関連画像

写真拡大

ネット大手のDMM.comが、一口馬主事業に進出すると話題になっている。7月10、11日に北海道で開かれた国内最大の競り市「セレクトセール」では、総額6億7500万円で3頭の良血馬を落札。「DMMドリームクラブ」で競走馬を所有し、8月5日からサービス開始となるアプリ「DMMバヌーシー」で出資者を募るという。

今回、DMMが落札したのは、現役最強馬キタサンブラックの全弟(0歳・1億4500万円)のほか、人気の高い父ディープインパクトの牝馬2頭。G1を6勝したジェンティルドンナの全妹(0歳・3億7000万円)と、UAEのG1ドバイターフ勝ち馬リアルスティールの全妹(1歳・1億6000万円)だ。

一口馬主は、クラブ名義で競走馬を所有し、複数の出資者で育成コストや賞金などを負担・分配する仕組み。従来は40〜500口で分割することが多いが、DMMでは最大1万口など細かく分割するようだ。

競走馬の所有は「税金対策になる」という話があるが、一口馬主の場合、税務上はどのような扱いになるのだろうか。宮川英之公認会計士・税理士に聞いた。

●通常の個人馬主と一口馬主で賞金の取り扱いが異なることも

――そもそも一口馬主は、通常のオーナーと一緒なの?

「競走馬のオーナーになるには、いくつかのパターンがあります。基本的には、(1)個人馬主、(2)法人馬主、(3)組合馬主制度があり、例えば、中央競馬の個人馬主になるには、過去2カ年の所得が1700万円以上、預貯金、不動産、有価証券などの資産が7500万円以上であることなど厳しい条件があります。

一方、競走馬の直接保有にはなりませんが、DMMのように、比較的容易に参加できる『一口馬主』という方法もあります。こちらは、直接競走馬を保有するものではなく、愛馬会法人と匿名組合契約を締結して出資という形態で競走馬に関わることになります」

――通常のオーナーと一口馬主の間で、税務上の違いはある?

「個人馬主の場合、競走馬に係る賞金、賞品などの所得については、規模、収益の状況などに基づき一定の要件に該当する場合には『事業所得』に該当し、申告が必要になる可能性があります。

また、競走馬の維持費については必要経費として認められるものは計上することができます。したがって、保有する事業用競走馬が、賞金を稼げず、維持費ばかりかかって赤字となれば、事業所得の損失は他の黒字の各種所得と損益通算することが可能です」

――一口馬主の場合は?

「一口馬主の競走馬が賞金を獲得した場合、個人馬主とは異なり、匿名組合からの利益の分配という位置づけで一般的には『雑所得』ということになります。

通常のサラリーマンの方で一口馬主となっている場合、この雑所得などの所得金額が20万円を超える場合には、確定申告が必要となります。また、雑所得の場合であっても、所定の必要経費の計上は可能ですが、雑所得が損失となっても、他の黒字の所得と損益通算することは認められていませんので注意が必要です」

どうやら、通常の馬主と比べると、一口馬主の場合、節税効果は薄いようだ。もちろん、それを差し引いても、憧れの名馬に近しい良血馬にかかわれるのは、競馬ファンの夢のひとつと言えるだろう。

【取材協力税理士】

宮川 英之 (みやがわ ひでゆき) 公認会計士・税理士

一橋大学経済学部卒業後、有限責任監査法人トーマツなどを経て独立開業。個人の税務、節税対策の他、会社設立支援、補助金・銀行融資支援を含めた経営・税務アドバイスで顧問先を総合サポートしている。

事務所名   : 宮川公認会計士事務所

事務所URL:http://miyagawa-kaikei.com/

(弁護士ドットコムニュース)