山下達郎、CKB、SHISHAMO、ラブサマちゃん、ココロオークション…2017年夏どう盛り上げる?

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 梅雨も明け、夏真っ盛り! というわけで、夏を感じさせる新作、再発作品を紹介。音楽的なところでいうと、AOR、ソウル、ファンク、トロピカルハウスなどのテイストを取り入れながら、夏の情景が、その儚さを描き出すというのが日本における“夏のポップミュージック”の基本フォーマット。高温多湿の日本の夏を盛り上げる名作ぞろいです!

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■山下達郎『COME ALONG 3』

 山下達郎の『COME ALONG』は1979年の夏、レコードショップ向けの販促用のアナログレコードとして制作された。当初はプロモーション目的だったのだが、このレコードが店頭で流されると問い合わせが殺到。1980年3月にカセットテープのみで販売された。『COME ALONG』はその後、LP盤、CD盤もリリースされ、1984年には続編『COME ALONG 2』も発売。そしてこの夏、本シリーズの最新作『COME ALONG 3』がリリースされる。「高気圧ガール」「悲しみのJODY」などのヒットソングを小林克也のDJとともにノンストップでつなぐというスタイルはそのまま踏襲され、さらに最新シングル曲「CHEER UP! THE SUMMER」が加わるなど、2017年版の“夏だ!海だ!タツローだ!”と呼ぶにふさわしい作品に仕上がっている。アルバムという概念が崩れ、プレイリスト化が進む現在において、“夏をテーマに山下達郎の楽曲を並べる”という本作のコンセプトといまのシーンにリンクしているように感じる。ぜひドライブしながら聴きたい(車ないけど)。

■クレイジーケンバンド『CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST 愛の世界』

 クレイジーケンバンド(CKB)の結成20周年を記念したオールタイムベスト『CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST 愛の世界』には、「タイガー&ドラゴン」「GT」などの代表曲はもちろん、「タオル」「タイに行きたい」「混沌料理」など夏を想起させるナンバーもたっぷり収録(もともとCKBのアルバムは6月から8月にかけてリリースされることが多く、夏のイメージも強い)。ソウル、ジャズ、ファンク、ブルース、ブギウギ、ロックンロール、演歌、アジア歌謡といった土着の音楽が横山剣の脳内サンプラーでミックスされて生まれるCKBの楽曲には、(横浜を中心に)その土地で暮らす人々の匂いがしっかりと含まれている。“消臭、殺菌”された楽曲ばかりが目立つ日本の音楽シーンにおいて、いろいろな体臭が伝わってくるようなCKBの音楽世界は本当に貴重。20年経っても制作ペースがまったく落ちず、去勢されることも枯れることもなく絶倫な活動を続ける横山剣は男の憧れである。

■SHISHAMO『BYE BYE』

 「君と夏フェス」「熱帯夜」「夏の恋人」に続くSHISHAMOの夏のシングル・シリーズの最新作。濃密なブラックネスをたたえたベースライン、切れ味鋭いギターカッティング、ファンクのテイストを感じさせるドラムが絡み合うダンサンブルなナンバー「BYE BYE」。流行りに乗ったわけではなく、宮崎朝子(Vo / Gt)のルーツのひとつであるブラックミュージックの要素が前景化し、ますます向上している松岡彩(Ba)、吉川美冴貴(Dr)の演奏技術が伴うことで、濃密なグルーヴが実現している。“君”との別れを引きずり、<空調の効かない 私の部屋>であれこれ悩みながら<あの私とはもうバイバイ>という思いに達する感情の流れを描いた歌詞も見事。メンバーのキャラやライブの雰囲気だけではなく、楽曲のクオリティそのもので楽しめる稀有なバンドであることを証明する夏シングルである。

■ラブリーサマーちゃん『人間の土地』

 昨年12月にリリースされたメジャーデビューアルバム『LSC』に続く、ラブリーサマーちゃんの1st EP『人間の土地』は、夏らしい解放感に溢れた仕上がり。90年代後半の日本のオルタナティブ(たとえばスーパーカーとか)の雰囲気をまとったバンドサウンドが印象的なアッパーチューン「FLY FLY FLY」、80年代ネオアコ経由のポップナンバー「海を見に行こう」(←フリッパーズ・ギターを思い出すタイトルですね)、ところどころにThe Stone Rosesの面影が見えるポップなギターロック「ファミリア」、そして、彼女自身が敬愛するRadioheadの名曲「High and Dry」の可憐なカバーを収録。ちょっとノスタルジックな“That’s summer feeling”を想起させると同時にしっかりと“いま”を体現したポップミュージックである。

■ココロオークション『夏の夜の夢』

 ショートムービーの連作というテーマで制作された“夏の短編小説MVシリーズ”「蝉時雨」「夏の幻」「雨音」を中心としたココロオークションのコンセプチュアルなミニアルバム『夏の夜の夢』。ライブやフェスで盛り上げることを意図したダンスビートではなく、じっくりと歌を聴かせることを軸にしたバンドなのだが、リードトラック「線香花火」でトロピカルハウス的なサウンドを取り入れるなど、トレンドに対する意識もしっかり反映されている。粟子真行(Vo/Gt)のどこか文学的な歌詞、アレンジ能力に優れた大野裕司(Ba)のセンス、一発録りを中心にしたレコーディングによる生々しいサウンドメイクがバランスよく共存した良作だと思う。(森朋之)