昨年の劇的な優勝から一転、苦戦が続く日本ハムファイターズだが、30日は、小さな奇跡に湧く一日になった。

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 それは、中島卓也選手の初ホームランである。

 昨年は、カット打法でファールを量産し、相手投手に球数を投げさせるという地味ながら効果的な活躍で、日本一に貢献した中島だが、実はプロ入りして以来、ホームランは0本。それどころか、アマチュア時代から、ホームランを打ったことがないという、日本プロ野球界唯一の選手だった。

 それが、首位を争うソフトバンクのエース格である武田投手からホームランを打ったのだから、試合には負けても「事実上の勝ちだ」「いいものを見せてもらった」と負け惜しみ半分にファンが湧くのも無理はない。

 ところが、一転、その日の夜に駆け巡ったのが、谷元圭介投手のトレード話。中継ぎの柱として、宮西投手と共に、なくてはならない存在の谷元が、いきなり中日ドラゴンズへの金銭トレードが成立したというのだから、ファンとしてはたまったものではない。

 確かに、ファイターズは「育成のファイターズ」と呼ばれ、実績ある主力選手のトレードには積極的だし、伸び盛りの若手の起用には定評がある。小笠原が抜けても、新庄が引退しても、ダルビッシュや糸井や小谷野や陽が出て行っても、ファンは応援こそすれ、選手や球団を叩くことは少なかった。

 しかし、今年は大谷・中田の主力、前半に4割を売った近藤、移籍して覚醒したといわれる太田らが怪我や不調で満足に試合出場ができず、有原、加藤、メンドーサらの先発投手陣もぴりっとせず、5位に低迷している。

 そんな中、勝ち試合が少ないため登板回数はやや減ったものの、宮西・谷元から守護神増井への方程式だけは、しっかり機能していた唯一のラインであった。その要である谷元を出すというのは、6月にFA権を取得していたといえども、今シーズンを捨てたのではないかと勘繰られても仕方ないと言えるだろう。

 ファイターズというのは、変なチームで、シーズンを迎える前の順位予想で、主力が抜けて、下位に予想されると優勝争いに絡んでくるし、今年は万全だと思われて、上位予想されるとガタガタの下位に沈むことが多い。

 これが競走馬だったら、エリモジョージか、カブトシロー、あるいはメジロパーマーといった「新聞が読める馬」と言われ、伝説の癖馬になっていだろうが、果たしてこのトレードはどのように作用するのだろうか?