塩とシソの葉だけで漬け込んだ「田舎うめ漬」だ。

いい水は、大地を育む。

大地の滋味にあふれた食材と

食の匠の手で紡がれた、大地の食。

それこそが、僕らのいのちの源だ。

03.
水がいいから
「酒」がいい。

日本酒は米、水、酵母でつくられる。

米の栽培に始まり、仕込みや割り水など酒造りのどの工程においても水は欠かすことのできないものだ。口当たりのやわらかい高森の湧き水から生まれる高森の酒は、ふくよかなうまさが特徴だ。

「山村酒造」はその日、ちょうど搾りの日を迎えていた。甘い香りが立ち込める木造蔵のなかで搾りたての原酒を一口いただく。このタイミングでしか味わえない若々しさと麹の香りが際立ち、クセになる味わいだ。

直売コーナーには純米酒や季節の限定酒が並び、あれこれ試飲しながら吟味する時間はとにかく楽しい。

いい水は、美酒を醸す。

その地の米と水にこだわる酒蔵があり、
長く愛される「地の酒」があるということ。

それはつまり、名水の存在を示すなによりの証だ。

04.
水がいいから
「サウナ」もいい。

いい水は、サウナになってもすばらしい。

この旅の道すがら、一行のテンションが最も上がったのは、サウナの時間かもしれない。高森は温泉もすばらしいのだが、その一角で見つけた素朴なサウナと水風呂に、一同驚愕したのだ。

「水がとってもやわらかい」
「ゴクゴクと体で水を飲んでいる感覚だ!」

と大興奮。

メンバーのなかで唯一、サウナや水風呂に興味のなかった池田でさえも、その魅力に目覚めてしまったほど。いわく「体と心を整え、調律するような感覚」なのだそうだ。

そのひとつは「月廻り温泉館」。露天から根子岳を一望できる源泉掛け流しの温泉で、やわらかな泉質と熱すぎない湯が長湯にもうってつけ。レトロな雰囲気のミニサウナと水風呂にも、注目したい。

「月廻り温泉館」で出会った地元の常連客が日替わりで通うというのが、「高森温泉館」。薬草風呂やジェットバスなど、10種類以上の湯と休憩室もあるスパ風施設で、広めのサウナと水風呂が備えられていた。

いい水は、温度に限らず「いい水」だ。

冴えわたるその水は、

サウナで研ぎすませた脳と体に浸みこんで

心身を調和させてくれるのだ。

05.
水がいいから
「人」もいい。

水がいいから、心の澄んだ人がいる。

まち全体がよどみのない水で満たされ、24時間天然のヒーリング音に包まれる高森。この地に暮らす人の心も、おのずと澄んでくる。

湧水をたたえる共同の水汲み場「水舟(みずぶね)」は、喉を潤したり野菜を洗ったりと、今も地域の生活用水として使われている。どの水舟も美しく整えられている様子から、水を慈しむ想いとともに、住民たちの「わかち合う」暮らしぶりが垣間見える。

夜、地元名物の地鶏焼きの店で、もてなし精神にあふれる高森の人たちが出迎えてくれた。ともに囲炉裏の火を囲み、酒を酌み交わすひととき。そこに都会と地方の壁など、みじんも感じない。

まるで旧知の仲のように打ち解け、語りあった。

「僕の大好きな高森が、4人のわが子に誇れるふるさとであり続けるよう、このまちを盛り上げていきたいんです」

と漬物名人の徳丸さんが語れば、

「高森もその周辺も一緒になって、一帯を元気にしよう」

と、マルキチ醤油の吉良さんも熱い思いがほとばしる。

ひとりひとりが、自分の暮らす高森を誇りに思い、まちを愛し、家族を愛し、自らの仕事を愛している。

彼らの言葉や表情を通して見えてくる高森はたまらなく魅力的だった。もっと!このまちをもっと知りたい!誰もがそう思った。

「また遊びにきます。必ず」

クリエイターたちが言った別れ際の言葉に、嘘はない。高森の旅を振り返り、メンバーのひとりはFacebookでこんな言葉を残していた。

「僕らは旅をし 心に出会い 心に学ぶ
そして それを伝える為に 次の旅に出る」

東京に戻ってからもそれぞれのコミュニティで、高森で出会ったもの、水の魅力、人の魅力について熱く語る彼ら。その言葉に惹かれ、高森へ足を運んだ人が、もう何人もいるだろう。

その水に、森に、人に。
まだ見ぬ何かに出会うため。

高森を訪ねてみよう。

 

 

FAMILY TREE TAKAMORI 

高森の水や人、食の魅力を伝える「FAMILY TREE TAKAMORI」。現在、ファンクラブメンバーも募集中。http://www.familytree-takamori.com/

ECサイト「FAMILY TREE TAKAMORI」

多くの自然に恵まれた高森町には、日本酒の蔵元や醤油の醸造元をはじめ、歴史あるものづくりが営まれています。その山奥の「家族」たちが作った高森町の特産品をお届けします。http://store.shopping.yahoo.co.jp/familytree

南阿蘇鉄道と枕木オーナー

高森旅のアクセスに、トロッコ列車はいかが? 高森や南阿蘇の水の豊かさを体感できる「南阿蘇鉄道」のトロッコ。熊本地震後の全線復旧を目指し「枕木オーナー」を募集。http://www.mt-torokko.com/makuragi-owner/