ブロックチェーン、VALU…仮想通貨は音楽業界にどんな影響及ぼす? 転売問題解決の一手となるか

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 先日、分裂の危機が話題となった、ビットコインを代表とする仮想通貨。まだ不確定要素も多いが、Spotifyがロイヤリティ支払いへの活用を目的にブロックチェーン(分散型コンピューターネットワーク。世界中に情報を点在させることで、ハッキングや改ざんを防止できる技術)を手がけるスタートアップ・Mediachainを買収するなどの動きもあり(参考:Spotifyがブロックチェーン導入を発表―ロイヤリティ関連の支払いに活用(CoinTelegraph Japan) https://jp.cointelegraph.com/news/uddenly-spotify-goes-blockchain-aims-to-improve-tracking-of-royalty-paymentsjp)、今後音楽業界にも影響を及ぼす可能性がある。そこで仮想通貨とエンタメ・音楽業界のこれからについて、最新のテクノロジーなどに詳しい大野恭希氏に話を聞いた。

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「FinTech・仮想通貨で注目されているブロックチェーン技術が音楽産業に影響を及ぼすとすれば、主に著作権や所有者の管理データベースで利用されることが考えられます。これまでは、アーティスト・作曲者などのメタ情報が組み込まれているとはいえ、誰でも音楽データをコピー・編集・改ざんが可能だったため、音楽データがネット上に溢れて違法ダウンロードの温床となっていました。今後、“MP3などの音楽データ×ブロックチェーン”ができるようになると、音楽の著作者・レーベル情報などの改ざんが困難になるため、デジタルと音楽の楽しみに信頼と安全が加えられ、より健全な音楽産業が築けるようになると思います」

 日本でもストリーミングサービスが普及しはじめているものの、未だに違法ダウンロードは後を絶たない。Spotifyの今後の展開も含め、音楽データとブロックチェーン技術の動向は気になるところだ。さらに大野氏は、ビットコインで自分の価値をトレードできるサービス・VALUについても言及した。

「VALUの面白いところは、個人の信用が仮想通貨という価値へ簡単に置き換えられることと、VALUを購入してくれたVALUERに、あらゆる優待を受けてもらえることによってビジネス的な繋がりが加速することです。エンターテインメント・音楽に絡めてみると、一番分かりやすいのはクリエイター・アーティストとの交流がこれまでのソーシャルメディアに代表される文字ベースのコミュニケーションから、もう一歩踏み込んだ関係性(エンゲージメント)になる。ジャストアイディアですが、例えばライブチケット購入+VALUERになっていれば、楽屋裏に招待する、などが考えられます。VALUを通じてアーティストとファンの交流は加速するのではないでしょうか。ギタリストのchoroさん(https://valu.is/choro)は、優待をうまく用意していて、VALUと音楽という点において可能性を感じさせます。あとは時価総額50億円を超えているイケダハヤトさん(https://valu.is/ihayato)も、参考になりそうですね」

  人に価値をつける、自分を上場させる、というVALUのシステムに対して否定的な意見も少なくないが、すでにマーケットを持っているアーティストにとってはファンとの良好な関係を築く一手になり得る可能性を秘めたサービスとも言えそうだ。最後に大野氏は、音楽業界における仮想通貨の可能性について教えてくれた。

「テクノロジーの視点で見ると、エンタメ・音楽と仮想通貨の今後の可能性で考えられるのはチケットの売買です。ライブチケットの転売問題のポイントは、チケット所有者が曖昧になってしまうアナログの世界だから起きているように思います。これが問題の本質であるとすれば、ブロックチェーンと仮想通貨の決済システムを組み合わせることによりチケット購入者が永久的に記録されて本人確認が容易になりますし、決済も簡単です。こうしたシステムを用意できれば、転売問題は今よりもクリアになると思います」

 仮想通貨が普及するにはまだ時間がかかりそうだが、エンタメ・音楽業界とタッグを組むことで、チケット転売や違法ダウンロードなど音楽業界が抱える問題点を解決できるかもしれない。音楽業界への影響を含め、今後も注視していきたい。(村上夏菜)