「コンビニで、おいしそうな限定スイーツを買いたいのに、レジに持っていくのが恥ずかしい」という男性。

「憧れのヘアスタイルにしたいが、美容師さんとの会話が苦痛でうまくオーダーできない」という女性。

これらの悩みは「社交不安症」という心の病気に繋がる一歩手前の行為だそう。認知行動療法のスペシャリスト清水栄司さん著『大人の人見知り』では、このように日常生活で支障をきたすほどの「人見知り」の人に、あるスキルを紹介しています。

「不安メーター」を
意識する

訓練の第一歩としておすすめなのが「不安をコントロールする」ということです。まずは、自分が不安を感じていることを0〜100点までの間で点数をつけてみましょう。100点が最も高く、0点は何ともない状態です。とくに基準はないので、自分の尺度でかまいません。当然、上がったり下がったりします。それを自分のなかのセンサーで点数をつけて認識するのです。

例えば「80点まできたら、危険水域に入っているから気をつける」と決めてください。ネガティブな認知の歪みにハマりやすい状況なので、結論を飛躍させたり、感情的な決めつけをしないように注意しましょう。

もし危険領域に入ったら深呼吸をするなど、ブレイクタイムを作ることが大切です。音楽を聴いたり、お香を焚いたり…。リラックスできる方法をいろいろと持っていると便利です。

15分の「くよくよタイム」を
満喫する

近いうちに重要な会議があり、大勢の前でプレゼンをしなければならなくなった。「失敗は許されない」と思い込み、そのことばかりが気になる。おかげで不安メーターが下がらない…。

こういった場合は、一気に不安に浸る「くよくよタイム」を作ることをおすすめします。時間は15分くらいがベストです。頭の中で思い浮かべるのは、ふたつのパターン。最悪と最良のケースです。

最悪のシナリオだけが思い浮かぶかもしれませんが、逆にバッチリ決まって、絶賛されるという最良のシナリオもあるはず。5分で最悪のシナリオ、もう5分で最良のシナリオを考えてみてください。残り5分で両方のシナリオを復習しておきましょう。発表することを反芻したほうが効率的という人もいるかもしれませんが、逆に不安を煽るだけなのでやめてください。

「くよくよタイム」で重要なのは、思い浮かべた内容を紙に書くということです。頭の中でこねくり回しても考えはうまくまとまりませんし、堂々巡りになるだけです。思い浮かんだ内容を箇条書きにすれば、スッキリ整理されます。

じっくり「くよくよ」したら、残りはもっと生産的な活動に費やしてみましょう。そうすれば、もっと価値のある時間の使い方ができるはずです。

注意を「シフト」する技術

人見知りの特徴は「顔が赤くなっているんじゃないか」「手が震えているんじゃないか」といった具合に、他人からどう見られているかを気にして、そこに注意が向いてしまっています。

こうしたクセを治したいなら「注意を別に向ける練習」をしてみましょう。私(著者)が相談者と行っているのが「部屋に飾っているカレンダーの絵を見てもらう」というものです。カレンダーにどんな絵が描かれているか、見ていない人にも分かるように説明してもらいます。次に、私の様子を実況中継してもらいます。最後に自分が他人にどう見られているかを考えてもらいます。この一連の行動を「注意のシフト」と言います。

人間が不安になるのは、自分がどのように思われているかに意識が向くからです。ここで相手の顔をよく覚えることが大事だと認識すれば、自分に対して注目する回数が減ります。そうすれば、自然と不安が低下するという仕組みです。

人と会うたびに、似顔絵が描けるくらい観察するクセをつけましょう。ただし、重要なのはうまく似顔絵を描くことではなく、あくまで相手に意識を向けること。その結果として、自分に集中が向いたとしても、落ち着いて相手に「注意をシフト」できるはずです。

最初は難しいかもしれませんが、意識して練習してみてください。

「他人から見た自分」を気にしすぎる大人に向けて、人見知りをしないトレーニングや思考術をまとめた本書。自分の性格をうまく使えば、社会でもうまく生きられると勇気が持てます。人とのコミュニケーションがうまくいかないと悩んでいる人は必読です。