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50年目の「霧ヶ峰」はここがスゴい!



現在、国内のエアコン市場では10社以上のメーカーが多彩なモデルを展開しているが、三菱電機の「霧ヶ峰」ほど、多くの人に知られているシリーズはないだろう。その歴史は1967年に始まり、現在に至るまで画期的な技術で市場をリードしてきた。

現在のフラッグシップ『FZシリーズ』も、革新性にあふれたモデルと言える。最大の特徴は、2つのプロペラファンを採用した内部構造。他のモデルとはまったく違うこの驚きの構造により、異なる温度帯の気流を同時に作れるようになった。その気流の緻密な制御を司るのが、高性能な赤外線センサー「ムーブアイ極」で、何と体の細部まで0.1度単位で測定可能だ。また、空調の効率を格段に向上させる大容量熱交換器の採用や、エアコンと扇風機の長所を兼ね備えた送風機能などにより、省エネ性も追求。使いやすいリモコンや便利なスマホアプリで、操作性も高めている。

「霧ヶ峰」が長く愛されてきた理由。それはいつの時代でも誰もが素直に「スゴい!」と思える技術を採用してきたからだろう。



三菱電機

霧ヶ峰 ADVANCE FZシリーズ

実勢価格:21万円(14畳用)〜

上部に配置した2つのプロペラファンが、独立して駆動。高精度センサーで検知した人の体感温度を基に風量を緻密に制御し、それぞれに快適な温度の風を届ける。

【内部も空気もきれいにするクリーン機能がスゴい!】

フィルターの自動掃除機能に加え、ホコリや油汚れの付着を防ぐ特殊コーティングや、オゾンによるカビ菌除去機能で、内部の清潔さをキープ。さらにウイルスや菌の抑制&脱臭効果があるミスト機能により、室内の空気もクリーンにする。



【人も部屋も細かく見極めるセンサーがスゴい!】

高精度センサー「ムーブアイ極」は、手先や足先など細部の温度までを0.1度単位で測定。体の温度変化も検知し、温度の感じ方まで見極める。センサー部分は360°回転するため、エアコン設置面の壁の温度や窓からの日差しなども検知できる。



【温度まで変えられる吹き分け機能がスゴい!】

2つのプロペラファンからなる「パーソナルツインフロー」により、同じ室内に異なる温度帯の風を作り出す。複雑に動く「匠フラップ」との組み合わせで、風向きや風量も緻密にコントロール可能。理想の風がピンポイントで届く。



【省エネにつながる送風機能がスゴい!】

室内にいる人の体感温度を見極めて、冷房と送風を自動で切り替える「ハイブリッド運転」を搭載。送風時の最小消費電力は14W(『MSZ-FZ4017S』の場合)と、節電にも役立つ。



【お任せで快適にしてくれるリモコンがスゴい!】

付属するリモコンは、表示が見やすく操作が簡単。冷房と暖房の自動切り替えなど、よりすくない操作で快適に使える機能も備える。別売りのアダプターを使えば、スマホで運転のオン/オフなどの遠隔操作も可能だ。



家族みんなの涼しさにムーブアイ極が欠かせない理由とは?



最近のエアコンの機能の中でも著しい進化を見せているのが、温度などを見極めるセンシング技術だ。従来からある赤外線センサーに加え、人や家具の位置などを判別するセンサーやカメラを採用するモデルも登場し、室内の要素を複合的に見極めることで気流の高度な制御に役立てている。そんな中で『霧ヶ峰』はいち早く赤外線センサーの高性能化を追求してきた。最新モデルに搭載されている「ムーブアイ極」は、手先など細部の温度を0.1度単位で測定可能。ここまでの高い精度が必要な理由を、開発に携わったルームエアコン製造部 技術第一課の杉山大輔さんは「室内のさまざまな要素を正確に見極めるため」と語る。

「体感温度は、空気の温度だけでなく、周囲の環境にも左右されます。室内では温度と湿度、輻射熱などの6要素が影響し、これらを正確に見極めることが、快適な温度調節に直結します。『ムーブアイ極』はこれらを高精度なセンサー技術とアルゴリズムの組み合わせで的確に把握し、気流制御に役立てているのです」

とはいえ、温度検知のみでは複雑な要素の把握は無理なように思える。人が室温を暑い、寒いと感じる、いわば肌感覚をどう見極めるのか?

「人の体に備わる体温調節機能から把握できます。例えば寒い時には手先や足先など末端部分から血液を中心部に集め、体温を保とうとします。この変化をセンサーで判別すれば、その人が室温をどう感じているかわかるわけで、そのためにも手先の温度まで0.1度単位で測定できる高精度センサーが必要なのです」

さらにセンサーで検知した温度画像を解析することで、時系列の変化も確認。刻々と変わる室温や体の表面温度をリアルタイムで把握する。

「画像解析やアルゴリズムの精度を高めることで、大人と子どもの温度の感じ方の違いまで見極められるようになりました。個々の体感温度がわかれば高度な気流制御で誰もが快適になるだけでなく、無駄のない運転で省エネにもつなげられます。センシング技術の向上は、エアコンの総合的な進化に欠かせないのです」

【回転しながら0.1度単位の精度で検知】



『霧ヶ峰 FZシリーズ』は、本体右下部に360°回転する高精度な赤外線センサー「ムーブアイ極」を搭載。室内を1万8392エリアに分けて、細かく温度を測定する。

理由1 室内の温度はさまざまな要素に影響されるから



室内における体感温度は、温度以外の要素からも影響を受ける。主なものは温度、湿度、壁や床の輻射熱、気流、人の活動状態と着衣量の6つ。「ムーブアイ極」は、さまざまな要素を赤外線センサーで細かく検知し、室内の状態を総合的に判断する。



理由2 体感温度の個人差は意外と大きいから



同じ室内にいても温度の感じ方は人それぞれ。自分が快適だと感じた温度が、他の人には暑かったり寒かったりすることも珍しくない。「ムーブアイ極」は室内にいる人の体の表面温度を、0.1℃単位で細かく測定。体の部位ごとの違いもしっかり見極められる。



▲大人より代謝が高い子どもは、体温が若干高くなる傾向がある。そのため特に夏季は同じ室温でも、子どもの方がやや暑く感じることがある。



▲体の中心部の温度は暑がりでも寒がりでも大きな差はないが、体表面や末端部分は温度の感じ方によって違いが明確に現れることがある。

理由3 体表面の温度で暑さや寒さの感じ方がわかるから



根本的な暑がりや寒がりの程度は個人差があるが、その時の室温に対して体がどう感じているかは、手先や足先の温度変化で測定可能だ。360°測定できる「ムーブアイ極」は、刻々と変わるその人の細部の温度を0.1℃単位で測定。温度の感じ方を客観的に判断する。





▲寒いと感じている時には、末端部分から体の中心部に血液を集めようとするので、指先などの温度が徐々に下がっていく。

2つのプロペラファンが創る次世代の快適空間



最新のエアコンを語る上で欠かせないのが、各社が独自に採用する気流制御技術。部屋全体を効率よく適温にする方法に加え、近年は人がいる場所にピンポイントで風を送る方法を採用するメーカーも増えてきた。その背景には「人によって快適に感じる温度が違う」という、空調に関する本質的な課題がある。三菱電機では「これを解消すべく10年以上前からさまざまな技術を採用してきた」と杉山さんは振り返る。

「まずはフラップを使った気流制御に取り組みました。2006年に登場したモデルで左右独立して動く構造を採用。人感センサーとの組み合わせで、人のいる位置を見極めて、そこに向けて風を送れるようにしたのです。この技術を進化させたのが、2014年から採用している『匠フラップ』で、左右両方に2枚ずつフラップを配置し、それぞれの開閉間隔を変えることで、風の強さも調節できるようにしました」

こうしてフラップによる気流制御を突き詰める一方で、開発陣はより根本的な課題も認識していた。

「やはり同じ温度でも体感温度が違えば、快適さも変わります。よりパーソナルな空調を実現するには、左右で違う温度帯を気流で作るべきだと考えていました」

そのために採用されたのが、独立駆動する2つのプロペラファンである。「霧ヶ峰」が1968年に筒形のラインフローファンを採用して以降、現在に至るまで壁掛け型エアコンでは常識となっていた基本構造が大きく変わることとなった。

「実はプロペラファンを採用する発想は、以前からありました。ただ、そのためには内部に十分なスペースが必要で、なかなか実現できませんでした。それでも高効率なファンの開発と市場全体での室内機大型化の潮流を追い風に、さまざまな要素が重なってついに実現できたのです」

2つのファンでこんな吹き分けもできる

【子どもに適した気流を吹き分け】

代謝の違いで大人より体温が高くなりがちな子どもに対して、体格(身長や体型)、姿勢や温度の感じ方にあわせて気流の角度や風量を調整。大人がいる場合は、「匠フラップ」で大人と子どもを同時に吹き分ける。



【温度の感じ方に合わせて吹き分け】

同じ人に対しても、状態に応じて緻密な吹き分けが可能。手足の先の温度変化を測定して、暑いと感じている時は体に風を当てる強い気流を送り、涼しいと感じている時は風が直接当たらない気流で冷やしすぎないようにする。



左右独立して駆動するファンが強さの違う気流を生み出し、2つの温度帯をつくり出す。「パーソナルツインフロー」は、まさにエアコンの常識を覆す機構であり、多くの人のニーズに応える夢の機能でもあった。

「実は内部構造が大きく変わることで、熱交換器の容量を増やせました。これによってより効率よく温風や冷風を作ることができ、省エネ性能の大幅な向上にもつながっています」

快適性だけでなく省エネ性の水準まで高めた「パーソナルツインフロー」は、エアコンの働きそのものも変えようとしている。

「これまでエアコンの役割は部屋の空調でしたが、これからは人の空調を担うものとなります。同じ部屋で誰も我慢することなく、同時に心地よさを感じられることが、エアコンのあるべき姿だと思います」

半世紀前に小型軽量エアコンの先駆けとなった「霧ヶ峰」。その最新モデルが、また新たな空調革命を静かにかつ着実に巻き起こしている

【快適さの本質を追求したパーソナルツインフロー】

2つのファンを内蔵し、同じ室内に2つの温度帯を創出できる世界初の機能。センサーで検知した一人ひとりの温度の感じ方の差や変化に合わせて、気流の強さや方向を細かく調節する。冷房時は最大約3度、暖房時は最大約5度まで、足元の温度差を変えることが可能だ。



▲吹き出し口に左右2枚ずつ備えられた「匠フラップ」が、複雑に開閉して風向きや風量を細かく調節。センサーで検知した情報をもとに、ピンポイントで風を送り届ける。



▲室内機の左右に配置された2つのプロペラファンは、それぞれ独立して駆動し、回転スピードを調節可能。強さの異なる風を室内に送り、温度差を生み出す。

文/高橋 智 撮影/田口陽介

※『デジモノステーション』2017年9月号より抜粋