ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』などを生み出してきたヒットメーカー=エドガー・ライト監督が来日、7月31日記者会見に登壇した。

彼が来日した理由は言うまでもなく、今年度の映画賞をにぎわすであろう待望の新作『ベイビー・ドライバー』のプロモーションのためだ。

カーチェイス版『ラ・ラ・ランド』とも謳われる本作。音楽とカーアクションが見事な融合をみせているが、それは『ショーン・オブ・ザ・デッド』を撮るよりも前、21歳のときから構想していたと監督は言う。「音楽とアクションの融合というのは、昔からビジョンとしては持っていたんだ。それをずっと温めていた。過去の作品ではあるシーンでのみトライしたことがあったけど、全編をとおしてというのは今回が初めてだ」。

寡黙で日がな音楽を聴いているが、運転では類稀なる技術をみせる主人公“ベイビー”(アンセル・エルゴート)。彼は幼少期の事故により耳鳴りを患い、それをやわらげるため常に音楽を聴いている。その設定はどこからインスパイアされたものなのか?

監督は答える。「実は僕自身、幼少期ずっと耳鳴りがしていたんだ。家系によるもので、いまはもう治っているんだけどね。オリバー・サックス氏の著書に、人によっては耳鳴りを抑えるために1日中音楽を聴いているということが書いてあって、ハッとなったんだ」。

そのほかにもベイビーと自身との共通点があると監督は語る。「音楽に対する情熱かな。僕も音楽を聴きながら運転をするのが好きだし、音楽を聴いていると集中できる。映画づくりの醍醐味は、自分が経験できないことをキャラクターに経験させることができることなんだ。銀行強盗をしたりね」。

本作は、『ザ・ドライバー』などウォルター・ヒル監督の作品をトリビュートしていることを公言している監督。ヒル監督とは6、7年の付き合いになるそうだが、『ベイビー・ドライバー』のアイディアやトリビュートであることは、緊張してなかなか告白できなかったそうだ。しかし、思い切って話したことがきっかけで、ヒル監督は終盤に声のみの出演を果たしている。

「ウォルターには、試写やプレミアを観てほしいとなんども誘ったんだけど、なかなか来てくれなくて、もしかして観たくないんじゃ…と思っていたんだ。でも彼は、『お金を払って観たいから、初日に劇場に行くよ』と言ってくれたんだ。『ベイビー・ドライバー』にお金を払うなんて(笑)! そして本当に、初日にチケットを買って、奥さんと一緒に観てくれたんだ。偶然にも撮影場所でもあるセンチュリー・シティ・モールでね」。

主人公ベイビーを演じたアンセル・エルゴートについて監督は、「カリスマ性があって、同世代の俳優にはなかなか見られない"スクリーンでの自信”がある」と絶賛。「それに音楽への愛もね」。

『ベイビー・ドライバー』は8月19日(土)、新宿バルト9ほか全国ロードショー。