インドは、世界のスマートフォン市場の中で、最も成長が速いと言われている国の1つ。同国では依然、フィーチャーフォン(従来型携帯電話)の販売台数が全携帯電話販売台数の半分を占めるが、昨今はその台数が前年比で1割近く減少している。

 そうした中、インド大手財閥リライアンス・インダストリーズ(RIL)は、スマートフォンではなく、フィーチャーフォンの利用者に向けた低価格戦略で攻勢をかけており、これが同国の携帯電話市場の大きな変化をもたらしそうだと、市場調査会社のeマーケターは報告している。

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端末は実質無料、通話も無料

 リライアンスは昨年9月に、傘下の大手携帯電話サービス、リライアンス・ジオ・インフォコムを通じ、同国の第4世代(4G)通信サービスに本格参入した。そのサービス料金は、その時点でも他社のそれを大きく下回る、価格競争力のあるものだったが、同社は先ごろ、今年9月に実質無料の携帯電話「JioPhone(ジオフォーン)」を市場投入すると発表した。

 JioPhoneは、契約時に1500インドルピー(約2600円)の保証金が必要になるが、3年間の利用後には全額を払い戻すというもので、通話やテキスト通信も無料だ。

 またウェブの閲覧や動画再生にはデータ通信料がかかるが、その料金は1カ月データ通信が使い放題のプランで、わずか153ルピー(約265円)。それでも高いという利用者には、1週間や2日間といったプランも用意する。

 端末は、ディスプレーサイズが2.4インチと小さく、本体の下半分に物理的なキーボードが備わるフィーチャーフォンだが、かつてのそれとは異なり、アプリなども起動でき、音声操作も可能になっている。

ライバルメーカーには大打撃

 eマーケターによると、これにより、マイクロマックス ・インフォマティクスやインテックス・テクノロジーズといった地場のフィーチャーフォンメーカーは大きな打撃を受けることになる。

 しかし、リライアンスの狙いは、端末の開発、製造事業を行うことではなく、既存のフィーチャーフォン利用者を自社の通信ネットワークに取り込むことなのだという。そしてそうした利用者には、将来、スマートフォンに乗り換える際にも、自社の上得意客であり続けてほしいとリライアンスは考えているという。

 リライアンスは、昨年9月に4Gサービスを開始して以来、1億2500万人以上の新規加入者を獲得した。同社はインドのモバイルブロードバンド市場の拡大に向けた取り組みを数多く実施しており、それらの取り組みは、政府が進める通信インフラ整備計画よりも迅速に同国のデジタル経済を推し進めるだろうと、eマーケターは指摘している。

インドのインターネット人口は4.3億人に

 なお、eマーケターが推計するインドにおける今年のスマートフォン利用者数は2億6710万人。これが2021年には、4億980万人に達すると同社は予測している。

 インドの業界団体、インターネット&モバイル協会(IAMAI)と、同国の市場調査会社IMRBインターナショナルがまとめたリポートによると、昨年末時点の同国インターネット人口は4億3200人だった。

筆者:小久保 重信