総選挙のやり直しを要求する!

31日にテレビ朝日で放映された特番「大相撲総選挙2017」。かねてより朝日系スポーツ新聞であるニッカンスポーツではAKBの選抜総選挙の時期に合わせ同名の企画を開催していました。しかし、今回テレビのほうでやってきたのは力士・親方&ファン1万人の投票によって決めるオールタイムランキングだという点で、大きく主旨が異なっていました。

「雷電爲右エ門!」

この時点で、早くもこの企画は揉め事の火種がありました。ニッカンスポーツでやっていたのは、あくまでも「前の場所の番付で幕内にいた力士」という明確な選考対象があった総選挙でした。しかし、テレビ朝日の企画には「こっからここまで」という線引きがありません。この時点でこの企画には根っこの部分で大きな問題があったと言えます。

そもそも「相撲」とは何なのか、そこからしてそれぞれで見解が異なってくるテーマ。日本相撲協会が公式サイトで掲げる「相撲の起源」という記事では、「古事記(712年)や日本書紀(720年)の中にある力くらべの神話や、宿禰(すくね)・蹶速(けはや)の天覧勝負の伝説があげられる」といきなりスケールのデカイことから話が始まっているのです。

ファン1万人のなかに神話相撲主義強硬派が混じっていた場合、連中は「野見宿禰!」とか「當麻蹴速!」とか言い出すでしょう。しかし、そこに神話ノーカウント主義者たちが「いーや、アレはルールが違う」「むしろ立ち技系の総合格闘技と言うべき」「そもそもホントにいたのか?」などと応戦し、永遠に決着を見ることはありません。いたともいないとも断言できないのですから、すでにこの時点で選挙など不可能なのです。

僕も神話はノーカウントだと思いますので、ここは穏便に江戸時代の勧進大相撲以降を相撲とするとしましょう。ここにも若干の議論はあるでしょうが、現代に連なる相撲という意味ではここがスタートであることは一応の一致を見るでしょう。しかし、これとて最初のほうはボヤーッとしています。たとえば、現在公式に認定されている「横綱」の初代にあたる明石志賀之助なる力士は、「いる」「いーや、いない」といまだに存在からして不明瞭な人物。何故初代に位置付けられているかというと、「昔の人が何となくそう言っていたから」という話でしかありません。

記録上もさすがに実在はしたんだろうと思われているところでは、実質的な初代横綱として扱われ、江戸時代に一時代を築いた第4代横綱・谷風梶之助、そして谷風と名勝負を繰り広げたとされる第5代横綱・小野川喜三郎、そこに横綱免許こそ持たないものの史上最強力士に推す声も高い雷電爲右エ門が加わる。まずこの時代をどうするのかを投票前に決めておいてもらわないと、投票する側としても非常に困るのです。

しかし、番組はまったく煮え切らない。収録現場には10万54歳のデーモン小暮閣下も立ち合っていたというのに、一向にその話が出ないのです。閣下はいつも「吾輩は相撲をかれこれ300年は見ている」と言っているじゃないですか。谷風・小野川の時代を見ている唯一の生き証人として、何故そこでクチを挟まないのでしょうか。横に座っていた吸殻拾いのオッサンに遠慮していたのでしょうか。悪魔なのに。

↓デーモン小暮閣下は一体誰に投票したのか、具体的に聞きたい!

「吾輩はかれこれ300年見ているが」
「まぁどのジャンルにおいても」
「普通のことだとは思うのであるのだけれども」
「技術も発展し」
「トレーニング法も確立された」
「現代のほうが普通に強いのである」
「したがって、吾輩が投票したのは」
「第3位:北の湖敏満」
「第2位:輪島大士」
「第1位:白鵬翔」

みたいな話だったら夢が一気にしぼむわ!

閣下だけは最後まで設定を貫いてほしい!

↓しかし、フタをあけてみれば閣下は番組の空気を読んで、千代の富士を1位と予想!

閣下の投票ということではないけれども、ここで「雷電!」とか言うのが悪魔ではないのか!

あるいは「サタンが最強であるなぁ」的な言いがかりとか!

番組の主旨に逆らわない、物わかりのいい悪魔!

勝手に大相撲審議会/やくみつる/デーモン閣下【2500円以上送料無料】

価格:1,728円
(2017/8/1 04:27時点)
感想(0件)



実際にどういう仕組み、どういう決まりでこのランキングを作ったのかは、くわしい調査方法の発表もなかったので判然としません。しかし、実際にランキング発表が始まると、30位(※横綱だけでも72人いるのだから、いきなり超トップランカーからの発表)に入ってきたのが元大関の若島津という具合で、早速僕は頭を抱えました。「江戸はノーカンみたいだな…」「ていうかどういうルールでやっても30位に若島津は入らないと思う…」「高田みづえひとりで選ぶランキングでも30位には入らないと思う…」と。

この手の投票では、あらかじめ有力な候補を挙げておくこともありますので、選択肢が100ぐらいあって「4:谷風、5:小野川……72:稀勢の里……」などと書いておくという手法もあったはず。そこまで書いておいたうえで「私は絶対若島津!」だとファンが言うなら、それはそれでいいと思います。しかし、今回の場合は極めて疑わしい。今後の同様企画の開催のためにも、調査手法については検証が求められるのではないでしょうか。

↓結局、番組ではその辺の設定を明かすことなく、雰囲気でスタート!

どうでもいいけど、ここにわざわざ「輪島」を入れるのはどっち方向で攻めてるんだかわからなくて怖いな!

輪島は確かに立派な横綱だけれど、この手のランキングでは「そっとノーカウント」にされてもおかしくないぞ!

ランキングが発表されるにつけ、ここまでクドクド言っていたことは何の意味もないことが明らかになっていきます。ランキングにはまだ三役に上がったこともない遠藤がごく普通に飛び込み、高見盛や宇良も当然のようにランクイン。どうやら、強いかどうかは度外視で、人気で決めていこうじゃないかということのよう。この形式ならもしかして貴闘力(各種賭博)や琴光喜(野球賭博)、輪島大士(ゴールデンアームボンバー)、双羽黒光司(武輝道場)にもワンチャンあるかもしれません!

↓そして期待通りに輪島が13位にランクイン!

この悪魔、260年くらい相撲を見続けたうえで、1970年代になって「輪島最高!相撲最高!」と気づいたっていう設定だぞ!

260年よく頑張った!感動した!

大相撲名力士風雲録(8) 月刊DVDマガジン 輪島 (分冊百科シリーズ)

価格:1,620円
(2017/8/1 04:27時点)
感想(0件)



その後も自由に愛と思い出を語っていくランキング。第66代横綱・三代目若乃花を12位にランクインさせた際には、主なライバルとして弟である貴乃花をピックアップ。現役時代の本場所では、貴乃花を歪ませた優勝決定戦しか対戦はないわけですが、両者引退後の年寄名跡を巡る骨肉の争いなども含めての総合的な判断としていることがうかがわれます。

↓選ぶほうもリラックスしたもので、元朝潮の高砂親方は弟子の朝青龍ではない力士を推しながら、よれよれのレッドソックスのTシャツで登場!


いろいろダメだろwwwww

あと、スタッフも朝青龍について一言くらい聞こうやwwww

相撲の番組だって言ってるんだから、せめて野球のTシャツはやめようwwww

↓そして最終的な順位はこうなりました!
1:千代の富士(横綱)21817ポイント
2:貴乃花(横綱)9890ポイント
3:大鵬(横綱)8614ポイント
4:白鵬(横綱)7194ポイント
5:北の湖(横綱)5362ポイント
6:稀勢の里(横綱)4009ポイント
7:朝青龍(横綱)3557ポイント
8:双葉山(横綱)2909ポイント
9:初代若乃花(横綱)2596ポイント
10:舞の海(小結)2022ポイント
11:貴ノ花(大関)1836ポイント
12:3代目若乃花(横綱)1292ポイント
13:輪島(横綱)1226ポイント
14:千代の山(横綱)998ポイント
15:寺尾(関脇)872ポイント
16:宇良(幕内)853ポイント
17:栃錦(横綱)790ポイント
18:曙(横綱)770ポイント
19:高安(大関)713ポイント
20:小錦(大関)710ポイント
21:柏戸(横綱)708ポイント
22:魁皇(大関)676ポイント
23:北の富士(横綱)659ポイント
24:2代目若乃花(横綱)542ポイント
25:日馬富士(横綱)481ポイント
26:高見盛(小結)443ポイント
27:遠藤(幕内)368ポイント
28:武蔵丸(横綱)363ポイント
29:千代大海(大関)351ポイント
30:若島津(大関)347ポイント

※ひとりあたり3力士に投票し、1推しが5ポイント、2推しが3ポイント、3推しが1ポイントを獲得する仕組み

貴乃花にすらダブルスコアの大差をつけた千代の富士のぶっちぎり!

現役横綱・鶴竜は圏外というあたりがむやみにリアル!

プロレス総選挙(2017) 第1位内藤哲也「俺だけが見える景色」 (Sports Graphic Number PLUS)

価格:1,199円
(2017/8/1 04:29時点)
感想(0件)



ぜひこれはもう一回、しっかりと前提を詰めたうえでやり直したいもの。以前、テレ朝でやっていたプロレス版の似たような企画でも「4位がオカダ・カズチカで5位が力道山」といった、もう単純に世代間の人数勝負みたいな結果が戸惑いを生んだもの。ジャンボ鶴田原理主義者たちの「ジャンボ鶴田こそが最強」という総選挙の主旨を無視した主張もいつも通り展開され、「前田日明がいないのはオカシイ」「いーや前田は総合格闘家だからいてはいけない」などのU系ファン同士の罵り合いも生まれるなど、ランキングは混迷を見せました。

相撲ならなおのこと。せめて「いつからいつまでの力士」に関する、「最強ランキング」なのか「最愛ランキング」なのか、だけでも事前にハッキリと宣言をしておいてほしいもの。そしてできるならば「最強」を軸にやってほしいもの。どうせランキングの上位はある程度強くなければつとまらないのですから、それなら思い切って「最強」で争うほうが結果的に愛もにじむのではないかと思うのです。

「やはり千代の富士だろ!」
「いや、あれは八百長!」
「八百長ではなく脅していただけ!」
「その千代の富士にも勝ってるし貴乃花!」
「貴は言うほど強くない」
「ジャンボ鶴田!」
「やはり白鵬でしょう」
「曙・貴乃花と同時代ならこんなに勝ったかな?」
「今は鶴竜でも横綱なんだぞ」
「それを言ったら三代目J Soul 勝氏も大概」
「勝氏はチーム戦のキャプテンだから…」
「キャプテンというほどの人望があっただろうか?」
「やはり最強となれば谷風でしょうなぁ」
「見たことないだろ!きっと弱いわ!」
「そっちも見たことないだろ!絶対強いわ!」
「ジャンボ鶴田!」
「69連勝の双葉山こそが史上最強」
「あれは戦時中みたいなもんだし」
「連勝したら強いってのもヘン」
「ヒクソン・グレイシー=最強ではないだろ」
「大鵬こそが最大公約数ではないか?」
「それ雷電より強いの?」
「雷電出してきたら話が終わらんだろ」
「大鵬にはそういったレジェンド感がない」
「貴闘力に娘をやっちゃう判断力も疑問」
「ジャンボ鶴田!」
「稽古をすれば輪島こそが最強」
「そんなIFの話してもいいのかよ!」
「全部IFの話だろうが!」
「雷電だの谷風だの全部IFだろうが!」
「IFでいいならもはや何でもアリだな!」
「相撲やってなくても参加できそう」
「ジャンボ鶴田!」

といった会話のなかから、互いに互いを認めていくような作業も、相撲ならば可能なはずです。ドラゴンボールみたいなバトル系の漫画でも、人気投票よりも強さ議論のほうが盛り上がるでしょう。大相撲ならそれができる。この単純明快なルールと、用具等で差が生まれない競技性。相撲こそが正しく熱く強さ議論ができる稀有な題材であろうと僕は思います。次回はぜひ、最強力士を議論で決める番組としてほしいもの。人気投票は、ニッカンスポーツのほうでしっかりやってますしね。

僕は「宮沢りえと結婚した貴乃花(IF)」を最強力士に推します!