目と舌で味わうファンタジックな物語。 会津若松の老舗和菓子店「長門屋」の美しい羊羹

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「羊羹」というと、あの小豆色のスティックを思い浮かべますよね。でも、福島県会津若松市の「長門屋」には、ちょっと変わった羊羹があるのです。その名も「Fly Me to The Moon 羊羹ファンタジア」。羊羹なのにファンタジーとは一体? その秘密を探ってきました。

庶民に愛されてきた江戸時代から続く老舗

会津若松市内の中心部。西若松駅から5分ほど歩くと、住宅が立ち並ぶ風景に溶け込むように建つ「長門屋」があります。創業は嘉永元年(1848年)。時の藩主から「庶民のお菓子を作れ」との命を受け、菓子作りをはじめたのが始まりだそう。季節のお茶うけから素朴な駄菓子まで、そのほとんどは今なお手作り。店内には番台があったり、昔の道具が展示してあったりと、そこかしこに歴史が感じられます。

透明な羊羹の中に浮かぶ恋物語

そんな老舗が今年発売した新作がこちら。上下の餡に挟まれて、シャンパンで色づけされた寒天がなんとも美しい! 真ん中には月に向かって羽ばたいていく鳥があしらわれており、ナイフを入れる場所によって、夕景から夜へ、三日月から満月へと絵柄が変化していきます。さながら、月に焦がれ近づこうとする小鳥の恋物語といったところでしょうか。

一切れいただいてみると、羊羹特有のもったりとした甘さはなく、口当たりがよく爽やかな味わい。上部の餡に潜ませたクランベリーやクルミの食感が良いアクセントになっています。まるで、パッケージに描かれた絵画の世界をそのまま味わっているよう!日本茶はもとより、コーヒーや紅茶、ワインにも合いますよ。

「仕事で疲れた女性の癒しのひと時に」との思いで考案されたとのことですが、
大切な友人へのプレゼントにしても新鮮な驚きを感じてもらえそうですね。

伝統的な和菓子も現代風にアレンジ

ここ数年、「長門屋」が取り組んでいるのが、昔ながらの製造法や味わいを未来につないでいくための新しい和菓子作り。
例えば「和三盆糖シュガーマドラー」は、お茶の席などで出されることの多い干菓子を、より身近に感じてもらおうとコーヒーや紅茶に添えるマドラー一体型の砂糖として生まれ変わらせたもの。

温かい飲み物につけるとシュワっと溶けてなくなり、和三盆らしい上品な甘さが溶け出します。ころんと愛らしいモチーフは、梅やおしどりなど日本古来のおめでたいものをかたどった12種類。結婚式のプチギフトとしても人気だそう。

会津の縁起物「起き上がり小法師」をイメージした「起き上がり最中」もユニークな一品。起き上がり小法師の形に焼き上げた最中の皮に、別添えの餡を入れて食べる一口サイズの和菓子です。餡は、福島名産の桃の果肉を使ったフレッシュな桃あんと和三盆糖を贅沢に使用した小豆あんの2種類。食べる前のちょっとした一手間が、おやつの時間を一層楽しみにしてくれます。

現代のセンスを取り入れた新しいお菓子が誕生する一方、「かるめやき」や「ハッカ飴」など、昔ながらのお菓子もいまだ現役。製法も味わいも発売当初のまま、変わらずに店頭に並んでいます。

白砂糖が貴重品だった時代、庶民の口にするお菓子の甘みは、きな粉や黒糖などが主流でした。そんな背景から生まれた「長門屋」の駄菓子は、派手さこそないものの素朴で飽きのこないものばかり。眺めていると、どの時代にも近所の子供たちが、お小遣いを握っておやつを買いに来た様子が目に浮かぶようです。

ワンコインでいただく和スイーツセット

また、市内の観光スポットのひとつ、七日町通りに面する「長門屋 七日町店」では、店内で「長門屋」の味を気軽に味わうことができます。この日いただいたのは抹茶と、たっぷりの小豆が入った栗かのこ、スライスしたクルミを乗せた上品な麩焼きせんべい「且座(しゃざ)」に、香ばしいあられと塩昆布。これだけ付いてなんと500円! 街歩きやお買い物のついでに立ち寄って、ほっと一息ついてみるのもいいかもしれませんね。

伝統的な和菓子の良さと、現代の暮らしにもなじむセンスを併せ持ち、進化し続ける「長門屋」のお菓子は、WEBショップからも購入可能。
会津旅行のお土産にもおすすめです。

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