若者は勘違いしている。80年代青春男はバブルの時そんなにオイシイ思いをしていない

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 現在ちょうど50代半ばころの男、つまりハタチ前後にバブル前夜を過ごした男は、たとえば若い世代から「バブルのときは派手に遊んだんでしょ?」なんて問われたとき、「え〜、そうでもないんだけど」と、戸惑いながらお茶を濁すケースが多かったりする。彼らの結構な割合が、本当に「たいしてオイシイ思いをしていない」からである。

 当時は、まだ「大学生起業家」みたいな存在が稀で、誰もが終身雇用を当然のごとく受け入れ、少しでも大きな企業に就職することを目指していた。ゆえに、本格的なバブル時代に突入したころ、彼らはまだ入社3年程度のぺーぺーで、バブルの恩恵を謳歌していた「ちょっと上世代の諸先輩方々」がカネに飽かしてハメを外しまくっていたさまを「いいなぁ……」と横目で眺めながら、ただ羨ましがっていただけの世代なのだ。

 たしかに「前夜」とはいえ、景気は間違いなく上向きであった。凡庸な人材が、今だと信じられないような有名企業にも続々採用されていた。が、「オイシイ思い」の度合いが帯に短しタスキに長し状態だったせいか「あのころは良かった…」と懐古にひたることもなく、「やっぱバブル就職組(一般的には1965〜1969年生まれくらいを指す)のオッサンは使えねえな」と陰口をたたかれることも、そうはない。

 いわば、団塊とバブルの狭間に置かれた「2番バッター」のような存在で、そんな「影の薄さ」と「バブルに乗り損ねた軽いコンプレックス」を逆手に取りながら、バブル崩壊後をぬるっと生き抜いてきたこの世代の男たちは、意外に打たれ強く、その暖簾に腕押し的なしぶとさこそが持ち味なのかもしれない。

文/山田ゴメス、写真/産経新聞社