日本競泳陣を引っ張る萩野と瀬戸【写真:Getty Images】

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メダル7個と躍進も3大会ぶりに金メダルなし…伊藤氏分析「現状を知ることができた」

 水泳の世界選手権は30日(日本時間31日)、全競技の全日程を終了。期待された競泳はメダル7個(銀4、銅3)を獲得し、前回大会の4個から躍進したが、11年大会以来、3大会ぶりの金メダルなしに終わった。この結果について、北京五輪、ロンドン五輪代表の伊藤華英氏は「五輪で勝っても、世界の成長は止まっていない。その現状を知ることができた大会になった」と総括した。

 新星出現、ベテラン奮闘と話題はあったが、メダルの獲得数は増えながら、金メダルには届かなかった。

「金を獲れる選手としては男子の萩野選手、瀬戸選手、小関選手、渡辺選手だろうとみていましたが、結果的に取り逃したことが大きかったと思います。なによりも世界のレベルが上がっています。例えば、男子400メートル個人メドレーはカリシュ選手(米国)が優勝しましたが、タイムは4分5秒90。(萩野、瀬戸が)ベストでいったとしても、勝てるかどうかわからなかったでしょう」

 世界的な躍進の裏にあるのは世代交代だ。

「マイケル・フェルプス選手(米国)、ライアン・ロクテ選手(米国)が引退し、勢力図が大きく変わる世代交代のタイミングでどの国も強化に努めてきたことが大きい。どの国も予算をかけて強化している。日本も五輪で活躍しましたが、世界の選手は五輪で勝っても止まっていなかった。世界の成長のスピードに追い付かなければいけない。現状を知ることができて良かったと思います」

 今後に向け、日本競泳陣を引っ張っていくのは、やはりあの2人になるという。

「萩野、瀬戸選手が中心になると思います。特に萩野選手は選手としてだけでなく、人間としても成長を求めている。金メダリストの苦悩があると思います。しかし、水泳は誰かからボールを受けて点が入るようなチーム競技ではないというのが難しいところ。主将という立場もあるけど、まずは自分の結果を出すことに全うしていってほしいです」

伊藤氏が挙げた収穫と課題「『全種目代表』と『短距離の人材育成』が求められる」

 今大会、収穫がなかったわけではない。

「女子の大橋選手が日本新記録で銀メダルを獲ったのは大きなことだし、男子では古賀選手、瀬戸選手のメダルも素晴らしかった。200メートル平泳ぎでも小関選手と渡辺選手が2人とも表彰台に上り、日本の平泳ぎの層の厚さを見せたことは素晴らしかったと思います」

 一方、東京五輪に向けて課題もある。

「ロンドン五輪後の2013年大会よりチームのバランスが取れているのは良かったと思いますが、全種目で代表選手を出すことが大事になると思います。特に背泳ぎは女子で代表選手を送り込めなかった。加えて、世界は100メートルの種目で力を発揮しているけど、日本はまだまだ。『全種目代表』と『短距離の人材育成』は求められていくでしょう」

 そう話した伊藤氏は「今回の結果を受けても委縮することなく、どんどん成長していってほしい」と期待を込めた。果たして、ブダペストの地で手にした収穫と課題を、今後にどう生かしていくのか。トビウオジャパンは、東京への出発を切る。

◇伊藤 華英(いとう・はなえ)

 2008年女子100m背泳ぎ日本記録を樹立し、初出場した北京五輪で8位入賞。翌年、怪我のため2009年に自由形に転向。世界選手権、アジア大会でメダルを獲得し、2012年ロンドン五輪に自由形で出場。同年10月の岐阜国体を最後に現役を退いた。引退後、ピラティスの資格取得。また、スポーツ界の環境保全を啓発・実践する「JOCオリンピック・ムーヴメントアンバサダー」としても活動中。