アジアで最大の規模と能力を誇るしゅんせつ船「天鯨号」を見学する前夜。中国交通建設の社員たちがこのプロジェクトに注ぐ情熱には、並々ならぬものがあると環球網の記者は感じていた。

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アジアで最大の規模と能力を誇るしゅんせつ(河川や港湾の土砂を取り去る土木工事のこと)船「天鯨号」を見学する前夜。中国交通建設の社員たちがこのプロジェクトに注ぐ情熱には、並々ならぬものがあると環球網の記者は感じていた。環球網が28日付で伝えた。

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「なぜ、彼らはこれほどまで仕事に熱心なのか?」。その答えは、環球網が主催したシンポジウム「国有企業の新時代、現代中国の奇跡の旅」で明らかになった。天鯨号をはじめとした先端技術を有する自己航行式のしゅんせつ船は「大国の象徴」であり、そうした意識が社員らに誇りを与えているからだ。

▽「こぶし」:泥を掘るように岩を削る
7月23日、記者一行が舟に乗って最寄りの埠頭を出発してから20分後。青と黄の2色で彩られた巨大な船が浮かんでいるのが水平線の彼方に見えてきた。天鯨号の外観はまるで鋼鉄のヒーローのようで、巨大な駆体を今にも動かしそうな迫力があった。

甲板に上ると、建築現場にいるような感じがした。見学者はヘルメットの着用が義務付けられており、甲板には鉄骨とクレーンが敷き詰めるように置かれている。とはいえ、甲板には塵(ちり)一つなく、野暮な印象はまるでない。

中国には「聖王禹の治水」や「隋煬帝の運河建設」などの治水に関連した、有名な土木事業の歴史がある。かつての治水事業は人力を頼りとしていたが、今日では主にしゅんせつ船を用いてそれを行う。

天鯨号には掘削と埋め立ての能力が備わっている。そのため、天鯨号はネット上で「島造りの宝」と呼ばれている。島を造るのも埋めるのも自由自在だ。

天鯨号は1時間に4500立方メートルの海底混合物を掘り出すことができる。それは一般的なサッカー場の広さの深さ50センチメートル分の巨大な穴に相当する。「こぶし」と名付けられた、掘削ドリルの能力が優れているからだという。天鯨号の元船長であり、中国交通建設天津航道局海外事業部で副部長を務める王明安氏によると、掘削ドリルの直径は2.8メートルと3.15メートルの2種類があるという。

▽「大脳」:高度技術を用いた指令塔
天鯨号は強力な自己航行能力と先進的な掘削コントロール・システムを有している。船の中心に位置する指令室はSF映画に登場する宇宙船のコックピットに似た先進的な作りになっているが、広さは40〜50平方メートル程度。全ての掘削に関わる指示は約2平方メートルの操作台で完結する。ボタンを押したり、クリックしたりするだけで遠隔操作ができる。担当者たちは掘削しながら、のんびりとお茶を飲むこともあるという。

操作台の両側には測位システムと自己航行システムが設置されている。天鯨号はアジアで最大の規模と能力を誇る自己航行式のしゅんせつ船だ。そのため、世界中のあらゆる海域に出向いて掘削や埋め立てをすることができる。

商務部と税関本部は今年5月25日、大型のしゅんせつ船の輸出を禁止した。天鯨号をはじめとした中国交通建設天津航道局が所有するしゅんせつ船の多くは、輸出を禁止された規模に相当する。「すなわち、我々の船は他国へ行って作業ができるが、他国はこれらの船を買ってはならないということだ」と王氏は述べた。

▽天鯨号の工程
しゅんせつ船は作業の現場海域に到着後、まず直径1.8メートルのアンカーをおろす。それから重さ1100トンもある掘削機器を伸ばし、先端に取り付けられたドリルを扇形に旋回させながら海底の地盤を掘削する。そして、その土砂をポンプで吸い上げて排出するのが一連の作業だ。

天鯨号内には寮、ジム、洗濯室、医務室、レストランなどの生活施設が整備されており、船員たちが生活する上でのニーズは全て満たされていると王氏は語る。船員の平均年齢は28歳。3カ月に一度帰宅するのが一般的だという。

▽さらに強力な「天鯤号」
同局のスタッフは取材に対し「2005年まで中国のしゅんせつ船のほとんどは国外からの輸入に依存しており、先進的な技術も外国に専有されていたが、天鯨号は世界の四大しゅんせつ会社に対抗できる『超級戦艦』だ」と語った。

また、同局は国内の産学研究機関と協力して5年の歳月を費やした結果、技術的ハードルを乗り越えて、さらに強力な自己航行式のしゅんせつ船「天鯤号」の開発に成功した。関係者によると、同船は世界最先端の科学技術を用いており、世界で最も強力な掘削システムと最大稼働率の動力装置を配備してあるという。しゅんせつ能力は1時間当たり6000立方メートル。掘削ドリルは5000キロワットの動力を誇り、最大しゅんせつ深度は水面下35メートル。さらに1万5000メートル先まで土砂を排出することができるという。土砂の排出距離は世界一だ。

天鯤号の開発は、中国が各国製品の生産を請け負う「世界の工場(メード・イン・チャイナ)」から、中国が先端技術を発明して生産していく「発明中国(チャイナ・イノベーション)」への転換を象徴していると言えるだろう。(提供/環球網・編集/インナ、黄テイ)