ネットシーンの雄・米津玄師が次世代のポップスターたる理由

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 米津玄師のニューシングル「ピースサイン」の快進撃がスゴイ。リリースに先駆けて公開されたMVは公開から24時間で100万回再生の大台を突破、iTunesでは配信から僅か4時間弱でチャート1位を獲得、こちらの「Hot100」ではゆずやSEKAI NO OWARI、ジャニーズWEST等の名立たるビッグネームを抑え1位を獲得する等まさに破竹の勢い。「ピースサイン」が打ち立てた記録の数々はもはや“バズ”等という一過性のものではなく、彼の実力と人気が確固たるものであると改めてシーンに証明してみせた。更に今作は人気TVアニメ『僕らのヒーローアカデミア』のOP曲に起用されている事もあり、これまでの彼のファン層だけではない新規ユーザー層、例えば原作ファンやアニメ好きの10代等、幅広い層へのアプローチが成功しているのだろう。それはチャートアクションとしても顕著で、今作「ピースサイン」を着火点として「Hot 100」圏内に過去曲が3曲同時にチャートインした(7/17付Billboard JAPAN HOT 100)ことでも分かり易く可視化されている。

 前作「orion」(77位)、そして前々作「LOSER」(83位)、更には2014年にリリースされた「アイネクライネ」(61位)の3曲が「ピースサイン」のリリースに合わせてランキングが急上昇、それぞれ下位ではあるが100位圏内にチャートインした。Tweet数が急激に伸びているのと同時にルックアップ数も急激に伸びている事から新規のライトユーザーにも届いている事が推測される。また動画再生数に関してはどの楽曲も常に平均値以上の数値を出している事からも彼のファンが10代〜20代前半のユーザー中心に構成されている事がよくわかる。

 改めてだが米津玄師は人気ボカロPとしてニコニコ動画で活躍したミュージシャンだ。今でこそ世間的認知が上がってきているが当時は非常にコアなカルチャーであったネット音楽シーン、そこからメインストリームに飛び出してきた彼が今J-POPシーンのド真ん中で結果を出している事実は、シーンにとって新しい波の到来であると同時にポップ・カルチャー自体のパラダイムシフトであるとも言える。ニコ動発のイベント「ニコニコ超会議」は今年動員15万人を突破、ニコ動に次ぐ10代の二次創作の新しいプラットフォームである「nana」はユーザー400万人を突破する等、かつてコアだったネットカルチャーは次世代へ継承されながらもポップ・カルチャーとして現実世界への拡張を続けている。時代の波に呼応するように快進撃を続ける米津玄師、彼がこれからの時代を作るポップスターである事は間違いないだろう。

Text by agehasprings  http://www.ageha.net