得点場面直前、ボールを強奪する市立船橋FW福元友哉(右)【写真:平野貴也】

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2試合連続ゴールでベスト8進出に貢献…試合後に満足感はなく、反省点が口を突く

 高校サッカーの名門校で、本格派ストライカーへの脱皮を目指している男がいる。全国高校総体(インターハイ)で連覇を狙う市立船橋のFW福元友哉(3年)だ。

 インターハイは31日、サッカー3回戦で前回王者の市立船橋(千葉)が2-1で阪南大学高(大阪)に競り勝ち、ベスト8入りを決めた。注目のエースFW福元は、2試合連続ゴールで勝利に貢献した。

 前半9分に先制した後、チャンスで追加点を取れずに苦しむ時間が続いた。しかし、後半6分に左サイドのスローインから、こぼれ球を拾ったキャプテンのDF杉山弾斗(3年)が縦パスを出すと、一度は相手に奪われたように見えたが、福元が強烈なチャージで相手を弾き飛ばしてボールを奪取。ドリブルで少し中央へ持ち込み、角度のないところからズドンと思い切ったシュートをゴールネットに突き刺した。

 180センチを超える体格の持ち主で、両足を強く振り抜ける。抜け出すタイミングには自信があり、ポストプレーも慣れてきた。足もとの技術も持ち合わせている逸材だ。

 阪南大学高戦では、苦しいときにゴールを奪ってチームを助ける「エースの働き」を見せた。それでも、福元の表情に満足感はなく、反省点が口を突いた。

「前半は、相手とのハイボールに競り負けて、何も貢献できませんでした。その中で後半すぐに点が取れたのは良かったです。でも、守備でももっと貢献できる部分があるし、今以上のことを求められているので、課題だと思っています。自分が競って、2人のオフェンシブハーフが抜ける形を狙ったんですけど、競り勝てずに跳ね返されてしまって、苦しい時間が続いてしまいました」

「なーんにもしてないよ、福本は」と指揮官、求められるチームを背中で引っ張る姿

 得点の場面では、敵将も「あれは仕方がない」と認める個人能力の差を見せつけた。

 ポテンシャルの高さに疑いの余地はない。J1サンフレッチェ広島の練習にも参加。高卒でプロへ進む可能性も秘めている。

 ただ、まだ指揮官が求める基準値に達していない。取材を受ける福元の隣を通り過ぎた朝岡隆蔵監督の「なーんにもしてないよ、福元は」という声が聞こえると、苦笑いを浮かべ、監督の背中に向かって「はい、すいません」と答えた。

 変化を求められているのは、精神面だ。福元は何度も指摘されており、「他人のせいにしてしまうところがある」と自らの課題を理解している。厳しい状況でも、パスが悪くても、判定が不利でも、背中でチームを引っ張り続けられるエースストライカーが、市立船橋の最前線に立つ者の目指すべき姿だ。

 福元は、横浜F・マリノスのジュニアユース出身。中学時代は攻撃的MFでプレーしていたが、体格が良かったため、市立船橋では当初、センターバックで試された。

 朝岡監督が目指す攻撃的なサッカーでは、前線の選手はフレキシブルかつエネルギッシュに動くことができ、なおかつ局面で個人による打開と得点力を求められる。福元は「能力は高いんだけど……」という評価を抜け切れなかった。

攻撃的MF→CB→ボランチ、そしてたどり着いた「1試合1得点」の点取り屋の境地

 しかし、当然のように守備は苦手で評価を得られず、ボランチへ転向。そんな折、決定力不足に嘆いた昨季のトップチームで、課題解決の切り札としてストライカーに抜擢された。

 以前から得点に関わる仕事がしたかったという福元にとっては、悲願のポジションだった。最前線で輝けるかどうかで、未来は変わる。

 参考にしているのは、日本代表のFW大迫勇也(ケルン)だ。

 ポストプレーができて、両足でシュートが打てる。福元はFW転向当初、とにかく左右の足でパワフルなシュートを打っていたが、今季に入ってからは、少しずつポストプレーや連係を覚えて、確実性のあるシュート場面を作れるようになってきた。

 シュートが力任せになり、GKにタイミングを合わせられてしまうことも多い。タイミングを外したり、ゴールを見ないで打つことで足の振りに力をしっかりと伝えたりとフィニッシュの精度を向上させる工夫も続けている。

 すべては、能力は高いけど……という評価の上にのし上がるためだ。市立船橋は、8月2日に行われる準々決勝で関東第一(東京)と対戦する。目指すは当然、連覇だ。そのためには、福元の連続ゴールが欠かせない。

「点は取れているけど、自分の中でもストレスがかかる試合が続いている。もっと貢献しなければいけないと思っています。プロでやれるかどうかも、自分がどこまで全国レベルで通用するかどうかにかかっている。しっかりと勝って進むことが、個人としても上に進むことにつながると思うので、勝ちにこだわりたいです。1試合1得点が、FWとして最低限のチームへの貢献だと思っています」

 本格派ストライカーへの脱皮を目指すエースが、連覇を目指す名門校を牽引する。

◇インターハイのサッカー男子は29日に幕を開け、7日間にわたって熱戦が繰り広げられる。決勝は8月4日。なお、今大会は全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。全30競技の全試合をライブ配信し、インターネット上で観戦、応援が可能となった。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。

平野貴也●文 text by Takaya Hirano